ESG投資に転機~旗振り役カルパースのプリヤ・メイサー氏が退任へ
ESG投資を推進してきたプリヤ・メイサー氏がカルパース理事から外れる
今日の日経朝刊におもしろい記事が載っていました。
ESG投資を推進してきたプリヤ・メイサー氏が、カルパース(米カリフォルニア州職員退職年金基金)の理事から外れることになったとのことです。
そして、ESG投資に反対するジェイソン・ペレス氏がカルパースの新理事に就任するとのこと。
まったく正反対の思想を持つ二人の理事が入れ替わることで、カルパースの投資方針も変化する可能性がある・・・ということです。
運用資産額3500億ドル(39兆円)のカルパースとESG投資
米国最大規模の運用資産を誇るカルパースは、これまで積極的に投資先の経営に関与してきたことで有名です。
そして近年、カルパースの経営への関与は、経営効率や利益成長などの財務情報だけでなく、ESGという社会的責任なども含めた非財務情報に関しても及ぶようになってきていました。
そうしたカルパースの変容を後押ししてきたのが、プリヤ・メイサー氏と言われています。
プリヤ・メイサー氏はESG投資がリスク低減に繋がるというが、カルパースの運用成績は低迷
プリヤ・メイサー氏はESG投資がリスク低減に繋がり、長期的に見てリターンが良いと言っていますが、実際のところ、近年のカルパースの運用成績は落ちているようです。
先ほどの記事にもありますが、カルパースの年間投資収益率は17年度までの5年間、10年間の運用成績でみて、指数の上昇に達していないとのこと。
こうした流れに運用を委託する加入者が反対票を投じ、今回の人事刷新に繋がったとのことです。
カルパース時代のプリヤ・メイサー氏は日本にもESG投資を根付かせようとしていた
プリヤ・メイサー氏がカルパースに在籍していた当時のインタビュー記事が日経BPにあります。
このなかで、ESG投資がどれほど素晴らしいものかを抽象的に説明しています。
まったく具体例がないのが何とも言えないところですが、とりあえず、カルパースは日本にもESG投資を根付かせようとしていたようです。
この流れが停滞する可能性が出ています。
あとがき
そもそもにおいて、ESG投資が胡散臭いのはわかっていましたから、今回のプリヤ・メイサー氏の退任は好ましいことだと思います。
ESGが運用成績上好ましいというデータもないわけではありませんが、上昇率の高い銘柄をあとから抽出して「ESGに積極的な企業」として評価している部分があり、およそ科学的なスタンスで評価されているようにはみえません
もし本当に世界にESG投資を根付かせたいのなら、そういった恣意的な運用をやめ、もっとシステミックにESG評価を行い、そのうえでリターンがどうであったのかを表したらいいと思います。
今のままでは基金の加入者からもそっぽを向かれているESG投資。
いろいろと改善の余地がありそうです。
以上。