中国ITを誘致 香港取引所、「種類株」解禁へ最終案
昨年夏あたりから言われてきた、香港証券取引所(0388.HK)における種類株解禁がとうとう正式決定されるようです。
林鄭月娥(りんていげつが、キャリー・ラム)行政長官肝入りの政策らしく、かなり細かいところまでほぼ決定しているようです。
ここで種類株について説明します。
簡単にいうと「一株当たりの議決権が異なる株式」ということです。
株主は持ち株比率に応じて
- 株主総会を通じて会社の経営に関与する権利
- 配当金などの利益分配を受ける権利
- 会社解散時の残余財産を受け取る権利
を保有しています。
本来ならば一株一権利であるべきなのですが、
「上場はしたいが、経営権を奪われたくない」
などといった我儘な創業者のために、
「じゃあ利益分配や残余財産の分配の権利をちゃんとしてくれるなら、議決権が少ない株式でも上場させてあげるよ」
などと条件を緩和して、上場させる・・・ということです。
なんでこんなことをするのかというと、簡単に言ってしまえば、ここ最近の香港証券取引所が負け組になっていたからです。
かつて、中国企業が上場するのは上海市場かシンセン市場、もしくは香港市場と決まっていました。とくにネット系やハイテク系など先進的な中国企業は、ほぼ香港市場に上場していました。テンセントなども香港市場上場です。
ところが最近、世界的にもかなり厳しい規則を上場企業に押し付けている香港市場ではなく、もっとフランクに上場できるNYSEやNasdaqに上場してしまおうという中国企業が相次いできました。その代表がアリババです。他にもNetEaseやMOMO、JD.com、Ctrip、Baidu、YY、Sinaなどもそうです。他にも何十社もアメリカに行ってしまいました。香港は古くからの企業だらけになってしまいました。
中国企業なのに、その株式の売買手数料がアメリカに落ちてしまうのです。それだけでなく、上場のサポートをするのもアメリカの金融機関に持っていかれてしまうことになります。これは香港の金融機関にとっては不満です。
そこで、今回の種類株解禁と相成りました。
これによって香港証券取引所の売買代金が増えるだろうと見られています。
種類株を使った上場予定としては、小米(シャオミ)、アントフィナンシャル(アリババ傘下の金融会社)などが予定されているそうです。どちらも10兆円規模の企業です。また米英に上場する企業のセカンダリー上場も認めることから、アリババなども上場するのではと言われています。
種類株解禁を受けて香港証券取引所の株価もよく上がっています。
PERは40倍以上、EV/EBITDAで23倍くらいでしょうか。いくらなんでも高すぎます。
個人的には、香港証券取引所よりも中国地盤の金融機関の方に妙味があるのではないかと思います。
by中卒くん