企業短評:イビデンの業績をみてみよう DPFとパッケージ基盤激減で業績低迷

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企業短評、今回は岐阜のセラミック&電子部品企業イビデンの業績についてみていきます。

 

むかしの岐阜の人にとっては就職先としても人気だった(?)イビデン

 

先に言っておきますが、この会社について中卒君は買いを推奨するつもりはございません。むしろ、まったく強気になれません。

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ではなぜ取り上げるのかというと

「技術トレンドを見誤る恐ろしさ」

をどこの企業よりもわかりやすく説明できるから、です。

 

とりあえず、業績を確認するためにイビデンの直近の決算をみてみましょう。

同社は前期の大幅な赤字決算からは復活しましたが、それでも営業利益は5パーセント近辺と薄いマージンの商売をしていることがわかります。

(なお、ここには連結経営成績しか載せませんが、リンク先にはイビデンの財務諸表や損益計算書もありますので、詳しく知りたい方はそちらをご確認ください。)

 

 

なお、イビデンの業績をセグメントごとにみると以下のようになります。上が当年度、下が昨年度です。

電子事業部門は、前年度の構造改革により利益が出せるようにはなりましたが、ファンアウトウエハーレベルパッケージ(FO-WLP)※1への技術トレンドの移行により同社の活躍の場が減少、パッケージング事業は前年より減収となりました。マザーボード・プリント配線板事業は増収となりましたが、かつての稼ぎ頭であったパッケージング事業の減退は非常に痛いものになっているのがわかります。

※1 FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)

半導体を表面実装するパッケージ方式の一つ。以前のサブストレートを使った半導体パッケージから、基板を必要としないFOWLPにすることで基板の費用削減、低背化などを実現。2016年に導入され一気に広まったことで、それまでFCCSP(Flip Chip Chip Scale Package)用基板やパッケージを提供してきたイビデンの業績が急降下。同社低迷の一つのきっかけになりました。

 

こちらが同社の前年のセグメント業績。電子部品事業において構造改革時による赤字が出ていることがわかります。

そしてもう一つ、セラミックというのがあります。このセラミック部門は何をしているのかというと、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)というディーゼル車の排ガスに含まれる粒子状物質を軽減させるためのフィルターを作っています。他にも触媒担体保持材や特殊炭素製品なども作っていますが、同社の業績においてはやはりDPFの売上がとても大きいです。

ですが、ご存知の通り、世界的にディーゼル車を廃止し、EVに転換していこうとしています。当然、DPFや触媒担体保持材はだんだんと必要なくなります。これが同社の業績に大きな問題を起こす可能性があります。

 

 

で、とりあえず何が言いたいのかというと、このイビデンは、昔は最先端技術を誇る企業だったんです。多くのアナリストが強気レーティングをつけていました。

ところが、それが外部の技術トレンドの転換で一気に暗転したのです。

その変化は同社の責任ではありません。同社が不祥事を働いたわけではない。

ただ、世界が変化してしまいました。

 

こういう例は他にもあるのですが、イビデンほど矢継ぎ早に悪材料が降りかかった企業も珍しいと思います。

 

 

イビデンの最近のニュース

同社ももちろん、手を拱いているわけではありません。最近のニュースを調べてみると、まったく新たな事業を立ち上げようと自動車用樹脂窓など提案しているようです。しかしなかなか実用化までには遠そうです。この調子ではハイエンドサーバー向けパッケージと高密度配線板くらいしか稼げる事業がなくなるんじゃないかと思います。

イビデンは、5年で設備投資1900億円を投じるとか言ってますが、具体的に何に投じるのかみえません。

イビデンが新中期経営計画、5年で設備投資1900億円

同社の経営陣は業績悪化による責任追及を嫌がったのでしょうか、株主優待を導入して個人株主を餌付けしようとしたり、デンソーに株式保有してもらって安定株主になってもらったりし始めています。

まさに、貧すれば鈍すです。

 

とりあえず、おいらは同社の業績にはまったく将来性を感じません。

最後に株価と株価チャートもみてみましょう。

 

 

イビデン株価 日足チャート

月足チャート

 

すさまじいですね。イビデンのようなそれなりに大きな企業の株価が一年で約9分の1になることもありますからね。シクリカルセクター、電子部品セクターっていうのはそういう怖さがあります。

ちなみに、こういうのは同社に限った話じゃありません。例えば半導体製造装置や工作機械などシクリカルな銘柄は、どこだってこういうふうになる可能性があります。

いま、世界経済はとても好景気です。そういうときは、シクリカルセクターの銘柄は業績もいいですし、PERも低く出がちです。

そのPERをあてにして株を買うと、いざ景気後退したときに目も当てられません。

いまは、そういう意味で非常に気を付けて回さないといけない時期です。

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