【KHC】クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の業績と株価~粉飾決算疑惑のバフェット銘柄~

【KHC】クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の業績と株価~粉飾決算疑惑のバフェット銘柄~

 

今回はウォーレン・バフェットも発行済み株式の26.7%を出資するクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の業績と株価についてみていきます。

株価⇒食品関連銘柄早見ページ2~TSN、HRL、KHC、MDLZ、HSY

まずはクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の事業内容の説明から始めましょう。


クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の事業内容

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)は、北米で3番目に大きい食品会社であり、世界で5番目に売上規模の大きい食品会社です。

ケチャップやホワイトソース、パスタソース、デミグラスソース、スープ、ドレッシングなどで有名なハインツと

チーズやクラッカー、菓子類で有名なクラフト(の北米部門)が一緒になった企業です。

 

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の沿革

 

クラフト
  • 1903年 シカゴでJ.L. Kraft & Bros. Company創業
  • 1924年 Kraft Cheese Companyに社名変更
  • 1945年 Kraft Foods Companyに社名変更
  • 1988年 フィリップモリスに買収される
  • 1989年 フィリップモリス子会社のゼネラルフーヅと合併
  • 2000年 フィリップモリス子会社のナビスコと合併
  • 2007年 アルトリア(フィリップモリスの北米部門)からスピンオフして独立
  • 2010年 キャドバリー・シュウェップスを買収、世界最大の菓子会社に
  • 2012年 海外部門をモンデリーズ・インターナショナルとしてスピンオフ。クラフトは北米部門のみにな る
  • 2015年 ハインツと合併

 

 

ハインツ
  • 1876年 ハインツ創業
  • 2013年 ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルが共同出資でハインツ買収
  • 2015年 クラフトと合併

 

クラフトはこれまで独立と子会社化、非上場を繰り返してきており、その過程で世界部門の大規模な入れ替えと、のれん代の増大を経験しています。

それが、のちのちに禍根を残すことになっています。(後述)

 


クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の2018年Q4決算

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の2018年Q4決算は大規模の赤字を出しています。

何が起きたかというと、簡単に言ってしまえば、のれん代などの減損損失発生です。

この黄色い所が、その影響です。

 

 

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)と「のれん代」の減損損失

上記で書いた通り、クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)は大規模な合併、スピンオフなどを繰り返してきており、買収に伴う相手方のブランド価値がのれん代として積み上がっていました。

 

この黄色いところのうち、厳密にいうとGoodwillのみが「のれん代」ですが、intangible assets(無形資産)も同様に減損の対象になりやすいものとなっています。

ちゃんと想定した利益が出ているうちは良いのですが、想定外な利益しか出せない状態になると、途端に巨額の減損損失の発生を余儀なくされます。

べつにキャッシュアウトするわけでないから気にしない、という人もいるのですが、現実的に期待された利益を生み出していないことには変わりなく、ネガティブな材料であることには変わりありません。

 

3Gキャピタルによる大リストラに揺れたクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)に関しては、バークシャー・ハサウェイの別働隊である3Gキャピタルが汚れ仕事を担ってきました。

つまるところ、大規模なリストラです。

バフェット爺さんは好い歳こいてイイ子ブリッ子ですから、クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)のリストラには直接は手を下しません。

その代わり、汚い仕事はぜんぶ3Gキャピタルに任せました。

その結果が起きたことが、現在の経営状態です。

まあ、経営が悪かったのか、事業環境が悪かったのか、どうなのかはよくわかりませんが、とりあえず業績はここもと悪化しています。

ペプシコなどは頑張っているので、とりあえず、会計マニアな3Gキャピタルには飲食事業は難しかったのかもしれません。

上記は地域ごとの事業状況をあらわしたものです。

一番の主力拠点であるアメリカで、クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の商品には価格引き下げ圧力が高まっているのがわかります。

価格を引き下げても、すなおに売上が伸びてくれないのがわかります。

結果、クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の北米売上は前年比較でネガティブとなっています。

これには、ウォルマートなどによるプライベートブランド戦略が影響しているようです。

自分はアメリカに住んだことも行ったこともないのでわかりませんが、昔はクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)などのナショナルブランドを愛好していた人たちも、その価格と味とを比較して、もっと安くてそこそこの商品でもいいや、と切り替えてしまっている人が増えているようです。

バフェットは、投資先には絶対的なブランド価値のあるところを選ぶ、みたいに昔いってましたが、果たしてナショナルブランドの没落をしっかり予想できていたでしょうか?

自分がみたところ、クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)にしても、P&Gにしても、コカ・コーラにしても、バフェットはちゃんと見通せていなかったのではないか、と見ていますが。。。

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)に粉飾決算疑惑?

なお、今回の減損発生を受け、証券取引委員会SECはクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の会計慣行の調査に着手。

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)に対して書類提出を求める召喚状を送ったとのことです。

まぁ、単純に言ってしまうと、粉飾決算じゃないだろな?と疑惑を持たれているということ。

これを受けてクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の株価は時間外で20%程度下落しています。

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の配当は減配

なお、上記Assetsの状況をみてもわかるとおり、クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)には現金が非常に少ないです。

今回の件を受け、同社は配当額を大幅に減配すると発表。

こうしたことも時間外での下落に影響しているようです。

 

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の株価

いやはや、凄まじいものですね。

ハインツ買収の頃が一番の高値でした。

とりあえず、アナリストのハメコミレポートは信用しない方がいいです。

 

クラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の大幅損失でウォーレン・バフェットのブランド価値も大幅減

会計をしっかり理解して投資をしているとの触れ込みで、投資の神様扱いされているウォーレン・バフェット

しかし今回のクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の一件は、同氏の長期投資家としての能力に疑問符を投げかけるものとなりました。

というより、ようやく化けの皮が剥がれてきたと言っても良いと思います。

3Gキャピタルなどの汚れ仕事役に経営者のケツを叩かせながら、自分達は配当でがっつり稼ぐ手法も、今回のクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の決算で大っぴらにみえることになったでしょう。

実際は昔から多くの人がそれに気づいていたのですが、なぜか誰も言ってこなかった。

ことのなりゆき次第によってはバフェット銘柄全般にネガティブな影響が及ぶこともありえるわけで、そういう意味で今回のクラフト・ハインツ(Kraft Heinz)の決算は、いろいろと味わい深いものとなっています。

とりあえず、以上です。