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中国オンライン旅行大手Ctrip(シートリップ/携程/Trip.com)についてみてみよう

中国のオンライン旅行会社(OTA/Online Travel Agency)最大手Ctrip(シートリップ/携程旅行網/ Trip.com )

 

今回は、中国のオンライン旅行会社(OTA/Online Travel Agency)最大手Ctrip(シートリップ/携程旅行網/ Trip.com )についてみていきます。

 

Ctrip(携程旅行網/ Trip.com )は中国国内でのシェアが非常に高く、中国人が海外旅行に行くときにお世話になるサイトとして昔から有名でした。

最近は中国人の海外旅行需要だけでなく、海外市場にも積極的に打って出ており、英語圏、インド、日本などにも進出してきているオンライン旅行会社(OTA)となっています。

 

オンライン旅行会社(OTA/Online Travel Agency)とは、ホテルや航空チケットのネット予約サービスを提供する企業です。

日本で言ったら、「楽天トラベル」とか「Yahooトラベル」、「じゃらん」、「るるぶ」とかそういうところです。

このオンライン旅行/OTA業界は日本同様、世界的に参入障壁が低いため過当競争になりやすく、各社ともシェアの変動が激しくなっています。

 

 

この激しい競争のOTA業界で、Ctripは傘下Qunar(去哪儿)などをあわせると中国最大のシェアを誇ってきました。

 

ただし、ここにきて新たなライバルが出現しています。

先日香港市場でIPO(新規株式公開)した美団点評(Meituan dianping)の子会社Meituan Hotelsです。

いま中国では、この美団点評(Meituan dianping)の子会社Meituan Hotelsが非常にハイスピードでCtrip(シートリップ/携程旅行網/ Trip.com )のシェアを奪っていると伝えられており、今後の動向が注目されます。

関連:世界4位のユニコーン美団点評(Meituan-Dianping)が香港市場にIPO

とりあえず、そんな群雄割拠状態の中国OTA業界ですが、その最大手Ctrip(シートリップ/携程/ Trip.com )について、今回はみていきたいと思います。


Ctrip(シートリップ/携程/ Trip.com )は中国最大のオンライン旅行会社OTA

 

上でも書きましたが、Ctrip(携程/ Trip.com )は中国最大のオンライン旅行会社です。

2015年10月にはCtrip(携程/ Trip.com )が百度(Baidu)傘下のQunar.com(去哪儿)を買収。

Ctrip(携程/ Trip.com )がQunar.com(去哪儿)の株式45%を買収。

同時に百度(Baidu)はCtrip(携程/ Trip.com )株を25%受け取り、かつCtripに百度(Baidu)から役員を派遣する取引を行いました。

つまり、検索エンジン大手である百度(Baidu)による支配下に入ったということです。

 

 

※中国の検索市場はGoogleなど海外の検索大手が参入できずにいるため(検閲が厳しい)、検索エンジンは百度(Baidu)がトップとなっています。

 

なお、このCtrip(携程/ Trip.com )によるQunar.com(去哪儿)買収により、2017年ころまではCtrip勢のシェアが60%を超えていたとみられています。しかし現在、これを猛追する勢力として、2015年に設立されたばかりの新興企業、美団点評(Meituan dianping)が表れています。

 

報道が安定しないので何ともいえないのですが、一部の報道では美団点評(Meituan dianping)の子会社Meituan HotelsがCtrip(携程/ Trip.com )のシェアに肉薄しているとすら伝えられています。

なお、美団点評(Meituan dianping)にはテンセントが出資しています。

よって、Ctrip(携程/ Trip.com )と美団点評(Meituan dianping)の戦いは、百度(Baidu)と騰訊(テンセント)との戦いであるとも言えそうです。

中国でどういった販売合戦がされているかはわかりませんが、新興勢力がこれほど伸びているということは、たぶんにクーポン乱発などを行っていると思われ、Ctrip(携程/ Trip.com )の業績には下押し圧力がかかるのではと、個人的には見ています。

 


 

Ctrip(携程/ Trip.com )は旅行系メタサーチ大手のスカイスキャナー(Skyscanner)の親会社

 

Ctrip(携程/ Trip.com )は2016年に英国の旅行系メタサーチ大手スカイスキャナー(Skyscanner)を買収。非常に強力な集客手段を手に入れました。

※旅行系メタサーチとは、複数のOTA(オンライン旅行会社)や航空会社、ホテルなどを比較し、最安の案件を見つけるサーチシステムです。トリップアドバイザーやトリバゴ、トラベルコ、スカイスキャナーなどのようなものをいいます。

なお、スカイスキャナーで色々とプランを検索してみると、親会社だからというわけではないのでしょうが、Ctrip(携程/ Trip.com )のプランが一番安い場合が多いように思います。

Ctrip(携程/ Trip.com )はスカイスキャナーの買収で世界で戦う手段を手に入れたのが、美団点評(Meituan dianping)よりも一歩先んじている点かな?という気はします。

 

 

またCtrip(携程/ Trip.com )は、2017年に米国のTrip.comを買収。

「Trip.com」というドメインを手に入れたことで、世界市場で戦うのに非常に有利な立場になりました。


ここからはCtrip(携程/ Trip.com )の業績を2017年の20-Fをもとにみていきます。

 

 

まずはCtrip(携程/ Trip.com )の売上と利益の推移をみてみましょう。

売上の伸びは非常に高い。

しかし利益の伸びは低い。

ここら辺はまずはシェアを取っていこうという企業側の姿勢ですね。

また、Ctrip(携程/ Trip.com )は非常に技術開発と効率化に熱心な企業で、オンライン旅行サイトの問い合わせなどは、70%程度がAI(人工知能)による自動回答によって処理されているそうです。これによりサポートセンターの人員を削減でき、さらに人が働く場所も少なく済んでいるとのこと。

 

なお、Ctrip(携程/ Trip.com )の売上セグメント別に比率を抜き出したデータは以下です。

Accommodation reservation・・・宿泊予約サービス
Transportation Ticketing・・・航空・鉄道などチケット予約
Packaged tours・・・パッケージツアー
Corporate travel・・・コーポレート・トラベル

 

宿泊予約の比率が下がり、チケット予約が上昇していることがわかります。また、その他の項目が増えていますが、これはレンタカーサービスなどが含まれている模様。

 

 

 

 

Ctrip(携程/ Trip.com )のバランスシートもみてみましょう。

バランスシートだけをみると、それほど攻めた経営に感じないかもしれませんが以下のGoodwill(のれん)をみると、なかなか際どい所を攻めているなぁという印象になります。

 

こうやってみると、まだまだ伸び盛りのベンチャー経営の延長のような会社だと思います。

なお、Ctrip(携程/ Trip.com )はさらにインド、日本などにも進出をしてきており、攻めの経営をつづける構えです。


最後に、Ctrip(携程/ Trip.com )の株価もみてみましょう。

 

CtripはNasdaqに上場しています。コードはCTRPです。

 

Ctrip(携程/ Trip.com )の株価は、米中貿易戦争が起きる前から、下落基調に入っていました。

さらに、中国株全般の値下がり傾向のなかで売られる展開となっています。

また、先ほども書きましたが、Ctrip(携程/ Trip.com )は中国本土市場で美団点評(Meituan dianping)との競争が過熱化しており、そのこともまた、下押し圧力となっています。

 

なお、Ctrip(携程/ Trip.com )は2017年のEPSベースでPER60倍~70倍程度、バリュエーション的にみればかなり高い水準と言えると思います。

 

とりあえず、Ctrip(携程/ Trip.com )に関する短評は以上のようになります。

 

なお、この記事は2018年9月23日に書きました。

この記事はあくまでも個人的見解を纏めたものであり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたってはご自分の判断で、自己責任で行っていただきますようお願いいたします。

以上です。