【親子上場】ヤフーがアスクル岩田彰一郎社長再任に反対~ロハコ事業立て直しには完全子会社化しかありえない
ヤフーがアスクルの岩田彰一郎社長再任に反対
サイト運営大手のヤフーが、ネット通販大手アスクルの岩田彰一郎社長の社長再任に反対していると報じられています。
岩田彰一郎社長はこれに先立ち、ヤフーとの提携関係解消を発表し、両者の関係が急速に悪化しています。
ロハコ事業で対立したヤフーとアスクル
今回、両社の関係が悪化したきっかけはヤフーとアスクルが合弁で立ち上げた対個人向け通販事業ロハコの赤字問題があるとされています。
2012年から始まったロハコ事業でしたが、倉庫火災や物流費上昇など様々な要因から赤字が継続。
この抜本的解決を求めるヤフー側がロハコ事業譲渡などを打診したとされ、それに反対したアスクルの岩田彰一郎社長と対立。
今回の一件に繋がったということです。
実質的親会社ヤフーの利益ばかりを優先できないアスクル岩田彰一郎社長
ヤフーとアスクルの関係は、アスクルの株式のうち41.6%をヤフーが保有しており、事実上の親子上場の状態にあります。
ヤフーはこの資本の論理を利用してアスクルにロハコ事業の譲渡を求めたということですが
当然のことながらアスクルも上場企業ですから少数株主の利益を守らなければなりません。
親会社の利益を優先するために取締役会で決議を行えば、少数株主への背任にあたります。
もし岩田彰一郎社長の主張どおり、ヤフーがロハコ事業を譲渡するよう迫ったというのならば、ヤフーの行動の方が問題でしょう。
アスクルとヤフーの問題は資本の論理で解決すべきだが
とりあえず、アスクルの岩田彰一郎社長の再任に筆頭株主のヤフーは反対しており、
第二位株主のプラス(11%程度を保有)も再任反対しているそうなので、資本の論理では岩田彰一郎社長は解任されます。
ただ、もし社長が変わっただけでロハコ事業のヤフーへの譲渡がすんなりいったならば、それはとてもおかしなことです。
アスクルの意思決定を行う取締役会は今回、ロハコ事業の譲渡に反対したわけです。
それが、社長を交代させただけですんなりヤフーへ譲渡されてしまってはおかしい。
取締役会が機能していない、ということになるわけです。
仮にアスクルの取締役をヤフー主導で入れ替えたとしても、このあたりの事情は変わりません。
アスクルの利益の極大化を目指すことが、アスクルの取締役の役目です。
あらたな取締役たちが少数株主を意識しない決定をしたならば、それはそれで企業統治上の問題です。
ロハコ事業再建のためにはヤフーはアスクルを完全子会社化するしかないはず
思うに、これは日産とルノーの関係と似ています。
アスクルとヤフー、日産とルノーでもそうですが、
大株主が得をするように利益誘導を図る動きは、日本では当然のように罷り通っています。
本来なら、少数株主の価値を守りながらロハコ事業を立て直すためには、ヤフーはアスクルを買収すべきなんです。
それも、適正な水準+プレミアムをつけて。
そうしないから、こじれる。
思うに、少数株主の権利を制限してきた日本の独特な法体系のせいで、そういったことが起きていると個人的には見ています。
その法体系ができあがった背景には、総会屋や乗っ取りが相次いだ70年代~80年代の状況があったとみています。
明らかに、時代が異なります。
今の日本は、このあたりの法整備を再度行うことが重要になってきています。
政府はそろそろ本腰を入れるべきでしょう。
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