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日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始に向け合意、実質的に二国間FTAか?

日米首脳会談~ポイントは日米物品貿易協定(TAG/ Trade Agreement on Goods)の交渉開始、対中政策協調~

 

アメリカ時間26日、日米首脳会談が行われ日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始などについて合意に至りました。

 

日米貿易協議(FFR/Free Fair Reciprocal)の第2回会合を経ての日米首脳会談でしたので、貿易分野、関税分野に非常に注目が集まっていました。

蓋を開いてみたら、日本側の要求がほぼほぼ通っており、これは産業界にとっては安倍首相の大戦果だと思います。

今回の日米首脳会談のポイントは以下になります。

 

1.日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始
2.農産品分野をふくめ、環太平洋戦略的経済連携協定TPPの枠を超えた関税引き下げはしない
3.対中国を念頭に、不公正な貿易慣行に共同で対処
4.日米物品貿易協定(TAG)の交渉中は追加関税措置などをしない。

 

それぞれについてみていきます。

 

まず1の日米物品貿易協定(TAG)ですが、これは名前を変えただけで実質的には二国間自由貿易協定FTAと同じことだと思います。

 

日米物品貿易協定(TAG)というのは、国内農家向けに「二国間FTAは避けられました」と手柄をアピールするために名前を変えただけのものであり、実質的にはモノの貿易障壁を下げていく方針からみて、FTAとなんら違わないものだと思います。

また、日米物品貿易協定(TAG)という名前のとおり、今回はモノに関してのみ話し合うことになっているようですが、ゆくゆくはサービスや投資、貿易ルールなどの分野まで含めて協議をしていくとのことです。

関税協議開始で日米合意 自動車関税、協議中は凍結 産経

つまり、これは実質的には二国間FTAとなんら変わりはありません・・・

 

 

2の日米物品貿易協定(TAG)においては「環太平洋戦略的経済連携協定TPPの枠を超えた関税引き下げはしない」

というのも大変重要だと思います。

これはトランプ政権が焦っていることを表していると思います。

米中貿易戦争の影響で中国が米国産大豆関税を引き上げており、米国の大豆、大豆ミールは荷余り気味です。

また、TPP発効によってオーストラリアなどの牛肉に比べて、米国産の牛肉が競争劣位におかれることが見えているため、これを絶対に避ける必要が出ています。

以上の点からトランプ大統領としては「せめてTPPと同水準まで税率を引き下げてくれ」と思っているのでしょう。

これにかんしては、日本側の主張が通りそうな気がします。

 

 

 

 

3の対中国政策の協調も大切

中国が一部産業にたいして大量の補助金を出しているのは周知の事実。こういった不公正なやりかたに日米欧共同で対処しようという動きがあります。

日米欧はWTO改革をしていくことで一致しており、このなかで対中国を念頭にした改革案が出てくるものと思われます。

トランプ大統領はWTOからの離脱をほのめかしたりしていますが、今回、この文言が入ったことは、日本側の狙い通りだったのではないでしょうか。

 

 

 

4.日米物品貿易協定(TAG)の交渉中は追加関税措置なし

これが文言に入ったのも大成果です。

トランプ大統領は日本車の輸入関税を25%に引き上げるぞ、と脅していました。

日本側としては、交渉が即決裂してしまえば1.5兆円程度の影響が出てしまう状況でしたから、それだけは避けたかった。

今回、日米物品貿易協定(TAG)交渉中には関税が上がらないことが約束されたので、経済面での不安定感はほぼ払しょくされることになりました。

なお、日米物品貿易協定(TAG)入りするためには、まずアメリカ側の貿易関連法上の手続きが必要になりますので、それなりに時間はかかるでしょう。そのあいだは安心ということになります。

 

 

 

 

25日の第2回日米貿易協議FFRを済ませた茂木敏充経済再生担当相の顔が晴れやかだったため、かなりいい内容がでるかな?という気はしていましたが、まさかここまでアメリカ側が柔軟だとは思いませんでした。

とりあえず、今回のトランプ大統領と安倍晋三首相による日米首脳会談は、日本側にとって大成功だと思います。

以上です