【603019】曙光信息産業(中科曙光/Sugon/Dawning Information Industry)の業績・決算と株価
今回は中国のスーパーコンピュータ大手、曙光信息産業(中科曙光/Sugon/Dawning Information Industry)についてみていきます。
近年、中国はスーパーコンピュータの自国開発を急速に進めています。
その代表格となる企業トップ3のうちのひとつが、今回紹介する曙光信息産業(中科曙光/Sugon/Dawning Information)です。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)、世界スパコン会議で上位500に63システムがランクイン
つい先日2019年6月17日、ドイツのフランクフルトで世界スーパーコンピューティング会議(International Super computing Conference)が開かれました。
このカンファレンスは毎年2回、ヨーロッパとアメリカで開催されているスーパーコンピュータの国際会議のうちのひとつですが、
このカンファレンスにおけるスーパーコンピュータのランキング発表上位500で、中国国内から219システムがランクイン。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)のマシンも63システムがランクインし、設置数ベースで世界3位となりました。(他はレノボ、浪潮が1位、2位)
なお、速度ベースでは米国のスパコンが1位2位とのこと。
https://www.top500.org/news/top500-becomes-a-petaflop-club-for-supercomputers/
米政府、曙光信息産業(中科曙光/Sugon)をエンティティリスト入りで制裁強化へ
そんなこんなで目立ってきた曙光信息産業(中科曙光/Sugon)に対し、米国政府は部品の禁輸措置を含めたエンティティリスト入りを発表しました。
これはファーウェイに対して行われた実質的禁輸措置と同じもの。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の製品が中国の国防産業とも密接に繋がっていると判断し、安全保障上の観点から、米企業による部品供給を途絶えさせる判断を下したものです。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の役員には中国科学院出身者がぞろぞろ
実際、曙光信息産業(中科曙光/Sugon)は国家とのつながりが非常に強い企業です。
役員人は中国の科学技術の発展を担う中国科学院出身者がぞろぞろといます。
昔で言うと、戦前の日本の理化学研究所みたいなものです。
(決算資料より)
曙光信息産業(中の株主構成、出資構成も中国科学院が主
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)に関していうと、株主構成も中国科学院の影響が非常に強いものとなっています。
(決算資料より)
(決算資料より)
母公司の出資は100%が中国科学院ですし、その母公司からの曙光信息産業(中科曙光/Sugon)への出資は21.32%
そして、他にも中国国有法人からの出資が非常に多い企業となっています。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の収入の多くは政府系・公共事業向け
上記の通り、曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の出資母体は多くが政府系です。
しかも役員人事も政府系です。
そして、稼ぎの多くも政府系です。
(決算資料より)
ごらんのとおり、企業向けは全体の半分未満です。
利益率でみても、政府調達向けが23.82%と、企業向けよりもかなり高い水準になっています。
政府が高い値段で買い上げることで企業育成している様子がみてとれます。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の業績推移
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の業績推移は上記のようになっています。
ご覧の通り、2年で売上が2倍超
EPSも2倍近くに伸びています。
非常に高い伸びを示していますが、これも政府による後押しがあるとみていいでしょう。
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の株価
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の株価は上記のようになっています。
極めて政治色の強い銘柄であり、個人的には投資対象としては如何なものかと思います。
とりあえず、以上です。