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中国教育大手TALエデュケーション(好未来)/空売り屋カーソン・ブロック氏の粉飾指摘に反論

カラ売り屋のカーソン・ブロック氏が、中国教育大手TAL Educationの利益水増し疑惑を指摘しています。これにTAL側が反論しています。

 

カーソン・ブロック(Carson Block)氏の属するマディ・ウォーターズ(Muddy Waters)は、TALエデュケーション(好未来)の業績が過去二年の間に営業利益21%以上、税引き前利益39%以上、純利益43%以上水増しされていたと主張しています。

Short seller Carson Block compares hot China stock Tal Education to Enron; shares dive(CNBC)

カーソン・ブロック氏、中国のTALエデュケーション(好未来)を空売り-利益水増しと主張(Bloomberg)

12日に出されたこの調査リポートを受け、米国ニューヨーク市場に上場しているTALエデュケーション(好未来)のADR株価は一時15%安、その後も戻りの鈍い動きとなっています。

Tal Educations(NYSE:TAL) 日足

 

これに対し、中国で教育サービスを展開しているTALエデュケーション(好未来)は14日、同社の利益水増しを主張しているカーソン・ブロック氏とマディ・ウォーターズのリポートは虚偽であると反論。法的措置をとるぞ、と主張しています。

中国の好未来:ブロック氏リポートに反論-利益水増し主張は「虚偽」

また、TALエデュケーション(好未来)に投資しているシンガポールのヘッジファンドQQQキャピタル・ファンドのシニア投資アナリスト、ワン・チョウ氏もマディ・ウォーターへの非支持を表明。これからもTALエデュケーション(好未来)への投資を続けていくつもりだとしています。


中卒君はTALエデュケーションとマディ・ウォーターズのどちらの主張が正しいのかはわかりません。

ただ、マディ・ウォーターズには実績があることも確かです。

マディ・ウォーターズは2011年にSino Forestという中国の造林業の企業の粉飾虚偽決算を暴き出し、上場廃止に追い込んだことがありました。今回のTALエデュケーションへの挑戦にしても、まったく勝算なしでやっているはずがありません。なにかしら裏をとっているからこそ、ここまで強気になれるのではないでしょうか。


先ほどのTALエデュケーションの日足チャートでは直近の部分までしか載せていませんでしたので、もう少しスパンのチャートも見てみることにしましょう。

 

TALエデュケーション(好未来)の株価は5年で20倍近く上昇しています。

空売りレポートが出てくる前は50ドルを意識するような水準まで上がっていました。

中国での教育市場の拡大を囃して、バリュエーションはPER80倍、EV/EBITDA50倍を超える水準まで買い上げられてきました。(2019年通期のアナリストコンセンサスベース)

チャートパターン的には、マディ・ウォーターのリポートが本当であるならこんな水準では止まれない、、、と思います。もともとのバリュエーションが高すぎますし、チャートを見る限り買い集めされていたポイントはかなり下です。多くの投資家のポジションは利益がノリノリな可能性があります。


ちなみに、TALエデュケーション(好未来)は日本の外国株投資家にも人気で、大手アメリカ株ブログなどでも強気で取り上げられている銘柄でした。

たしかにTALエデュケーション(好未来)の利益拡大ペースはとても速いですし、グロース株好きなら目が行くのは当然だと思います。彼らブロガーは素人ですからしかたありません。罪はありません。

ただ・・・日本の大手証券・・・ぶっちゃけていうと大和証券などですが、そういったところもTALエデュケーション(好未来)に対しては強気でアナリストレーティングをつけていたんです。

もし今回、マディ・ウォーターの主張が正しかった場合、彼らアナリストはいったい何をアナライズしていたんだ?ということになります。まさかTALエデュケーション(好未来)のForm10-Kを読んでおしまい、なわけないですもんね。貸借対照表や損益計算書だけ読んで記事を書くだけなら素人でもできます。

 

個人的には、AI全盛の時代に人間がやれることは何か?をこういった空売りファンドが教えてくれているような気がします。AIがまったく気づけないことを人間なら気づける、そういうものもあるはずです。そんな希望をもって、動向を見守っています。