投資用アパート販売大手シノケンの業績と株価
今回は、一部週刊誌(週刊新潮)にて「かぼちゃの馬車みたいな・・・」との見出し記事を報じられたシノケンの業績と株価についてみていきます。
シノケングループに関して、「かぼちゃの馬車」や「TATERU」、「スルガ銀行」などで問題になった二重契約スキームを疑うような記事が週刊誌に出ています。
これついてシノケングループはこの報道を否定
真っ向から争う姿勢を示しております。
今回は、今話題のシノケンについて業績と株価を素直に見ていきたいと思います。
シノケングループとは?
シノケンとは、投資用アパート・マンションを販売している福岡の企業です。
元の名前をシノハラ建設システムといいます。
主要子会社であるシノケンハーモニーは
「頭金ゼロでも大家になれる」
「毎月の家賃を得ながら節税効果も期待できる」
「(一定期間の)家賃保証あり」
などの不動産投資のメリットを強調し、サラリーマンなど不動産投資にあまり詳しくない人たちの市場を開拓
投資用アパート・マンションの供給大手として高い業績の伸びを示してきました。
特に都市部のデザイナーズアパート・マンションの開発に積極的で、最寄駅から徒歩10分以内の立地を基本に、単身者やDINKS向けに特化した洒落乙物件を提案。
高い入居率を誇っているとのことで、かぼちゃの馬車のような詐欺会社とはそもそも違うと評価する声はあります。
シノケングループの業績
ここからは、シノケングループの発表している決算短信、有価証券報告書、決算補足資料等、会社側の発表資料をもとに業績をみていきます。
シノケングループの2018年第2四半期の業績は売上18.5%増、営業利益5.9%増、経常利益3.1%増、四半期純利益2.5%増、潜在株式調整後1株当たり四半期純利益119.07円、自己資本比率31.4%
シノケングループの業績は昨年までの高い成長は示せていませんが、そこそこの業績で推移しています。
シノケングループの第1四半期業績は営業利益、経常利益など全般に昨年よりも減益となっていましたが、第2四半期で増益に転換しているのはやや安心感のあるところでしょうか。
とりあえず、セグメントごとにもみてみましょう。
シノケンの業績をセグメントごとにみてみるとわかるとおり、今期はやはり、主力の不動産販売事業が不振です。
この事業は同業他社(かぼちゃの馬車など)における不正事件の影響から投資家が警戒する動きがあり、積極的な投資を行う環境になっていません。
また、融資がつけにくい状況にもなっているとされ、そのあたりがシノケンの業績にも影響してしまっているようにみえます。
シノケンの不動産管理事業は好調です。
管理物件が増加していることもあり、順調に規模を拡大していることがわかります。
同様に、シノケンの物件にLPガスを供給するエネルギー事業も物件数増加を背景に好調に推移しています。
このあたりは卒なく稼いでいる感じです。
シノケンのゼネコン事業、介護事業はよくわかりません。具体的に何をしているのか見えないのでパス。
その他事業には海外事業、民泊向けアパート事業、ジャカルタにおける「桜テラス」ブランドによる投資用アパート事業が含まれています。
シノケンはインドネシアの地場ゼネコンの買収などもしており、日本の次はインドネシア、という感じでのめり込んでいっています。
シノケンの受注、販売状況
こちらはシノケンの受注、販売状況などです。
概ね好調に推移しているように見えますが、やや残高の伸びが低下してきていることはネガティブでしょうか。
シノケンの株価とバリュエーション
シノケンの株価は暴落しています。
一部週刊誌で、シノケンが金融機関と二重契約を結んでいたなどと報道されたことが原因のようです。
いや、すごいですね。出来高もすごい。
出来高が大きすぎて、チャートがきちんと表示されませんw
しかしこの株価下落、今に始まった動きではありません。
同業他社の不正を受け、連想売りからシノケン株も先月の頭から売られていました。
自社株買いが切れたのも影響していますが、それにしてもずいぶん大きく落ちました。
なお、バリュエーションでみると2019年通期ベースのアナリストコンセンサスを基にするとPERは3.26倍、EV/EBITDAは2.64倍です。
シノケンに対する週刊新潮報道について
とりあえず、この報道で問題にされているのは、シノケンと西日本シティ銀行、シノケンの顧客がグルになって契約書を二重に作って、金融システムの隙間を突いている、ということでしょうか。
少なくとも、シノケンが単独で顧客を騙したり、銀行を騙そうとしているという報道内容ではありません。
シノケン側も
減額分を補うため、自己資金の増額をお願いすることや、物件価格の値引きの提案をさせていただくことがございますが、物件価格の値引きの合意は、あくまでも当初の契約と一連の契約であり、一体として効力を有するものでありますから、記事が指摘するような二重契約による不正融資に該当するものではありません。また、この点、金融機関に対しては、必要に応じてお伝えしております。
とある意味ひらきなおっています。
詐欺ではない、損をする人はいない、問題ない、という主張でしょう。
あとはこれを金融庁が規制するかどうか、という話だと思います。
このスキームを他の企業がどんどん使えば金融システムの健全性なんてあってなきが如しですからね。
仮にこのスキームを規制された場合、シノケンの不動産販売には大きなダメージが加わる可能性はありますが、それがどの程度であるかは判断が難しいところとなってきます。
とりあえず、今回は今話題のシノケンについてみてきました。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたっては自分の判断で、自己責任で行っていただきますようお願いいたします。以上です。