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顔認識AIの世界トップ企業 センスタイム(商湯科技)

AIによる顔認識・画像認識技術で世界トップ級のセンスタイム(商湯科技/Sensetime)にソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資を希望

 

ディープラーニング(深層学習)を利用したAI画像認識技術で世界トップ級の実力を誇る中国のセンスタイム(商湯科技)、どうやらソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF/Softbank Vision Fund)も出資を希望しているようです。

ソフトバンクのファンド、中国センスタイムに出資目指す-関係者

センスタイムにはすでにクアルコムが初期段階で出資。また、アリババを中心とした企業群(他にテマセク、蘇寧など)による6億ドル規模のCラウンド資金調も済ませており、推定企業価値は40億とも50億ドル規模とも言われる、世界有数のユニコーンとなっています。

同社の画像認識ソフトは警察、公安、無人コンビニ、動画アプリ、医療画像診断、自動運転など多方面で展開しており、その実力はすでに実証済み。

廉価な労働力を大量に動員してAIにひとつひとつ手作業で学習させていくやり方で、すでに数億人分の行動パターンを読み取れるようになっているといわれています。


ここで、センスタイムについてサラッと略歴を書きたいと思います。

センスタイム(商湯科技)は、香港中文大学マルチメディア研究室の湯教授(Xiaoou Tang)が中心となり2014年に立ち上げた研究開発型企業

現在、徐立CEOが率いる同社は世界一流のAI研究者を300人規模で抱える世界有数の知能集団となっており、その実力は世界的にも高く評価されています。2014年には人の眼による目視を上回る顔認識正答率を世界初の達成、ネイチャーやサイエンスにも取り上げられ、同社設立から2年後の2016年にはImageNet ILSVRC2016で三冠を達成。

その技術力を利用したい大企業(ホンダ、クアルコム、ファーウェイ、オムロンなど)が、センスタイムのクライアントとして多数提携しています。

いくつか例を挙げます

 

1.日本ではセンスタイムは本田技研工業と自動運転の分野で提携しています。

もちろん、詳しい開発状況はオープンにはされていませんが、以前報道番組でみたものですと、センスタイムの技術を利用すれば顔の向き、体の向きなどから次の行動を予測することも可能とのことで、これを利用すれば繁華街や市街地などでも自動運転で走ることができるとのことでした。

高速道路だけで自動運転ができる他社のAIよりも同社のものは一段優れている・・・そんなふうにホンダの技術者の方は答えていたように記憶しています。

 

2.アリババとセンスタイムは無人コンビニの分野で提携しています。

センスタイムの画像認識AIを利用すれば、数億人のなかから個人を特定することも可能だそうで、アリババのIDと簡単にリンクすることができるのだそうです。

また、アリババの推進するタオカフェという無人コンビニでの実証実験では、同社のソフトを利用すれば消費者がどの商品をいくつ手に取ったかをしっかり画像データから判断することができるとのことで、決済において今までのような接触型、非接触型の決済端末がいらなくなるとのことでした。ただ商品を手に取って外に出ればよい、ということです。

 

3.クアルコム(Qualcomm)やファーウェイ(Huawei/華為技術)とも提携するセンスタイム

同社はスマートフォンの心臓部のチップを作るクアルコムやファーウェイとも提携しています。具体的にどういった開発が行われているかは表に出てきていませんが、スマホ端末で画像認識を高速に行うための最適化アルゴリズムの開発などを行っている可能性はあります。もしこれが実現すれば、GPUに革命的な進化がもたらされるはずです。

 

 

4.中国公安当局、中国警察当局ともAIによる監視技術で提携しています

中国と言えば監視社会といわれるくらい、今では街のあちこちに監視カメラが置かれているそうですが、そこで利用されるのも同社の顔検出・認識システムだそうです。

同社のセキュリティシステムを使うと数百人の人混みの中からでも狙った人物を特定して警告を発することが可能とのことです。2016年CVPR(The Computer Vision Foundation)で一位を獲得したとのこと。

以前、テレビ東京のWBSなどでみたのですが、不審者として顔面を登録しておくと、仮にマスクをしていても、猫背で顔を見えないようにうつむいて歩いていても、薄暗い環境であっても、「不審人物率88%」などと表示されてしまっていました。おそろしいですね。。。

 

5.ロボット分野でオムロンと提携するセンスタイム

意外なことですが、センスタイムが初の海外拠点として選んだのは日本の京都でした。提携したのはオムロン、画像認識技術を利用した梱包ロボや実装ロボなどの開発を目指したもののようです。また、ロボットと工場作業員が共同で作業することも容易になるのだとか。ドイツのインダストリー4.0と似たような目的があるようです。

 

6.SNOWにも使われるセンスタイムの技術

顔面をうつすと勝手にヒゲとか猫耳などを描いて表示してくれる動画チャットアプリ・コミュニケーションツールのSNOWにも、同社の技術が利用されているとのことです。中国ではFaceuというアプリだそうですが、こういったエンターテイメント向け製品も提携しているとのこと。

 

7.スマホを利用した金融機関の個人認証(銀聯など)

銀聯や他金融機関によるIDカードの顔面データの認証などでも同社の技術が使われているのだとか。

 

 

他にも、どこの会社と提携しているのかはよくわかりませんが、スナップ写真のデータから着ている服のブランドを検索したり、イケメン度を数字として表示したりするアプリを作ったりなど、エンターテイメント寄りのサービスも提供しているとのことです。

 


 

しかし商湯科技は凄いですね。

なにが凄いって、国家公安の片棒を担いでセキュリティ分野の開発をしておきながら、娯楽用途の民間アプリまで開発してしまう、この包容力の広さがすごい。

倫理観とか正義感とかより、とにかくやってみたいことをやってみる、そういう研究者魂を感じます。そういう会社は伸びますよ。

フェイスブックもそうですし、ウーバーもそう、テスラもそうですが、細かい倫理観とかどうでもいいんです。たぶん、日本でいうとゾゾの彼もそうだと思います。

そういう人達を非難するお利口さんには、ぜったいに見えない世界が彼らにはみえています。彼らはとことん天才なんですね。

(ちなみに、自分にはそういった突き抜けたものがないのを痛感しています。だから色々と道をあきらめました。彼らは別格なんです。)

ソフトバンク・ビジョン・ファンドを率いる孫正義氏がセンスタイムに惚れるのもわかります。

 

なお、センスタイムは2018年にもIPO(新規株式公開)するのではないか?と言われています。上場は香港になるか中国本土になるかはわかりませんが、どちらにせよかなりの人気になることが予想されます。

 

とりあえず、この会社には損得勘定まったく関係なしに、夢を託してみたいと感じるような匂いがあります。

良いと思います。未来がたのしみです。