富士PS/富士ピー・エスの業績と株価
今回はプレストレストコンクリート業界大手で橋梁土木を多く手掛ける富士ピー・エス(富士PS)の業績と株価を見ていきます。
まずは富士ピー・エス(富士PS)の会社説明からはじめましょう。
富士ピー・エス(富士PS)とは?
富士ピー・エス(富士PS)とはプレストレストコンクリート工法を利用した橋梁土木工事で大手の企業です。
なお、プレストレストコンクリート工法については以下参照
プレストレストコンクリート業界~高速道の床版・中央リニアの側壁ガイドウェイなどで需要拡大か
富士ピー・エス(富士PS)は土木事業中心
富士ピー・エス(富士PS)は他のプレストレストコンクリート業界の企業とは異なり、売上に占める土木事業の比率が8割と高いことが特徴です。
なお、プレストレストコンクリート業界大手のPS三菱は5割土木、5割建築です。
同じくプレストレストコンクリート業界大手の三井住友建設は土木が4割、建築が6割となっています。
このため富士ピー・エス(富士PS)は、より官公需の変動による影響を受けやすい企業と言えると思います。
富士ピー・エス(富士PS)は国土強靭化プロジェクトで恩恵を受けやすい
富士ピー・エス(富士PS)は土木事業比率が8割ですから、民間の景気よりも政府の予算編成の影響を受けやすい銘柄です。
政府は不景気になると公共事業を積み増しやすくなりますから、富士ピー・エス(富士PS)にとっては景気後退時はむしろ受注しやすい環境といえます。
また、相次ぐ自然災害を踏まえ、日本政府は国土強靭化プロジェクトを打ち出しており、そういったものも富士ピー・エス(富士PS)には追い風となっています。
NEXCO発注の高速道路修繕工事2兆円の恩恵に与りやすい
NEXCOが抱える高速道路の多くが築30年、40年以上経過してきています。
これにより、道路床版が非常に劣化しており、大規模なリニューアル工事が必要となっています。
道路床版にはプレストレストコンクリートを使いますので、これは富士ピー・エス(富士PS)のような企業にとっては恩恵があります。
富士ピー・エス(富士PS)は子会社でPCマクラギを制作
富士ピー・エス(富士PS)の子会社シーピーケイはプレストレストコンクリートを使ったまくらぎの製造を行っています。
富士ピー・エス(富士PS)の業績
ここからは富士ピー・エス(富士PS)の業績を決算関連資料や会社説明資料などをもとにみていきます。
(この記事は2018年11月7日に書きました。)
富士ピー・エス(富士PS)の2019年3月期第2四半期決算の業績は売上高2.6%減、営業利益96.4%減、経常利益99.3%減、四半期純利益赤字、1株当たり四半期純利益2.25円の赤字
になりました。
かなり悪化しているようにみえますが、この数字はそれほど悲観しなくてもいいです。
富士ピー・エス(富士PS)は第1四半期が営業利益から下が赤字だったので、この2四半期目で結構黒字化させたことになります。
また、基本的にこの手の建設会社は追加工事などの手直しぶんをあとあとに発注されることを前提に組んでますので、通期すべてで業績をみる必要があります。
上期の業績だけをみて富士ピー・エス(富士PS)の業績判断をするのは控えた方がいい、と思います。
ただし、問題は受注が減っていることと、コストが上昇していることです。
富士ピー・エス(富士PS)の業績リスク~コストが上昇している。
こちらを見てもらえばわかりますが、富士ピー・エス(富士PS)は売上が伸びていないのに、売上原価と販管費が伸びています。
これにより、営業利益が激減。
富士ピー・エス(富士PS)の業績面でのリスクとして、コスト管理がおかしくなってきている可能性があり、そこには注意してみていく必要がありそうです。
富士ピー・エス(富士PS)の業績面でのリスク~受注が減っている。
こちらは富士ピー・エス(富士PS)の決算補足説明資料の1ページめです。
この会社の資料は非常に見やすいですね。
しかも悪い情報でも堂々で1ページ目に持ってくるあたり、なかなか良いIR方針だと思います。(Appleより立派です)
とりあえず、富士ピー・エス(富士PS)の受注なんですが、これが大きく落ちています。
土木、建築ともに富士ピー・エス(富士PS)は受注を落としており、完工による売上計上の方が勝っている状態です。
売上高が大きく伸びていることからみると、受注残を早く解消するために人員なども多く抱えたのかもしれません。
それがコストに跳ね返ってます。
そして悪いことに、そのタイミングで受注が減っている。
これは良いことではない、と思います。
富士ピー・エス(富士PS)の株価
富士ピー・エス(富士PS) 日足株価
富士ピー・エス(富士PS) 週足株価
こうした状況を受け、富士ピー・エス(富士PS)の株価は大きく下落してきています。
ずんずん下値を切り下げ続けており、底が見えない状況になっています。
今後は受注環境が改善するタイミングを探る展開になりそうです。
とりあえず、今回は富士ピー・エス(富士PS)の業績と株価についてみてきました。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資行動をお勧めするものではありません。投資にあたっては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。