三菱商事2018年3月期決算短評です。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/fs2017.html
に公開されている公式資料をもとにみていきます。
収益、税前利益、当期利益、包括利益すべてOK
セグメントごとに見ていきます。
ざっくり言って、エネルギー、金属など資源関連ビジネスが当期利益の半分を占めています。
機械、化学セグメントも景気に大きく左右されるビジネスになっています。
三菱商事は市況に振れない経営を目指して生活産業分野を伸ばそうとしていたはずですが、こちらは業績が芳しくありません。
それぞれのセグメントを見ていってみましょう。
まずは地球環境・インフラ事業セグメント
主に海外で発電事業を行っています。他に、千代田化工建設というプラントメーカーが連結でくっついています。この会社が実は曲者で、エネルギー市況次第で工事が増減するので業績が安定しません。今期は持分法損益が改善したり、繰り延べ税金負債の取り崩し、海外発電事業IPPの売却等で利益を積み増したようです。
つぎに新産業金融事業セグメント
こちらは不動産投資、不動産ローン事業、PE投資、航空機リース、ファンド運営などをしているのですが、実際になにをどうしているのかがイマイチよく見えてこない事業です。
こちらはセグメント名まんま、エネルギー事業のセグメント。およそ半分はLNG(液化天然ガス)関連資産。原油価格がこれだけ上がっているのに業績がイマイチぱっとしないのは、LNG関連の比率が大きいからです。逆に言うと、LNGの市況が盛り上がれば稼げます。
こちらもセグメント名まんま、金属資源のセグメントです。
三菱商事に限りませんが、今回の決算の稼ぎ頭です。
おもに鉄鉱石と原料炭、銅鉱山資源の開発・採鉱・採掘や、鉄鋼事業などが含まれます。チリのエスコンディダなど有力な鉱山にマイナー出資している例が多いです。市況の改善と操業度の向上で今年はかなり稼いでいます。一昨年は酷かったですが。
機械セグメントには、自動車販売会社などが含まれます。おもに新興国などでいすゞ、三菱自動車を輸入販売しています。またその時のローンなども引き受けます。建機のレンタルなども行っています。かなり市況に左右される事業です。
また、経営不振に陥った三菱自動車への出資を行ったりもしています。
MRJや三菱重工が不振に陥ったら、ここが助け舟を出すのでしょうか。。。
化学セグメントです。
卸業が主体でしたが、ローソンの連結後はコンビニ用プラスチック食器や食品素材などの製造にも力を入れているようです。
最後に生活産業セグメントです。
これは幅広いです。サケマスの養殖、大豆など穀物の集荷販売、豚肉処理加工販売、食品・飲料・菓子製造販売、畜産業、低温物流事業、福祉用品レンタル、配合飼料販売、スーパーマーケット、コンビニ、外食産業などなど、さまざまなことをしています。
例としては、伊藤ハム、ケンタッキー日本事業、ごま油のかどや製油、大日本明治製糖、日東富士製粉、三菱食品、ライフ、ローソンなどが持分法もしくは連結子会社です。
で、この生活産業セグメントなのですが
為替や市況に振れない安定的な事業
として期待されてきました。
とかく資源やエネルギー、機械など市況に左右されやすい商社ビジネスのなかで、唯一安定的なノンシクリカル事業・・・とマーケットからは見られていたのですが・・・
今回、こちらはマイナス成長となってしまいました。
相場の地合いが弱ければかなりネガティブ視される内容だと思いますが、今回はタイミングが良かったと思います。
よほどひどい決算でなければ、決算内容をポジティブに捉える流れが出ています。
金属資源の見通しが大きく減少している以外は、全体的に強気の見方になっています。
今の市況がつづくという前提ならば、金属資源は増益で着地するでしょうから、これ以上の数字は出そうです。
以上だらだらみてきましたが、こうやってみると三菱商事は、
鉱山会社に細かい事業がくっついた事業ポートフォリオ
にみえます。
三菱商事は、海外の資源メジャーのPERなどと比較するとかなり安いです。
景気鈍化懸念はなお強いですが、一方で資源価格は上昇しています。
BHPやOZMineralなどオーストラリアの資源会社なども総じて強い動きをしています。
三菱商事の株価もこのところ右肩上がりで推移しています。
個人的には押し目を狙っていいチャートにみえます。
以上です。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見通しであり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資に当たっては自己責任・自己判断でお願いいたします。