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AIによる自動運航船の開発を進めるコングスベルグ・グループ

AIによる自動運航船の開発を進めるコングスベルグ・グループ

 

ノルウェーの軍産複合体コングスベルグ・グループ

ノルウェーにコングスベルグ・グループという企業グループがあります。

この会社はノルウェー・オスロ市場に上場もしている上場株式会社ですが、

実態としてはノルウェー政府が50.0001%の株式を保有しており、実質的な国有企業となっています。

このコングスベルグ・グループがいま、自動運転の船を開発しようとしています。




 

コングスベルグ・グループの海事部門、コングスベルグ・マリタイム

コングスベルグ・グループには、大きく分けて三つの部門があります。

ひとつは防衛産業です。

有名なところだとペンギンミサイルなどはコングスベルグが開発したものになります。

 

もうひとつはAI開発

これは最近になって立ち上げられた部門です。

 

そして今回とりあげるのが、海事部門

コングスベルグ・マリタイムです。

 

 

 

コングスベルグ・グループがロールスロイスの自動航行船部門を5億ポンドで買収

コングスベルグ・グループは昨年2018年7月6日、ロールスロイスから自動運転の船の開発部門を買収しました。

 

ロールスロイスは、豪州などで資源大手のBHPビリトンなどと自動運転の船による内航輸送などの開発を行っていました。

しかし、なかなかに難しかったようです。

ロールスロイス自身、自動運転による船の開発には手こずっており、お荷物事業になっていました。

新型エンジンでの不具合問題なども重なり、現金確保を急いだロールスロイスはこのムーンショットな事業部門をコングスベルグ・グループに売却しました。

 

 

 

コングスベルグ・マリタイムのDynamic Positioningシステム

コングスベルグ・グループの海事部門、コングスベルグ・マリタイムはかなり古くから海事向け設備の開発製造を行っており、古くは警報機やレーダー、トランスミッターなどを開発していました。

 

現在は、モーションセンサーによる自動制御や、

GPSなどと連動した荒天時の自動停泊システムなども開発しており、そうした部分とAI開発が密接に絡み、

さらにはロールスロイスが行ってきた自動運転による船の制御にも乗り出しているということのようです。

 

なお、コングスベルグ・グループとしても、まだ製品化できるような自動運転による船はできていないようです。

いろいろな研究者が、「船は急に止まれない、自動車などとはわけが違う」と解説しています。

たぶんその通りなのでしょう。

かなり以前から自動運転による船の開発は行われてきましたが、小型警備艇のような小さな船への採用はありましたが、大きなタンカーやコンテナ船、バルクカーゴなどに採用された例は聞いたことがありません。

しかし、もしこれが自動化されるなら、非常に画期的なことです。

何日も何十日も船の上で船員は生活しなくてはならず、船会社にとっては労務費負担はかなり重たくなっています。

それが解消される未来がやってくるかもしれません。