世界第一位の経済大国アメリカと、世界第二位の経済大国チャイナが貿易戦争に突入します。
China Hits Back on Trump Tariffs as Europe Off Hook for Now
これは、歴史的にみて必然でした。アメリカは二番手が自分より上に立とうとすると叩き潰します。
そうやってソ連も、ドイツも、日本も叩き潰されました。今度は中国の番ということになります。(英国だけは叩き潰されませんでした。それは、アメリカを超えようという意図を示さなかったからだと思います。)
ちなみに
今回の貿易戦争は、単なる通商摩擦ではありません。
イデオロギーまで含めた覇権争いです。
これはトランプ大統領だから起きたことなのではなく、誰が大統領になっても、いつかは起きていたことです。アメリカはそういう国です。争いは不可避です。
とりあえず、今回は相手がなかなかに強敵です。
なんせ、ソ連やドイツや日本とちがって、かつては世界一位のGDPを1800年ものあいだ維持していた国です。
The Long View (US, Europe vs China, India) pic.twitter.com/vNHDKMEzhB
— ian bremmer (@ianbremmer) March 29, 2014
人口も一桁違います。
ふつーに考えて、中国はもともといた立ち位置に戻る過程のような気がします。
そもそも1840年のアヘン戦争以降がイレギュラーなだけのように思います。
中国はとてつもなくスケールの大きな国です。
そんな強敵相手にでも、アメリカは共存しようなどとは考えず、いつもどおり潰しにいきます。
現状、中国には大きな爆弾があります。
https://www.bis.org/statistics/tables_j.pdf (BISよりCredit-to-GDP gap)
これは、現時点のGDPに対する総与信比率を長期トレンドと比較して算出する指標です。端的にいえば、金融の過熱っぷりを表すものなのですが、これが中国および香港は相当高いことがみてとれます。だいぶ落ち着いてきましたが、まだ高いです。基本的に、15を超えたら相当高い、と考えるべきとおいらは考えます。なお・・・
Credit to the non-financial sector (BIS)
https://www.bis.org/statistics/totcredit.htm
民間債務残高の対GDP比率の伸び方についてみても、リーマンショック後の下支えの影響により、相変わらず高い状態にあります。それでもだいぶ落ち着いてはきていますが。
中国の今後の金融政策としては、GDPの伸びに寄り添った内容になるのではないかと、このグラフからは読めます。
つまり、中国はかなり駆け足で走っており、ちょっと足を引っかけてやればコケてしまう状態にあります。
トランプ大統領にとっては、この機会は逃したくないのだと思います。どうにかして、二番手の中国が自分を追いこす前にコケさせた・・・そんなところでしょう。
ただ問題は、中国は経済の対外開放度が低いです。国内企業に対する外資比率は制限されていますし、特に銀行や保険など金融セクターはほとんど内資だけで回している状態です。為替も管理フロート制ではありますが、オフショア人民元とオンショア人民元を使いわけており、資金の移動にも大きな制限がかかっている状態です。この状態では、金利差を期待して人民元に投資(投機)するインセンティブも薄いですから、偏った動きにはなっていません。むしろ、昨年夏までは、中国人民銀の米国債保有残高が積みあがる一方でしたから、アジア通貨危機と同じような経路をたどるはずがありません。ちなみに
米中経済対話が夏に物別れに終わり、それを境に、中国は米国債の保有残高を減らし始めたと先日報道がありました。
米財務次官、米中経済対話打ち切ったと誤って発言 (Bloomberg)
この記事では、米中経済対話打ち切り発言はミスだったと言っていますが、多分、何かしらのスッタモンダがあったことは容易に予想できます。
米国債を売っていたのは誰?2018年01月 (先日のブログ内記事です)
つまり何を言いたいかというと(何度も書くようですが・・・)
米国は中国にコケて欲しいんです。
去年くらいまでは中国自滅論が跋扈していました。
ところが、中国は経常収支黒字国だし、米債保有残高も高いし、一般的な新興国とちがって外資導入による経済成長ではないわけで、アジア通貨危機やメキシコ通貨危機、トルコショックみたいな新興国バブル崩壊はいつになってもやってこない・・・
そうだ、俺たちが輸入止めてやればいいじゃん!
そしたら、大量の在庫が過剰になって、生産設備が過剰になって、自滅してくれるんじゃね?ちょうど設備投資ふやしているみたいだし、在庫も積み上げてきているみたいだし、今がそのタイミングじゃね?
そんな浅はかな感じじゃないかなぁと、おいらは思います。
(陰謀論だと言われるでしょうけど、そういった陰謀でこの世界は回ってきていると理解したほうが、いろいろとスッと納得できてしまうのも事実です。)
とりあえず、長くなりましたので次に回します。