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中国貿易統計~米国以外への貿易収支が赤字に転じた件について

以下はたんなるコラムです。

ニュースまとめには書ききれない文字数のものをこちらに書いています。

とりあえず、読んでもカネにはならないでしょうから、飛ばして大丈夫です。


中国貿易統計~対米黒字でその他の国々への赤字を補填する構造へ~

 

 

中国の貿易構造が急激に変化してきています。

青線は、世界に対する貿易収支の黒字です。

オレンジ線は、アメリカに対する貿易収支の黒字です。

これが、ふたたびクロスしようとしています。

 

 

先日発表された中国の2018年7月分の貿易統計(ドルベース)によりますと

中国の輸出額は2155億ドル、輸入額は1875億ドル、差し引き280億ドル黒字

中国の対米輸出額は415億ドル、対米輸入額は134億ドル、差し引き281億ドル黒字

でした。

 

 

つまり、先ほどのグラフでいうと、2018年7月の貿易統計に限っていうと、対アメリカと対世界がふたたびクロスしている、、、ということになります。

これはつまり、中国は対アメリカには貿易黒字だけれど、対世界では貿易赤字だよ・・・ということです。

 

この状況になったのは過去に二回あります。

一回目は中国がWTOに加盟し、中国から対米輸出が急拡大したとき。

この時はアメリカは中国に対して寛容でした。

次の大消費地として有望な中国の中間層を育てるために、アメリカは貿易不均衡問題には目を瞑っていました。

 

二回目は2010年頃からの中国のインフラ投資ブームのころ。

このときは、アメリカはサブプライムローン破綻からの病み上がり経済でした。

中国による需要追加政策によって、中国のインフラ投資向けの原料炭や鉄鉱石などの輸入が急拡大しました。

アメリカへの輸出はあくまでもコンスタントなペースであり、中国が他国から資材を大量に輸入した結果として、米国外に対して貿易赤字になっただけです。

 

このころは特段、問題にならなかった。。。

 

 

しかし今、ごぞんじのとおり、アメリカのトランプ政権は中国に対して強烈な貿易戦争を仕掛けています。

アメリカはもはや中国のこれ以上の拡大を快く思っていません。

さっさとブチのめしたいと考えています。

 

世界は陰謀でまわってるぅ~~米中貿易戦争~~

 

アメリカは、中国からの輸入に制限をかけ、中国の対米貿易黒字を減らしたいと考えています。

上記で見ました通り、非常に速いスピードで、中国の対米以外の国に対する貿易黒字が減少しています。

と同時に、経常収支(モノの貿易だけでなく、サービス収支や所得収支、移転収支も含む)でみると、中国の経常収支はすでに赤字ゾーンに入ってきています。

これには、サービス収支の赤字・・・なかんずく旅行の影響が大きく反映されています。

 

 

ここ数年、中国では海外旅行ブームです。

日本にも大量の中国人がやってきて、

まずは象印の炊飯器を買い漁り、南部鉄器を買い漁り、

それが飽きるとオカモトの激薄コンドームや馬脂、フルグラ、紙おむつを買い漁り、

さらにそれにも飽きると日本メーカーの化粧品を買い漁り・・・

次に何を目指すのかわかりませんが、とりあえず、彼らの旅行と消費への意欲は底知れぬものがありました。

それが、上のグラフにはよく表れていると思います。

 

 

 

さて、こうして爆買いに沸いた中国ですが、ここまで書いてきたように、貿易収支、経常収支ともに雰囲気が変化してきています。

さらにいうと、中国は民間債務が伸びています。

世界は陰謀でまわってるぅ~~米中貿易戦争~~

これまでは企業債務中心でしたが、最近は家計の債務が急激に伸びています。

住宅ローン問題を背景にしたものです。

とてもじゃありませんが、いまの消費構造を維持できそうにない・・・と個人的には見ています。

 

 

中国は、度重なる環境規制で生産コストが上がっており、以前のような環境資源、労働資源、地下資源を消費しくっての成長は期待できません。

そもそもGDPの多くを内需が占めるようになっており、人民元安による外需主導による景気回復は期待できません。

かといって、民間部門は上記の通り債務過多です。

このタイミングで米国とのあいだで貿易戦争に突入しています。

中国は財政と金融を緩和することでこれを乗り切ろうとしています・・・

 

 

上手くいくでしょうか?

 

・・・中国は、上手くいくかもしれません。やりようによっては。

最終的には人民元安を極端に進めるとか、環境規制を一旦棚上げして再度輸出主導の経済に戻ろうとすれば、何とかなると思います。

まだ一人当たり名目GDP1万ドル以下ですから、なんとでもなります。

でもそれが実行されたなら、日本を含めて周辺諸外国は非常にキッツイことになると思います。

 

心しておいた方が良いと思います。