質問箱に、「投資に関係のない好きな本を紹介して」とあったので、書き出してみます。
いまの自分はあまり読書を多くする方ではないので、学生時代に読んだ本が中心になってしまいます。
絶版も多いですが、ご了承ください。
痴人の愛 谷崎潤一郎著
一番好きな文学作品ですね。
ぶっちゃけ、この方の作品はすべて好きなんですが、とりわけ痴人の愛は好きです。
いやぁ、男ってホント馬鹿なんですよね。
自分も若いころはナオミのような女にハマりましたねw
そのまま結婚してたら大変なことになっただろうなと思いますwww
「純文学って難しいんじゃない?」って思っている人がいるなら、まずは痴人の愛を読んでみてください。きっと抵抗感が消えるはずです。
火の鳥 鳳凰編 手塚治虫著
火の鳥鳳凰編です。
説明無用だと思います。
というか、自分にはこの作品の魅力を損なわずに説明する自信がありませんので、説明したくありません。
この作品が、現代では一部のコアな漫画ファンにしか読まれていないことが残念でなりません。
ちなみに、妻に勧めたところ「ごちゃごちゃ文字が多すぎてよみたくない」と言われてしまいました。若い人はこういうの苦手なんですね。
動物農場 ジョージ・オーウェル著
お次はオーウェルの動物農場です。
小6だったか中1くらいの時に、英語の勉強のサイドリーダーとして母に勧められた作品です。
語法と思考の関連性の探求に熱心だったオーウェルですから、おなじ現象を伝える内容でも、微妙に文章を変化させるだけで読者の受け取り方が変わる・・・そういったニュアンスの違いを教えてくれるいい教材だと思います。
自分の価値観を形成する上でも非常に重要な一冊です。
同じオーウェルでも「1984」よりも陰鬱としていないです。個人的には、「1984」は未完成な気がしていますが、こちらはオチが綺麗です。おすすめです。
日本語版
英語版はこちら
すばらしい新世界 オルダス・ハクスリー著
ハクスリーの「すばらしい新世界」です。
ここに描かれるのは完全な管理社会。
生まれながらに与えられた条件、役割をただただルーチン的にこなすことに喜びを感じ、クスリ(アルコールと置き換えて読み直してみてください)、セックス、刹那的な娯楽で感覚を管理されながら生きるヒトの社会です。
本作が書かれたのは1930年代ですが、現代の資本主義社会の構造を見事に予測し、描いています。2000年代に入ったいまでも、西側社会が追い求めているのは、まさにこの世界観の社会です。(そりゃイスラム教徒は受け入れないのも当然ですよ。イスラム教徒は西側に住む人たちよりも西側社会をよく理解しています。)
われら ザミャーチン著
ディストピア文学が続きますが、気のせいです・・・。
ザミャーチン著、「われら」です。
旧ソ連がそのまま発展したらどうなるかを描いた作品。本国では長く発禁処分だったとか。
個人による所有を禁じた「われらの国」ソビエトの行く末は、土地やモノの所有だけでなく、女性や思考の所有も個人ではできない。そのことが生みだす悲劇が描かれます。
しかしロシア人の表現ってほんと繊細で綺麗ですね。プーシキンのおかげでしょうか。ハクスリーやオーウェルとはまた違った魅力があります。
高野聖 泉鏡花
泉鏡花の高野聖です。
まぁ、教科書にも載ってるような作品なので読んだことのある方も多いはず。
べつに、書かれている中身はどうでもいいんです。ハッキリいって、筋道自体はショーモナイw
ただ自分は、泉鏡花の文体がすごく好きなんです。本当に美しいと思います。キモチ悪いくらいに耽美。絶対に真似できません。真似しようとした途端に陳腐になります。
山蛭がボタボタと落ちてくる描写は、グロテスクなのに何度も読み返してしまう魅力があります。どうしたらこんなリズム感で構成できるのだろうかと不思議に思います。是非音読してみてください。自分はまったく言語学などは詳しくありませんが、日本語は小唄や長唄、猿楽などとともに進化してきたんじゃないか、と誰かが言っていたことが腑に落ちます。鏡花の作品には、それが色濃く反映されているように感じます。
時計仕掛けのりんご/ザ・クレーター/サスピション 手塚治虫著
手塚治虫先生の短編集です。
自分の母は一般的なジャンプやサンデーなどに載っているような漫画を毛嫌いしていたのですが、手塚治虫先生など一部の作家の作品は非常に高く評価していて、家に数百冊という単位でありました。
そのなかでも自分はどちらかというと短編集が好きで、たとえばサスピションとか、クレーターとかそういった作品を読み耽っていました。
この作品はそれらと同様に、SFタッチで人間の業を鋭く切り取ってみせる手法で描かれています。
なお、装丁は変わっていますが、たぶん自分が読んだ内容と変わらないと思われます。
時計仕掛けのりんご―The best 5 stories by Osamu Tezuka (秋田文庫)
極限の民族 本多勝一著
本多勝一さんの「極限の民族」です。
小学校3、4年のときに凄く嫌いな担任がいたんですが、読書感想文にこれを選んで珍しく褒められた作品として思い出深いです。
内容はルポルタージュものですが、その中身の濃さが半端ありません。ディスカバリーチャンネルのイアン・ライト氏を超えています。
1960年代当時のイヌイット、パプアニューギニア原住民、ベドウィン族の地に住み込みで生活します。生の内臓を食べたり、トナカイの尻に寄生した寄生虫をほじくり出して食べたり、ゴサガ(ペニスケース)をつけて生活してみたりとやることがハンパないです。わくわくしますね。
自分はこれを読んで「価値観ってのは多種多様で、文化も多種多様。自分の見えている世界なぞ小さいものだ。」と理解し、それ以前にも増して反抗的な子供になりました。常識を押し付けてくるなよ、俺が従うのは宇宙であり、宇宙は自分だ、などと荘子の受け売りみたいなことを騒いでいました。
うは、恥ずかしい奴・・・
なおこの作品で本多勝一さんに興味を持った自分は他の作品もいろいろ読んでみたのですが、どれもピンとこなかったです。あまりにも結論ありきの極左すぎて。
読書ってのは、著者だけみればいいわけじゃないんだな、と思った子供時代でした。
極限の民族―カナダ・エスキモー,ニューギニア高地人,アラビア遊牧民 (1967年)
ギャートルズ 園山俊二著
上記の「極限の民族」同様に、母に勧められた作品です。
はじめ人間ゴン としてアニメ化されている園山俊二さんのギャートルズですが、個人的にはコミックの方が好きです。特に一巻が秀逸。
桜の花びらを風に飛ばして遊ぶ子供の発想を無碍につぶす大人。広い土地があるのにわざわざ狭いところで争う大人。すけべやりたくて争う男。珍しいものを欲しがりつづける女・・・どれもあるあるな話が並びます。
ギャートルズも小学生時代に母に勧められた作品です。
暑い夏の日でした。母とバス停でバスを待っていたのですが、次のバスまで時間がある。このまま待つのも辛いから、本屋に入って涼もうと言われて入った、村のちいさな本屋で見つけた本です。
ふだんあまり漫画を読ませてくれなかった母が、めずらしく漫画を買ってくれると言うのでとても嬉しかった。でも、期待した漫画とは違いました・・・自分が読みたかったのは、友達と話題をあわせられるドラゴンボールみたいな漫画だったんですが。。。
今では大好きなこの作品ですが、買ってもらった当時はちょっと残念な気分でした。
ギャートルズ 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット]
陰翳礼讃 谷崎潤一郎著
いわずと知れた陰翳礼讃・・・もはや説明の必要もないと思います。
自分は基本的に批判的に本を読む癖があるので、この本に書かれているすべてに賛同するわけではありませんが、日本の古典的な美を理解するのに、これ以上のテキストはないと思って利用しています。
なお、自分が育った田舎の家は、この本の中で勧められるような感じの家でした。網代編みの天井、煤竹を利用した格子窓など、純和風のおうちでした。断熱効果も低く、現実的には寒くてたまらんでした。母はそういうところにカネをかけていたので、とことん生活は質素・貧乏でした。
個人的には、飯田産業やクレバリーホームの格安住宅の方が絶対に良いと思います。友達の家があまりにも暖かくて羨ましかったです。
現代俳句歳時記 角川春樹編
俳句の季語を集めた歳時記です。
この歳時記は、古すぎず斬新すぎず、適度にほどよい加減で纏められています。読み物としても面白いです。編者の知識量にはただただ感服します。自分もかくありたいと思います。
なお、編者はコカインの密輸事件で麻薬取締法違反、業務上横領などで実刑判決を喰らった元角川書店のトップの角川春樹さんです。
個人的に、この方をすごく尊敬しています。麻薬のひとつやふたつで社会的に抹殺してしまった日本社会は、ちょっとやり過ぎじゃないかなぁと今でも思っています。
なお、春夏秋冬と新春の5冊が出ています。どれもおすすめです。
懐石入門 高橋英一著
自分が一番好きな瓢亭という老舗料理屋の、14代目主人が監修した懐石入門書です。
懐石料理の知識や作法について初心者でもわかるように解説してあります。
また、四季折々の献立なども写真付きで掲載されており、お料理もさることながら、その器の美しさにも目を惹かれます。
(なお、瓢亭で食事をしたからといって、一見さんにはこれらの器で供されないのは当然です。これら、重要文化財クラスの器ですから。)
茶懐石について理解する手助けとなるのはもちろんのこと、器と料理の関係を学ぶにも使えますし、簡単な料理の手順なども載っており、非常に有益な書となっております。料理好きの方に特におすすめです。
葉っぱで調べる身近な樹木図鑑 林将之著
非常に便利な樹木図鑑です。葉の形だけでなく、樹皮や樹形なども細かく記載されています。
街歩きの際にこれがあると、意外な発見があって面白いです。
ただし、葉の形を実物大で載せるために大きめで、ちょっと分厚くて持ち歩くには重すぎるのが難点です。
増補改訂版 葉っぱで調べる身近な樹木図鑑―実物大で分かりやすい!
四季の野の花図鑑 いがりまさし著
要点のみをしっかり押さえた解説がわかりやすい、野の花図鑑です。
花の咲く季節別、色別に分けられていますから、花から検索するのに便利です。
また同じ種でも、自生種、帰化植物など幅広く載っていて、その違いをみわけるコツなども詳しくタメになります。(たとえば、ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、ミツバツチグリ、キジムシロ、オヘビイチゴの見分け方など)
こちらも街歩きの際に持ち歩くのに良いアイテムですが、重たいのが難点ですね。この手の図鑑はいずれスマホアプリで代用されると思うのですが、いまだに満足のいくものはありませんね。
花色で引ける・見分け方がわかる (開花順) 四季の野の花図鑑
毛沢東語録 毛沢東著 竹内実翻訳
いわずと知れた毛沢東語録です。
中国版「我が闘争」です。
中国共産党の本質は、この本の中身から何も変わっていないと思います。中共を知るためには必読だと思います。
けっして、共感をおぼえてはいけません。
星新一著 盗賊会社
星新一の盗賊会社です。
ショートショートの書き方のお手本のような作品です。
ひとつひとつの作品が短く読みやすい。
サラサラサラッと読んで、読み終えたあとに、ふふっと笑う、そんな作品が並びます。
AIが当たり前になってきた現代社会では、警句として読むのもいいでしょう。ぜひ。
砂の女 安倍公房著
はい、安倍公房の砂の女です。
これとか箱男とかを紹介すると、かならず「アタマいいふりしやがって」ってなるんですよね。
それが嫌で、実は他人に紹介したくない本ナンバーワンだったりします。
いや、「ふつーによめば理解できるでしょ?」って思うわけですが。
少なくとも、毎年ノーベル文学賞を期待されては逃している某ラノベ作家よりは遥かにわかりやすいです。
あ、こんなこと書いたら敵つくっちゃうかなw えへへw
権田地理Bの実況中継 権田雅幸・佐藤裕治著
権田地理Bの実況中継です。
参考書として紹介されることが多いと思いますが、参考書として読むにはカバーする範囲が狭いですし、また前提となる知識に偏りがあります。
むしろこれは、読み物として読むと良いと思います。
これを読めば、地理を学ぶ意味が理解できると思います。
他にもいっぱい紹介したい本はあるのだけれど、それはまた今度で。ここに追記していくかもです。