豚肉生産世界最大手の万洲国際(WHグループ)の子会社でアフリカ豚コレラ(ASF)に感染した豚が発見される
豚肉生産世界一位、中国の万洲国際(WHグループ)の子会社で、豚肉加工中国最大手の河南雙匯投資発展が中国河南省鄭州市で運営する食肉処理場で家畜伝染病のアフリカ豚コレラ(ASF)感染豚が確認されたとのことです。
この件に関し、河南省鄭州市当局は河南雙匯投資発展に対して同処理場の6週間の閉鎖を命じたとのこと。
この件で河南雙匯投資発展 (Henan Shuanghui Investment & Development Co., Ltd. / 000895.SZ)の株価は大きく下落
なお、アフリカ豚コレラ(ASF)は家畜伝染病であり、人間への感染は今まで認められていないとのこと。
アフリカ豚コレラ(ASF)は欧州系の豚やイノシシに感染する伝染病とのこと。
感染経路としてはダニによる媒介のほか、家畜同士の直接的な接触によっても感染するとのこと。
なお、症状としては発熱と四肢末端のチアノーゼ、呼吸困難、横臥を経て全身の出血性病変の発生に至り、致死率はかなり高いとのこと。
有効なワクチンなどはなく、治療もできないことから、屠殺が義務付けられているとのことです。
なお、先ほどの閉鎖された食肉処理場では、約30匹の豚がASFに感染して死んだとのこと。同処理場の1362頭を殺処分したとのことです。
この豚は黒竜江省から運び入れた豚だったとのことで、輸送元の養豚場の豚も感染が疑われているようです。
万洲国際/WHグループ 株価 日足チャート
ちなみに、万洲国際(BHグループ)は米中貿易戦争で中国側が米国からの豚肉に報復関税をかけたことから、業績の下振れ懸念が出ています。
トランプ大統領による米中貿易戦争ですが、米国側の追加関税措置に対して中国側は報復として同額の関税を米国からの輸入品にかけています。
このことで、米国で養豚場と食肉加工場を運営している万洲国際(BHグループ)にとっては、米国から中国への豚肉加工品の輸出に関税がかかることになり、非常に不利益となっています。
また、米国産の大豆および大豆ミール(飼料用)が手に入らず、ブラジルやアルゼンチンなどからの輸入に頼らざるを得なくなっているため、養豚業者にとってはマージンが圧迫されて死活問題となっています。
こうした中で起きたアフリカ豚コレラ(ASF)の発生は万洲国際(BHグループ)にとっては泣きっ面に蜂といったところ。
今後の同社の動向が気になります。
(本格的に中国でアフリカ豚コレラが蔓延することになれば、南米などから豚肉輸入が増えるものと思われます。これは、中国の貿易収支および輸送コスト・サービス収支に悪影響を及ぼすかもしれません。)