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中国国家発展改革委員会(NDRC)が中国経済の見通しに対して否定的な見解

中国国家発展改革委員会(NDRC)の何立峰主任が中国経済の現状と先行きに対して警戒感を示す

 

中国国家発展改革委員会(NDRC)の何立峰主任が、中国経済の先行きに対して非常に困難な見通しを示しています。

中国、安定的で健全な経済発展の達成で困難に直面=発改委主任 Reuter

ちなみに、何立峰主任っていうのは発改委の一番のお偉いさんです。

 

中国国家発展改革委員会( National Development and Reform Commission / NDRC / 国家発改委/発改委 )とは、中国国務院傘下の行政部門で経済政策・社会政策の計画・立案と、各種許認可の権限を握る巨大官庁です。

日本でいえば経済産業省と環境省と復興庁の権限と、内閣府、総務省、文科省、農水省の権限の一部も握るような強大な権限を持つ組織です。

1950年代からの経済体制時代に国家計画委員会(国計委)と言われていた組織で、その後、国家発展計画委員会、国家発展改革委員会と組織再編・名称変更を経て、現在の国家発展改革委員会となりました。

国家発展改革委員会は非常に強大な権力と影響力、重要性を持っていることから、「小国務院」、「既得権益の牙城」などともみられており、何度も解体再編のターゲットとなってきましたが、抜本的な改革は行われず今に至り、今なお中国の供給側管理、とくに物価関連の調節を一手に担っている非常に重要な組織です。

 

とりあえず、そんな大事な国家発展改革委員会のトップが、非常に厳しい口調で中国経済の先行きに対して困難さを強調しています。

中国、安定的で健全な経済発展の達成で困難に直面=発改委主任 Reuter

 

そういう意味で、このニュースは非常に大事なんです。

あまり日本では大きく取り上げられていませんが、この発言で先週後半の中国市場は大きく荒れました。

アメリカ市場の中国株が下がった理由を「トランプ大統領が9月6日から追加関税を導入すると言ったから」と解説する向きもありますが、もちろんそれもあるにはあるんですが、むしろ個人的には、こちらの発改委の何立峰主任の発言の方が影響がデカかったのではないか、とみています。

(実際、時間軸的にもそうです。トランプ発言前から下げてましたから。なお、ゲーム産業への締め付け強化を理由としたテンセントの下落も合わせ切りを誘発して中国株全体に影響を及ぼしており、ひとつだけの理由に絞るのは難しい部分はあるとは思います。)

 

なお、何立峰・発改委主任の全国人民代表大会、常務委員会での発言を纏めると以下のようになります。

 

  1. 経済成長、雇用、物価上昇率、貿易量に関する目標は達成可能だが努力が必要
  2. 消費、社会融資総量、可処分所得の伸びの目標達成には一段の努力が必要
  3. 経済の長期的な構造的問題と外的環境(米中貿易摩擦・先進国金利上昇か?)によるリスクを指摘
  4. 直近の経済指標によると、中国では投資の伸びが鈍化。
  5. 小売売上高や可処分所得の伸びも低調。
  6. 中国経済全体は冷え込み始めている。
  7. 今年通年の小売売上高の伸び率目標は10%だが、年初からこれまでに1か月しか達成できていない。

 

中国的なニュアンスでいくと、

1はがんばれば達成可能

2はちょっと難しいんじゃね?

ってことらしいです。

また、3はあきらかに国内の債務問題と米国との通商問題を指していると思われます。

 

とくに家計部門の債務が徐々に厳しくなりつつあります。

 

4、5、6、7は現状の統計を説明したものになります。

 

とりあえず、以上のような何立峰・発改委主任の全国人民代表大会、常務委員会での説明を受けて成立したのがコチラです。

 

中国個人所得税法改正~所得控除拡大で家計消費を後押しへ~住宅ローン控除、家賃控除も導入か~

 

中国政府は、つい数週間前まではインフラ開発による景気下支えをする旨の方針を示していましたが、ここにきて家計フレンドリーな政策を打ち出しています。

このことは大きな転換と言えると思います。

国家発展改革委員会にかぎらず、中国上層部にはかなりの危機感があるのではないか?と思います。

とりあえず、市場はまだ政策の浸透に対して疑心暗鬼のようです。

もっと多くを催促する相場になる可能性を持っています。

 

 

多くの人が想定している以上に深刻になる可能性があります。

注意が必要かな、と思います。

個人的には、中国の自動車販売の動向と物価動向には特に注意が必要だと思います。

以上です。