インドがロシア製地対空ミサイルシステムS-400を購入~モディ政権、米国の要求を拒否

インドがロシア製地対空ミサイルシステムS-400「トリウームフ」を5基購入

 

 

インド政府はロシアから地対空ミサイルシステムS-400「トリウームフ」(NATOコードネーム SA-21 Growler)を購入へ。アメリカからの不買要求を拒否

 

 

インド政府はかねてよりロシアと交渉してきた地対空ミサイルシステムS-400「トリウームフ」( SA-21 Growler)の購入契約を締結

インドは地対空ミサイルS-400を5基、総額50億ドルを購入するということです。

 

米国はインドに地対空ミサイルS-400を購入しないよう迫る

地対空ミサイルシステムS-400に関しては、トランプ政権がインド政府に対してロシアからの購入を断るように圧力をかけていましたが、事実上、これを拒否するかたちとなりました。

インドは今回のS-400の購入に関して経済制裁の例外措置をアメリカに要求。

また、イラン産原油の輸入に関しても例外を認めるよう米トランプ政権に対して要求しています。

インド、ロシアからS-400システムを購入する件で、米国の制裁回避を望む

 

 

 

中国共産党中央軍事委員会装備発展部と同部部長である李尚福氏(Li Shangfu)はすでに地対空ミサイルS-400を購入したせいで米国による経済制裁を受けている

インドは以前よりロシア製兵器の大量購入国のひとつであり、地対空ミサイルS-400に関しても、その開発段階からインドは購入を希望していたといわれています。

ロシア製兵器の大量購入国のもう片方は中国です。

中国は2017~2018年にSu-35を10機とS-400をロシアから購入したのですが、この際の取引を問題視されアメリカ政府に経済制裁を受けています。

経済制裁を通じた米国の敵対者への対抗措置法(CAATSA)の対象であるロシアの国営兵器輸出企業ロスオボロンエクスポルト社(Rosoboronexport)と取引した中央軍事委員会装備発展部と同部部長、李尚福氏(Li Shangfu)が制裁対象となりました。

米国・対露制裁違反で中国軍兵器管理部門と李尚福氏を制裁対象に~インドやトルコへの圧力か~

これはつい先月のことであり、アメリカが李尚福氏と中央軍事委員会装備発展部に制裁をかけたのは、インドを含めてロシア製兵器(とくに地対空ミサイルS-400)を購入することを目指している国家に対する牽制である、とみられていました。

 

そうしたなかで、アメリカの意をまったく無視してロシアと地対空ミサイルS-400の契約をしたインドは、今回の米中貿易戦争、米ロ間の対立においてあくまでも中立であることを宣言した行為に他なりません。

 

アメリカは、地対空ミサイルS-400が世界のパワーバランスを乱すだけの能力がある兵器だと警戒しています。

とくにそのレーダー範囲600㎞と迎撃範囲400㎞の広さは驚異的です。

これが世界中に導入されたなら、アメリカが好き勝手に航空戦力を使えない状況になりますので、非常に警戒しているわけです。

またアメリカは、自国にレイセオンという、ほぼミサイル専業メーカーを抱えます。

S-400の代替としてPAC-3やSM-3、THAADなどを導入してくれればレイセオンが儲かるわけです。

トランプ政権は軍需産業、兵器産業の振興も狙ってますから、インドなど多くの国にロシア製地対空ミサイルシステムS-400の購入を諦めさせ、代わりに自国のものを売り込もうとしてきました。

また、ロシア製地対空ミサイルシステムS-400の導入にあたってはデータリンクの問題もあるでしょう。

インドはアメリカの戦闘機なども導入していますから、ロシア製地対空ミサイルシステムS-400を導入すると、自分たちの戦闘機を誤って撃ち落とさないようにデータリンクするための暗号化処理技術などがロシア側に駄々洩れしかねません。

それを無視してまでインドは地対空ミサイルS-400の導入に踏み切った。。。

地対空ミサイルS-400がかなり高性能な兵器であることがわかろうかと思います。

 

とりあえず、インドは今回の地対空ミサイルS-400の一件でアメリカ側、中国・ロシア側の中間地点で旗色を見せずにいることをアピールしています。

 

対イラン制裁に関しても、同様の態度をとるかもしれません。

インドに対しては最近、アメリカ企業が大量に進出しています。

WTO加盟から15年以上たっても中国が変わらないことから、ネクストフロンティアを求めた企業がインドに殺到しています。

ウォルマートもアマゾンもインドのネット小売り市場へ積極的な投資を行い、同国の市場で一位、二位を占めています。

メディア関連は国営がほとんどですが、民間チャンネルはFOXなどが参入していっています。

おもに消費財の分野から米資本はインド市場を攻略しようとしています。

米国は、インドを自陣営に取り込もうと必死になってきました。

そうしたなかでの今回のインド政府の判断、いろいろと重要です。

 

 

 


追記

 

地対空ミサイルシステムS-400「トリウームフ」とは?

 

以前の記事でも紹介させていただきましたが、今回もかるくではありますが、ロシア製地対空ミサイルシステムS-400について書いておきます。

 

地対空ミサイルシステムS-400は、米国のPAC-3やTHAAD、イージスアショアなどと同様に、地上配備型の地対空兵器。

地対空兵器の目標は、簡単に言ってしまえば敵の戦闘機や爆撃機を撃墜したり、ミサイルなどの飛翔体を迎撃して破壊すること。

この能力に関して、地対空ミサイルS-400はコストパフォーマンスに優れていると言われています。

まず、中国など外部の国の評価として、ロシア製地対空ミサイルS-400は射程、精度、作戦範囲が非常に広いと言われています。

S-400は目標検出距離が600㎞、迎撃距離が最大400㎞に達すると言われ、非常に長距離。

数種類の対空ミサイルを搭載でき(40N6、48N6DM、48N6E3、48N6E2、9M96 、9M96E2、9M96E)、多用途の運用が可能。

また、ミサイル迎撃時には高度・中度・低度で打ち漏らしたものを数段階にわけて迎撃する必要がありますが、これを一つのシステムで実行可能

しかも同時ターゲティング数、同時誘導数が多い。

アメリカのパトリオットミサイルやRIM-161スタンダード・ミサイル3なんかよりも遥かに低ランニングコスト。

安くて、高性能なので世界中で引く手あまたなわけです。

 

以上