コラム:英テスコと仏カルフールが調達分野で戦略提携

以下、単なるコラムです。

これを読んでいただいてもカネもうけの役に立ちそうにありません。

ニュースまとめ記事に書くには長すぎたのでこちらに書き出しただけです。

時間の無駄ですので、読みたいかた以外は閉じることをおすすめします。


今回のコラムは欧州の小売市場についての観察記事です。

 

チェーンストア大手、英テスコと仏カルフールが調達分野で戦略提携を発表

Tesco and Carrefour join forces to keep prices down

 

このニュース、日本ではあまり大きく取り上げられていませんが、結構重大だと思います。

 


 

テスコ(TSCO)は英国の食料品市場占有率シェア30%程度で第二位のチェーンストアです。(以前はトップだったのですが、今年4月、ウォルマート傘下のアスダをセインズベリー(SBRY)が買収・合併すると発表したため二位になりました。)

なお、3位はモリソンズ(MRW)、4位は生協・・・かな。ちょっと自信ありませんが、そんな感じだと思います。

というわけで、英国の食料品スーパーは上位グループ3社で70%前後を占めていることになります。


 

カルフールはフランスの大型チェーンストアですが、こちらも僅差で二位くらいだと思われます。

1位Eルクレールが20%超、2位カルフール20%超、3位インターマルシェ約15%、4~6位カジノグループ、SystemeU、Auchanがそれぞれ10%程度だったと思います。

とりあえず、フランスの食料品スーパーは上位グループ3社で55%前後のシェアを占めていることになります。

 


で、日本はというと、一位イオンリテールが15.4%、二位イトーヨーカドーが9.3%、三位ユニーが5.1%です。あわせて30%程度でしかない。かなり厳しい競争環境なわけです。

http://www.7andi.com/dbps_data/_template_/_user_/_SITE_/localhost/_res/ir/library/co/pdf/2018_03.pdf

7&i公式データより

国内の寡占化が進んでいませんから、まだ国際的な提携をする段階には入っていません。西友のように外資の傘下に入っているところはありますが、購買などで戦略的な提携をしているわけではなさそうです。


しかし、世界は動いていますね。

こちらは先ほどの7&iのサイトにある世界の小売業ランキングです。

 

 

今回、このうちの9位カルフールと11位テスコが商品購買において戦略的提携をすることになりました。営業収益あわせて1560億ドル(約17兆円)規模の購買力を持つグループが誕生することになります。

これはウォルマートに次いで二番目、コストコやAmazonよりも上ということです。

テスコとカルフールのコンビは、非常に強いバイイングパワーを持つことになります。


これの影響を強く受けるのは、間違いなく消費財メーカーでしょう。

ネスレ、ユニリーバなどの欧州系はもちろんのこと、コカ・コーラやペプシコ、プロクター&ギャンブル、クロロックス、コルゲートパルモリブなどなど、そういったナショナルブランドを展開してきた企業のマージンは今まで以上に危険にさらされることになると思われます。

これらナショナルブランド各社は、2000年ころまでは商品の優位性を持ち、慣れ親しんだ味から離れられない消費者を確保していました。

でも2010年代から怪しくなってきています。ミレニアル世代はそういった古くからの慣れをバッサリ切り捨てる傾向にあります。

ナショナルブランド各社も積極的に経営を改善しようとしていますが、マージンはなかなか改善していません。著名アクティビストのダニエル・ローブ氏はネスレに対して経営上の要求をつきつけています。「俺の言うことを実行すればマージンが大幅に改善するぞ」と言っているようですが、果たしてそんなに簡単なことなのかどうか。

個人的には、小売業界は国境を跨いだ提携が今後よりいっそう進むとみています。世界中にはまだまだたくさんの小売業者がいますから、独禁法の対象になりにくいです。購買の統合効果は果てしなく大きいはずです。そういった環境で、ナショナルブランドの企業の業績が大幅に改善することを望むのは難しいように思います。むしろ、弱気になるべきではないかと思います。


と同時に、もうひとつ思うことがあります。

世界の食が徐々に統合に向かっていくのではないか、ということです。

 

圧倒的な生産性と購買力を誇る大資本が国境を跨いで商売しはじめています。Amazonだけじゃありません。むしろ、アマゾンに対抗するために各社が提携関係を加速しています。

この流れの犠牲になるのは、零細な味噌屋であり、地元密着型のおいしい餅屋さんなどです。

日本は各地に各地の味があります。北から南まで日本列島は長いですから、味噌の味ひとつとっても本当に幅広いです。

今では大手のメーカーが酒や味噌、醤油を大規模に供給していますが、かつてはこういったものは各地域で作られたご当地の味がありました。

たぶん、今後は世界的に食文化が統合されていってしまうような気がしています。

それが個人的にはとても悲しいです。


とりとめがなくなりそうなのでここら辺で〆ます。

以上、まったく金儲けの役に立たないコラム記事でしたw