台湾経済部が6月の輸出受注を発表しました。事前の予想に反し、前年同月比で0.1%減となっています。
アナリストの予想平均は5.90%増でした。マイナスを予想していた人はいなかったように思います。
個人的にもプラス予想でいましたから不意を突かれた感があります。
台湾の輸出受注を見る場合、多くの人は、電子部品と通信機器、レンズ部品などをみることになります。
これらが台湾経済の生命線ですし、台湾株の主力銘柄もこういったものを扱うところがメインですので、おのずとこれらを見ることになるのですが・・・
まずElectronic Productsですが、前月比2.1%減 前年比0.2%減 となっています。
スマホのカメラレンズなどが属しているOptical Photographic Cinematographic Apparatusですが、こちらは 前月比1.9%減 前年比13.1%減 となっています。こちらは大立光電(ラーガンプレシジョン)の光学レンズモジュールの影響が大きいと思われます。ただ最近はサニーオプティカルやカンタツとの競合も起きています。
また、通信機器であるCommunication Productsは 前月比0.4%増、 前年比7.6%減 となっています。
とりあえず、見ての通りこれはかなり悪いです。
オプティカル以外は上半期のトレンドから大きく乖離しており結構ショッキングなデータにみえます。
これの理由がどこにあるのか、たぶん多くのアナリストが悩んでいます。
昨年のデータが特別高かったから、という解説をしている人もいます。その可能性はもちろんあります。
ただ、ANZ香港のシニアエコノミストBetty Wang氏は、これが米中貿易摩擦の影響ではないか?と語っています。個人的にはその可能性が高いのではないか、と見ています。
というのも5月は中国本土の航空貨物データがちょっと良すぎるかな?という内容のものが出ていたんです。(全部データを書き出すのは面倒なのでご勘弁ください。)
もしかしたら、それらのうちのいくらかは、米中摩擦を前にした駆け込み需要ではないか?という気はしていました。
今回の台湾の輸出受注と照らし合わせてみると、なんとなく腑に落ちるのです。
これは国別の受注です。
上期通期のトレンドと明らかに異なる動きになってきているのがおわかりいただけるでしょうか。
とりあえず、関税導入前の駆け込みやら、サプライチェーンの構築しなおしによる混乱が広がりそうな状況になっています。
受注動向からみれば、あと2~3か月先の輸出に影響が出ることは避けられそうにありません。
これはいったん嫌気されてもおかしくありません。
要注意だと思います。
以上です。