中国国家主席の任期制限撤廃にみる習近平の野望

いきなりすごいニュースが飛び込んできました。

中国、国家主席の任期撤廃へ 習近平政権3期目可能に

 

要約すると、つまりこういうことです。

 

  • 文化大革命の反省にたち、中国共産党の党規約では「国家主席への個人崇拝の禁止(10条)」「国家主席の任期は2期10年に限定」が定められてきた
  • 習近平は2012年11月より国家主席を務め、2017年10月の第19期1中全会より現在二期目。ちなみにその他の政治局常務委員は李克強以外は習近平に極めて近しい間柄と言われているとか・・・(俺はここらへんの事情はよう知りません)
  • 2017年10月、習近平思想を党規約に盛り込む。個人崇拝を禁じる中国共産党では非常に珍しく、在任中に盛り込まれたのは毛沢東思想以来。
  • 2018年2月、国家主席の任期撤廃を提案  ←イマココ

 

こんな感じです。

 

で、もし仮にこの提案が通ったとして(たぶん通るでしょう)、そのあとに何が起きるのかを中卒レベルの足りないあたまで考えてみました。

(なお、混合所有制改革やロシアとのエネルギー安保体制構築などは、習近平の任期が伸びようと伸びまいと行われることなので、今回のリストには入れていません。)

 

  • 王岐山(69歳)の重要ポスト入り。第19期1中全会では(年齢制限の慣習により)常務委員に入れなかったが、ここにきて副主席のポストに就くのではと噂。これが重要ポストに就けば、習近平の三期も可能になる・・・との見方らしい。個人的には微妙かと思いますが。
  • 石油閥、電力閥、石炭閥、鉄道閥などへの逆風。とくに石油閥には大逆風。各種映像からすると、曽慶紅、江沢民など上海閥との関係もギクシャクしているように見える。
  • 貧困対策の一層の強化。胡錦涛までの時代と習近平以降の明確な違いはここ。先富論からの転換。人民元相場を元高方向に調整する可能性。
  • 党主席ポストの創設。これを実現するために軍の力を借りるようなことがなければいいが。
  • 軍のプレゼンスの拡大。アフリカ、インド周辺国での政治情勢に注意。内戦へ積極的に介入する可能性。軍がやや暴走し、ドローンや3Dプリンター、AIを使った新世代の戦いの実験場として内戦状態の国を探す可能性。習近平は過去五年間をみるかぎり、軍を完全には掌握しきれていないようにみえる。

 

 

こんな感じのことを想定しています。

 

とくに、党主席ポストを目指さんがために軍のプレゼンスが高まることには注意が必要です。この傾向が強まった場合には、いろいろとシナリオを練り直す必要が出てきます。

 

 

 

 

by中卒くん