ゼンショーホールディングスの業績と株価をみてみよう~すき家、ココス、なか卯、はま寿司などで使える株主優待のせいで株価は割高感あり?
今回は、すき家、なか卯などの牛丼チェーンを展開するゼンショーホールディングスについてみていきます。
ゼンショーは上記チェーン店各店で利用できる株主優待を発行しており、これが株価の割高感に繋がっている可能性があります。
とりあえず、まずはゼンショーの会社説明から。
ゼンショーホールディングスとは?
ゼンショーホールディングスとは日本の外食チェーン企業です。
ゼンショーホールディングスの傘下には、以下の企業群があります。
すき家・・・牛丼チェーン
なか卯・・・牛丼チェーン
ココスジャパン・・・ ファミリーレストラン「ココス」、メキシカンレストラン「エルトリート」
はま寿司・・・ 回転寿司「はま寿司」
株式会社TAG-1 ・・・ 焼肉チェーン「宝島」、焼肉・しゃぶしゃぶ「牛庵」「焼肉倶楽部いちばん」「熟成焼肉いちばん」
ビッグボーイ・・・ステーキ・ハンバーグのビッグボーイ、ヴィクトリアステーション
エイ・ダイニング・・・ラーメン店・伝丸、壱鵠堂、うどん店・久兵衛屋など
ジョリーパスタ・・・イタリアンファミレス「ジョリーパスタ」「ジョリーオックス」「フラカッソ」
華屋与兵衛・・・和食レストラン「華屋与兵衛」「和食よへい」
善祥カフェ・・・ 喫茶チェーン「モリバコーヒー」「カフェミラノ」
トロナジャパン ・・・冷凍ピザ販売、ゼンショー通販部門運営
アタック・・・ スーパーマーケットの運営
サンビシ ・・・醤油・調味料の製造販売
ゼンショー商事・・・ゼンショーの商社部門
ゼンショービジネスサービス
日本リテールホールディングス・・・スーパーマーケット「マルヤ」「マルエイ」「尾張屋」「フレッシュコーポレーション」「ユナイテッドベジーズ」
ゼンショーホールディングスの社名の由来は、「すべての事業で勝つ」という意味の全勝と、「善なる商売を行う」という意味の善商と、「禅の心で商売を行う」という意味の禅商からきているとのことです。
なかなかご立派な標語ですが、そんなゼンショーはこれまでさまざまな労使間トラブルを抱えてきました。
第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ ゼンショーホールディングス
横道に入りすぎるので、とりあえずここでは深くは書きません。とりあえず、興味のある方は上記をごらんください。
ゼンショーホールディングスの業績
ここからは牛丼すき家を展開するゼンショーホールディングスの業績についてみていきます。
なお、すき家の月次データはこちらからごらんいただけます。
(以下は2018年10月6日に書きました)
まだ中間期決算が発表されていませんので、前年の2017年3月期決算のデータでみていきます。
以下の資料はすべてゼンショーホールディングスのホームページでご覧いただけるものをしようしております。
ではみていきましょう。
ゼンショーホールディングスの2018年3月期決算は売上6.4%増、営業利益6.2%減、経常利益2.2%減、当期純利益5.2%減、一株当たり当期純利益54.18円、売上高営業利益率3.0%、自己資本比率22.7%、一株当たり純資産461.76円
ゼンショーホールディングスは御覧の通り、2018年3月期に売上増、営業減益となりました。
ゼンショーホールディングスの営業利益率は極めて低く3.0%となっており、コスト変動で簡単に赤字転落しかねない、非常に厳しい状態にあります。
こちらがゼンショーホールディングスの売上高と原価、販管費などの伸び率を示したものです。
ゼンショーホールディングス決算資料
食材などの原価が8.5%上昇、人件費など販管費も5.7%上昇しており、売上高が6.4%上昇している中で利益を圧迫。
ゼンショーホールディングスの連結営業利益は6.2%減となりました。
なお、ゼンショーホールディングスの自己資本比率は22.7%と非常に低いため、今後借り入れをしながら店舗展開をするにしてもスピードは落ちてきます。
一店舗当たりの既存店売上を引き上げなければ、ゼンショーホールディングスの業績は厳しいでしょう。
ゼンショーホールディングスのセグメント別売上
ゼンショーホールディングス決算補足資料
こちらはゼンショーホールディングスの決算をセグメント別にみたものです。
総じて売上は伸びており業績は好調にみえますが、実際には利益が圧迫される展開となっています。
ゼンショーホールディングスの株価もみてみよう。
ゼンショーホールディングス 日足株価
ゼンショーホールディングス 週足株価
ゼンショーホールディングスの株価は内需株選好の動きからここもと一貫して上昇してきましたが、業績の頭打ち感を嫌気してここもとやや軟調な展開となってきました。
ゼンショーホールディングスの株価は直近でサポートラインを下に抜けてきており、仮にいったん戻すにしても、再度下を向いて一段安となる可能性が高まっているように、個人的にはみえます。
ゼンショーホールディングスのバリュエーションは、2020年3月期決算のアナリストコンセンサスベースでPER38.6倍となっており、かなり割高に買われているように個人的にはみえます。
株主優待で釣りあげられたゼンショー株価?
これは、ゼンショーホールディングスが傘下チェーン店(牛丼すき家、なか卯、ココスなど)で利用できる株主優待をばらまいて個人株主を釣っているからではないか、と個人的にはみています。
ためしに「ゼンショー」で検索エンジンに入力後スペースをいれてやると「ゼンショー 株主優待」と表示されます。
みんな、ゼンショーホールディングスの株主優待が大好きなんですね。
ゼンショーホールディングスの株式を1000株保有していると、株主優待として半期に12000円分の食事券が送られてきます。
つまり、年間24000円分の食事券(ゼンショー傘下のすき家、なか卯、ココスなどで使用可能)ということになります。
2018年10月5日現在のゼンショーホールディングスの株価は2163円ですから、1000株分を購入すると手数料別で216万3000円です。
ゼンショーの2018年3月期の配当は一株当たり18円でしたから、仮にこれが変わらないとするなら18000円。
つまりゼンショーの年間インカムは、
株主優待24000円分+配当18000円分=42000円分
株主優待を含めた場合、ゼンショーの「優待+配当利回り」は
42000円/216万3000円=1.9417%
んー・・・ゼンショーの期待利回りはさほど高くないですね?
でもなんだか、「株主優待を受け取る」というだけで嬉しくなっちゃう人もいるんですよね。
そういう人たちがゼンショー株を支えているんじゃないかなぁと見ています。
個人的なそろばんでいうと、ゼンショーホールディングスの現在の株価水準は全く魅力的に感じません。
またさらにいうと、ゼンショーホールディングス今年1Qの決算はさらに落ち込んでいます。
今中間期がどうなるかにもよりますが、どうもゼンショーの業績モメンタムは下向きなのではないか、という風にみています。
とりあえず、今回はあまりポジティブな評価になりませんでしたが、上記はあくまでも個人的な見解であって、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたっては自己責任、自己判断で行っていただきますよう、お願いいたします。
以上です。