企業短評:乳業大手・明治ホールディングスを見てみよう

乳業大手、明治ホールディングス株式会社(meiji)の決算をみてみよう

 

身近な企業の決算をみてみよう。

今回は明治乳業と明治製菓が合併してできた明治ホールディングス株式会社をみてみましょう。

とりあえず、業績の数字から確認していきます。

 

明治ホールディングスの連結経営成績はこちらです。

明治ホールディングスの2018年3月期通期決算は、売上高0.1%減、営業利益7.1%増、経常利益7.9%増、当期純利益は0.8%増、EPSは422.15円、自己資本当期純利益率ROEは13.1%、売上高営業利益率は7.6%となっています。

 

 

 

明治ホールディングスの営業利益増減分析は以下のようになっています。

売上は減少、原価も上昇していますが、経費の減少で営業増益にもっていっています。果たしていつまで経費減を続けられるかわかりませんが、経営の努力でカバーしているようです。

 

 

つぎに、明治ホールディングスの業績をセグメントごとにみてみましょう。

明治ホールディングスの2018年3月期通期決算における食品セグメントは、発酵デイリー(ヨーグルト・乳製品など全般)が前年同期比0.9%減、、加工食品が同2.0%減、菓子が同1.5%減、栄養が同1.9%増、その他が同0.4%増となっています。その他の項目が数字として大きいのでよく見えませんが、トータルでは食品部門は減収だったことがわかります。

細かく見ていくと以下のようになっています。

 

明治ホールディングスの食品部門の売上を商品ごとに見たのが以下の資料です。

明治ホールディングスの食品部門における稼ぎ頭であるプロバイオティクスヨーグルト(プロビオLG21、R-1、PA-3)は、前年比0.2%減にとどまっていますが、一般的なヨーグルト(ブルガリアヨーグルトなど)などが2.8%減とやや大きな減少となっています。また、牛乳、チーズも全体的に減少しており、アイスクリームに至っては10.8%減というやや大きな下げになっています。

明治のアイスクリームというとエッセルスーパーカップが主力ですが、他の商品との競合もあり売れていないようです。

売れ筋「アイス」トップ100商品ランキング(東洋経済)

上記リンク先に、ちょっと昔のアイス売上ランキングが乗っているんですが、明治はほとんど入っていないんですね。エッセルスーパーカップ超バニラが3位に履いている以外は、森永乳業、江崎グリコ、ロッテが強い。なぜこのような結果になっているのかよくわかりませんが、とりあえずコッテリしてないものが人気な感じでしょうか。

 

なお、高級路線のTHEなどを展開しているチョコレート部門は一昨年7.4%上昇したあとですが、昨年通期も1.4%の売上増だったようです。こちらはリッチ路線が成功しているようで、人々の好みっていうのは難しいもんですね。

 

なお、乳業大手全般で言えることなのですが、このところしょっちゅう値上げをしています。サイズが小さくなって実質値上げみたいな、「ステルス値上げ」というのだそうですけど、そういったことが増えています。

当初はうまくいったこの戦略なのですが、どうも最近は消費者が目敏くなっていて、安いPB商品に流れていっているような感じがします。近所のスーパーでも、PBをおいていない地場のところよりも、PBが充実した店の方が売れています。野菜ジュースなどでもカゴメよりイオンの商品がよく売れている感じです。一昨年と去年の乳業各社の売り上げの違いは、そこらへんの価格戦略が影響している可能性があります。

 

 

とりあえず、つづきをみましょう。

明治ホールディングスの医薬品セグメントの業績は以下のようになっています。

 

ぶっちゃけた話し、医薬セグメントはたいして大きな数字ではないので無視しても良いと思います。医薬部門は明治ホールディングスの売上全体の13%程度の売上しかありません。

 

これは海外事業売上についても同じことが言えて、明治ホールディングスの海外売上高比率は食品で4%、医薬部門で23%、食品医薬あわせると、全体売上の6.45%でしかありません。完全に国内消費型企業です。

 

 

 

さて、明治ホールディングスの株価やバリュエーションも見てみましょう。

 

明治ホールディングスの株価チャートです。チャート的には、三尊つけて下向きトレンド継続中といった感じにみえます。戻りを売りたい人が多いかもしれません。

 

なお、明治ホールディングスのバリュエーションは、アナリスト予想コンセンサスをもとにすると、2020年3月期のPER19.2倍、EV/EBITDA9.86倍です。

ヒストリカルにみるとやや高めですが、カネ余りの現在では普通の水準にみえます。

 

 

とりあえず、国内比率がやたら高い明治ホールディングス。

 

国内の消費動向をみていけば大体の予想がつくのが業績予想をするさいには優しい銘柄といえます。株価の推移はちょっと手を出しにくいですし、バリュエーションも高めにみえますが、調整がすめば初心者の方でも手を出しやすい銘柄だと思います。

以上です。

 

 

なお、この記事は2018年6月19日に書いています。PERやEV/EBITDAなどのバリュエーション指標は当日のデータをもとにしています。この記事を読んでいただいている時には変化していると思われますので、ご自分で調べてから投資の是非を判断されますようお願いいたします。