アパレル大手アダストリアの業績と株価についてみてみよう~HARE、Global Work、JEANASiS、Lowrys Farm、niko and…のブランドを展開
今回はアパレル大手で、ローリーズファーム、グローバルワーク、ニコアンド、ジーナシス、ヘザー、レイジブルー、ハレ、などを展開するアダストリアについてみていきます。
まずはアダストリアの会社説明から。
アダストリアとは?
アダストリアは国内アパレル業界の大手で、元の社名を「株式会社福田屋洋服店」、「ポイント」と言います。
2000年に店頭市場(ジャスダック)に上場後、時流を掴んだ展開で成長し今にいたります。
日本経済がさほど成長していないなかでも生き残ってきた、数少ないアパレル企業のひとつです。
アダストリアの傘下ブランド
アダストリアは以下のブランドを展開しています。
niko and…(ニコアンド)
JEANASiS(ジーナシス)
LOWRYS FARM(ローリーズファーム)
apart by lowrys(アパートバイローリーズ)
Andemiu(アンデミュウ)
BARNYARDSTORM(バンヤードストーム)
repipi armario(レピピアルマリオ)
Salon de la Trinite/Dissy(サロンデュラトリニーテ/ディッシー)
SQUOVAL(スクオーバル)
BABYLONE(バビロン)
BLISS POINT(ブリスポイント)
BAYFLOW(ベイフロー)
me%(ミィパーセント)
mikoa LOWRYS FARM(ミコアローリーズファーム)
studio CLIP(スタディオクリップ)
LEPSIM(レプシィム)
Heather(ヘザー)
GLOBAL WORK(グローバルワーク)
RAGEBLUE(レイジブルー)
HARE(ハレ)
アダストリアの業績
(以下は2018年9月30日に書いています。)
つい先日、アダストリアは2019年2月期第2四半期決算を発表しましたので、その資料などをもとに同社の業績をみていきましょう。
以下の資料はアダストリアの公式サイトからみることができます。
アダストリアの2019年2月期上期決算は売上2.6%減、営業利益86.0%減、経常利益84.6%減、純利益は赤字転落、一株当たり純利益は11.79円の赤字
となりました。
酷いものですね。これは。
ちなみに、アダストリアは第1四半期の業績も悪かったんですが、その時点での営業利益は12億7800万あったんです。
それが、第2四半期のアダストリアの業績をみると営業利益が5億2900万しかありません。
つまり、
アダストリアの2019年2月期第2四半期決算は実質的に赤字だった
ということです。
これは恐ろしいことです。
なぜなら、アダストリアにとって第2四半期というのはちょうど夏場の決算シーズンだからです。
アダストリアは2月期決算ですから、2Qは6月~8月です。
だいたいアパレル関連の夏のセールは6月後半から始まって、7月が盛り上がり、8月に売り切るのが普通です。
これがアダストリアは不調だった・・・ということ。
しかも、年間売上が2000億に達するような企業が、夏場のセール不振だったということ。
どれくらい深刻なのか、お分かりいただけると思います。
アダストリアという一企業だけの問題でなく、日本の小売業、店舗リーシングなど全体に関する問題である可能性があります。
とりあえず、続きを見ていきましょう。
以下は、アダストリアの業績を単体ベースで主要5ブランドについてみたものです。
ごらんのとおり、ニコアンド以外のブランドが軒並み売上減です。
稼ぎ頭である中高生向け?ブランドのグローバルワークとローリーズファームが不振となっています。
中高生が服以外のものにお金をかけている可能性がありますね。
あとは、もしかしたらメルカリ効果。
こちらはアダストリアの海外事業の業績です
利益段階では非常に苦戦しているのがわかりますが、売上ベースでは急激に伸びています。日本市場との勢いの違いがわかります。
ただ、アパレルはかなり現地の文化に精通していないとうまく行かないビジネスだと思います。
はたして日本企業としてのブランド価値を保ちつつ、ローカライズが可能であるのか、ちょっと興味深いところではあります。
こちらはアダストリアの今期出退店計画です。
アダストリア全体で退店の方が上回る状況になってきています。
アダストリアの福田三千男社長は「今までショッピングモールなどができるたびに出店してきたが、それによって在庫が膨らんでしまった」「この現象を止めるには、アパレル企業がみずから出店をセーブしていくしかない」との発言をしていました。
つまり、今後はショッピングセンターやアウトレットモールなどへの出店を控える、必要なら退店していくということ。
こうした流れが他社にも広がるようですと、商業用不動産REITなどの業績にも影響を与える可能性があります。
アダストリアの株価
最後に、アダストリアの株価についてみておきましょう。
アダストリア 日足株価
アダストリアは昨年夏くらいにも大きな業績下方修正を出して急落しました。急落というか暴落か。
ですから、アダストリアの株価は同社の業績不振を受けて既に下落してきており、チャートをみるかぎりでは7月にコツンといったんの底打ちを示しているようにみえます。
ただ、この株価の推移がアダストリアの赤字転落まで織り込んでいたのかどうかはよくわかりません。
アダストリアは赤字転落していますし、数年先の業績見通しはちょっと難しいものがありますのでバリュエーションの評価は難しいものがあります。
なお、アダストリアの配当は業績次第で振れることが多いですが、過去のベースでは2.5%程度はありました。
また、アダストリアも株主優待で株主を釣る企業として有名です。
アダストリア株を単位株数100株持っていると、年に一回、3000円相当の株主優待商品券が送られてきます。
アダストリアの優待利回りは2018年9月28日時点で1.98%程度となっており、配当利回り(赤字でも出るかどうかはしりませんが)と合わせると4.5%程度はつく銘柄・・・ということになります。
アダストリアは先ほども買いましたとおり2月期決算の会社ですから、株主優待&配当の権利確定日は2月になります。
このことから、アダストリアは多くの優待乞食が注目する銘柄となっています。
(多くの企業は3月決算なので、権利確定のために3月は資金が分散しがちです。その点アダストリアは2月決算企業なので、人気が集まりやすいのですね。)
とりあえず、こうした優待による株価押上げは株主平等原則に反しますし、ガバナンスを壊す要因になっていると思います。個人的には反対です。
が、そういった理由で売買するという事実も受け入れねばなりませんので、一応情報として書き添えておきます。
今回はアダストリアについて短評しました。
なお、上記はあくまでも個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたっては自己責任でされるようお願いいたします。