半導体業界(市況)は最悪期を脱したのか?

半導体業界(市況)は最悪期を脱したのか?

 

質問箱に以下のような質問が入っていました。

 

半導体(市況)は底打ちしたかな?

 

というものです。

あまり相場観についてはお答えしないつもりなんですが、今回はきまぐれでお答えしようと思います。

 

ロジックは底打ちしたとみています。

メモリは、まだわかりません。

 

理由は、TSMCとASMLの決算です。

半導体受託生産最大手 台湾TSMCの2019年Q2決算を読む (7月19日)

ASMLの2019年Q2決算を読む (7月18日)

 

先週、上記の記事を書きましたが、このなかで自分は

 

(前略)同社の業績を下押ししているのは、主にこの2つの要素です。ただある意味、どちらも陰の極みがみえたかな、という感じはします。今後はスマホ向けの回復以外にも、基地局向け、ハイエンドPC向け、サーバー向けなどの需要拡大が予想されます。(TSMCの記事)

受注でもロジック向けが中心になっています。非常に大きなロジック向け需要が待ち構えています。このことは、近い将来的にCPUやMPU、GPU、モバイル向けのSoCなどの処理速度が急激に伸びることを意味します。(中略)ここ数年、普及帯の半導体製造技術には革新的な変化はあまりありませんでしたが、EUVでいっきにこのあたりが変化してきます。個人的には、市場の多くの人達はこの点を理解していないように思います。半導体のサイクルは再び上昇に向かうとみています。(ASMLの記事)

 

と書きました。

たぶん、いま半導体株を買っている、格上げをしているアナリストたちも、同じところを見ていると思います。

明らかに、生産技術の一段の進展により、ロジック向けは大きな変化の時を迎えています。

 

また幾らか前の決算になりますが、マイクロンの決算も面白い部分がありました。

マイクロン・テクノロジーの2019年Q3決算を読む~超絶ポジティブサプライズの背景を解説~

抜粋しますと以下のようになります。

 

QLC を利用したコンシューマ向け製品の出荷も75%伸びたとのこと。(中略)市場ではSSDの需要が落ち込み、価格もどんどん落ち込んで、半導体不況に陥るのではないか、という予想も出ていましたが、こういった見方を覆す好材料となりました。

 

SSDの需要が急拡大しているわけです。

いままでHDDを載せて出荷していたPCメーカーの一部に、NANDメモリを利用したSSDに変更しているメーカーが増えています。

その大口受注があったことが明らかになりました。

 

また、生産技術の改善でコストが低下していることも明らかになっています。

マイクロンは米政府の規制によってファーウェイ向けの売上が落ちた影響を受けましたが、他の事業は極めて好調に推移していました。

 

 

とりあえず、このあたりの企業群の決算をみるかぎり、

確かに半導体市況・業界は最悪期から抜けた

とみるのが妥当だと思います。

 

今後注目すべき点としては、ここ1週間で出てくるGAFAの決算です。

各社のデータセンター投資がどの程度の水準になるのか、そのあたりは注目に値します。

また、動画配信サービス分野では、今年秋にディズニーとアップル、来年はワーナーメディア、再来年にはNBCユニバーサルのサービスが開始されます。

動画配信は、通信トラヒックの最大の利用部門です。

さらに、GoogleのSTADIAやMicrosoft・ソニーのクラウドゲームなども21年~22年にかけて開始される予定です。

これらクラウドゲームは、処理自体はサーバーで行い、動画データを通信することになります。

本格的に利用が進めば、非常に大きなトラヒックの増大が予想されます。

Google『STADIA(スタディア)』は、要はハイレベルなVM(仮想マシン・バーチャルマシン)ってこと

Google『STADIA』はゲームの世界を大きく変える可能性~レイテンシ問題さえ解決できれば超多人数プレイも可能に~

ちょうどそのころには、5G向け投資や、自動車の衝突安全システムなどの需要も増えていきます。

たぶん、いままで多くの人が思いもよらなかったようなサービスが展開されていくことでしょう。

半導体需要は大幅に高まるとみています。

あわせて、周辺の事業者にも恩恵が及ぶでしょう。

あとは銘柄を間違えなければOKだと思います。

以上。