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テンセントとKKR、フィリピンの通信企業PLDT傘下フィンテック企業ボイジャー・イノベーションズに出資

テンセントとKKRがフィリピンの通信企業PLDT傘下Fintech企業のボイジャー・イノベーションズに出資~アリババ系グローブ・フィンテック・イノベーションズと衝突へ

 

中国のネット大手テンセント(騰訊)と、プライベートエクイティ会社KKRが、フィリピン最大の電気通信企業PLDT傘下Fintech企業のボイジャー・イノベーションズ(Voyager Innovations, Inc.)に1億7500万ドルのマイナー出資をすると発表しました。

Tencent backs fintech firm Voyager to set up battle with Alibaba in the

 

オンライン決済システム「アリペイ(Alipay)」を展開するアリババ系のアント・フィナンシャル・サービシズ・グループはすでにフィリピン国内のグローブ・フィンテック・イノベーションズ(globe fintech innovations inc)に出資しています。

 

今回、テンセントがボイジャー・イノベーションズに出資したのも、たぶんオンライン決済システム「ウィーチャットペイ(WechatPay)」を導入するための足がかりとしてのものでしょう。

フィリピンのオンライン決済市場を舞台に、中国系インターネット企業二社による競争が始まろうとしています。

 

 

ボイジャー・イノベーションズはフィリピン国内で「スマートパダラ(Smart Padala)」などの送金ネットワーク、オンライン決済システムの「ペイマヤ(PayMaya/旧Smart eMoney)」を展開

フィリピン最大の通信企業であるPLDT(Kompanya ng Teleponong Pangmalayuan ng Pilipinas)傘下であることをいかして、この分野では主要な決済システムとなっているとのことです。

ボイジャーイノベーションズはほかにも、小口融資やマーケティングテクノロジーの開発などを行っており、テンセントが中国国内で展開するウィーチャットペイや理財通などのフィンテック関連技術と親和性が高いとの判断から、今回の出資に至ったようです。

 

なお、テンセントのライバルであるアリババ系のアント・フィナンシャル・サービシズ・グループはすでに、ボイジャーイノベーションズと同じフィリピン国内のライバルであるグローブ・フィンテック・イノベーションズ(グローブ・テレコム系/通称Mynt)に出資しています。

 

纏めると、フィリピンでの競争環境は以下のようになります。

アリババ系・・・アント・フィナンシャル(アリペイ)、グローブ・テレコム系グローブ・フィンテック・イノベーションズ、通称Mynt
テンセント系・・・テンセント(ウィーチャットペイ)、PLDT系ボイジャー・イノベーションズ、通称スマートパダラ、ペイマヤ

これと同様のアリババvsテンセントな構図が、インドネシアやマレーシア、インドなどを舞台におこなわれており、今後はベトナムやタイでも激化していくものと思われます。


 

東南アジアでは、全人口の半分以上が銀行口座を持っていませんが、3/4の人々はスマートフォンを保有している。

特に若い世代ではこれが顕著で、これからの金融市場を銀行ではなく情報・通信企業が担う可能性がでてきています。

先進国が長い歴史をかけて築きあげてきた金融インフラですが、いま、その既存の金融インフラの高コストで非効率な面が目立ってきています。

交通システムとおなじで、先進国のシステムはだいたい古臭くて非効率になりがちです。

その点、まっさらな大地に新たな道路を作るかのように、新たな情報、金融インフラを作る国々は効率の良いものを作りやすい。

 

その、まっさらな大地に新たなインフラを作る手伝いを、中国の企業が独占しようとしています。

とりあえず、アリババもテンセントもひところの勢いがなくなったとはいえ、こういった市場へ先んじて飛び込んでいく態度は依然として健在で素晴らしいものがあります。

ビザやマスターカードは一昔前はこのバイタリティがありましたが、今ではちょっと古臭くなりつつあります。

 

今後どういった送金・決済システムが勝ち残るかはわかりませんが、とりあえず、チャレンジする精神を失った企業はジリ貧です。

そのことを、今回のテンセントによるボイジャーイノベーションズによる出資と、アリババ系アントフィナンシャルによるグローブフィンテック・イノベーションズの件から感じた次第です。

以上。