トランプ政権のムハンマド皇太子擁護姿勢に議会が猛反発~サウジへの兵器売却はどうなる?~
トランプ政権のムハンマド皇太子擁護姿勢に議会が反発
ジャマル・カショギ氏殺害事件に関し、「ムハンマド皇太子の関与を示すものは何もない」とマティス国防長官、ポンペイオ国務長官が相次いで発言しています。
Trump administration defends close Saudi ties as Senate moves to …
これは先にトランプ大統領がムハンマド皇太子を擁護した姿勢を巡り上院で非公開で行われた説明でしたが、このなかでポンペイオ長官はこれ以上サウジとの関係を悪化させないように議会に求めました。
またマティス国防長官は、サウジに対する武器売却をやめることは間違っていると指摘。
アメリカの安全保障上の利益を棄てることはできない、と準備書面のなかに書いていたとのことです。(実際にこういったやりとりがあったかは不明)
これに対し議会は猛反発を示しています。
特に上院外交委員長ボブ・コーカー議員などは、
「カショギ氏殺害の責任がムハンマド皇太子にあるのは誰の目にも明らか」
とし、また民主党の外交委員会トップ、ロバート・メンデス上院議員も
「利益があるからといって、このような殺人行為から目を背けるなんてありえない」
と強い口調でトランプ政権のプロ・サウジ路線を非難しています。
兵器売却には議会の承認が必要。トランプ大統領は議会を説得できるか?
トランプ大統領が誇る「大統領就任最初の成果」は、1100億ドルの兵器売却契約をサウジと結んだこととされています。
これは周りの人が評価するよりも、たぶんトランプ大統領自身が非常に誇っていることで、ツイートや演説のときだけでなく、周辺の人にも何度もこの成果をアピールしてきたといわれています。
しかし、これを実現するためには、議会を通す必要があります。
また今回、サウジは追加でロッキードマーチン製のTHAAD発射台44基と迎撃ミサイルなどを総額150億ドル発注したとのことです。
Saudi Arabia inks deal for Lockheed’s missile defense system
この時期に大型の兵器発注をするあたりが、サウジのいやらしいところ。
そして、トランプ大統領は「カネになるならなんでもいい」といった態度でこれに跳び付こうとしています。
しかし、兵器売却には議会の承認が必要。
今後、トランプ大統領は議会を説得できるでしょうか。
今までも、サウジへの武器売却は議会が猛反対してギリギリで通してきた経緯があります。
今回はかなりハードルが上がっているのが現実です。
説得できるか、できないか・・・
サウジは米国の防衛産業のお得意先
もしできなければ、アメリカの防衛産業銘柄にとってはネガティブ材料となります。
ほとんどの銘柄は、なんだかんだで議会が折れるだろ?といった見通しで回っているようにみえます。
実際どうなるか。
一応、いろいろなリスクシナリオは描いておいた方が良いと思います。
以上です。