KDDIによるカブドットコム(カブコム)買収は愚かだと思う件

KDDIによるカブドットコム(カブコム)買収は愚かだと思う件

 

ぶっちゃけて言いますが、

KDDIによるカブドットコム(カブコム)買収は株主価値の極大化に反する

と思います。

フィンテックだとかなんだとか、そういう流行り言葉で世の中を眺めると良い投資先にみえるのでしょうが、カブドットコム(カブコム)にそんな魅力があるとは思えません。

直近の業績推移をごらんください。

営業利益は14年をピークに減少して、いまは7割程度の水準です。

売上も取引シェアもほぼ横ばいです。

カブドットコム証券というのは、そういう会社です。

業界4位です。

MUFGがケツ持ちしているとはいえ、オンライン証券としては弱小です。

こんな企業を最大1000億円で買収するなんて、正気の沙汰とは思えません。

 

 

 

 

KDDIはカブドットコム(カブコム)買収を「通信とライフデザインの融合」に重要というが・・・

今回のカブドットコム(カブコム)買収についてKDDIは、プレスリリースで以下のように発表しています。

 

現在、国内事業の成長戦略として「通信とライフデザインの融合」を推進しており、通信を中心として、お客さまの生活やビジネスを支える便利なサービスを提供するべく、E コマース(注2)、金融、エネルギー等の分野へ事業を拡大しております。その中で金融分野においては、当社の強みであるスマートフォンを中心としたサービスを活かし、「インターネットバンキング」、「クレジットカード」、「保険」、「ローン」等、お客さまのニーズに応える、幅広いサービスを展開し、お客さま体験価値を向上させるサービス開発を進めております。当社は、「貯蓄から資産形成へ」の流れを推進すべく、(中略)、スマートフォンと親和性の高いネット証券ビジネスに参入し、金融サービスをさらに拡充することを企図しております。

 

とりあえず長いので纏めると、

「通信の周りにある事業いろいろやりたい」

「ネット証券ビジネスに参入して金融サービスをやりたい」

ということ。

 

しかし、こういう「やりたい」が先行した買収は、得てしてうまくいきません。

ITバブルの頃にも、通信と放送の融合だとかいって、AT&Tとタイムワーナーが合併したことがありました。

どうなりましたか?

割高な買収価格に見合った結果が得られましたか?

具体的な内容が知りたい人は、検索してみてください。

その後の顛末がわかるはずですから。

 

 

KDDIはカブドットコム(カブコム)買収後に利益を増加させられると思っているのか?

KDDIが今回買収する価格は、カブドットコムの現在のEPSなどからみるとPER30倍くらい、PBR4.5倍程度、バリュエーション面からみたら超絶に割高です。

当然、KDDIとしてはこのままの業績をずっと続けられては困ります。

自社の顧客基盤を用いて業績を立て直していくことが前提の買収価格ということになるでしょう。

もしそれが実現できなけば、まったく資本の無駄遣いです。

 

 

KDDIはカブドットコム(カブコム)なんて買収せずに自社株買いやる方が株主価値の極大化になるはず

現在、KDDIの株価はPER10倍程度、PBR1.5倍程度、EV/EBITDAでみて4.7倍程度です。

どう考えても安いです。

自社株買いをガンガンやったら、それだけでPER10倍の会社を買収していることになるわけです。

他の会社の財務など細かい数字は手に入りませんが、自社の数字なら手に入ります。

安心してデューデリ済みの資産を格安に購入できるわけです。

カブドットコムみたいな業績低迷する企業を買収して再生するよりも、よっぽどスマートに株主価値を極大化できるはず。

なのにKDDIはそうせずに、カブドットコムに1000億も費やすつもりです。

なぜでしょう?

 

 

 

KDDIのカブドットコム買収はなぜか?・・・たんに経営陣が無能である可能性

個人的に、なぜKDDIがカブドットコムを買収しようなどと考えるのか謎です。

どう考えてもおいしくない。

稼ぎ方がスマートじゃありません。

KDDIの経営陣は、相当経営が下手なんじゃないかと感じます。

 

もしくは、天下りポストの増設がしたいだけの、内輪に優しい経営者なのかも。

株主価値の極大化よりも、自分のお友達が天下って城主になれる子会社を増やす方が大事な、友達思いの心優しい人なのかもしれません。

株主にとってはいい迷惑ですが、KDDIの従業員にとっては、とくに幹部クラスの人にとっては、良い経営者でしょう。

会社の私物化とまでは言いませんが、企業統治という観点からはグダグダだな、という気がしますが。

 

 

 

とりあえず、今回のカブドットコムにしても、英会話のイーオンにしても、キッザニアにしても、KDDIはちょっと高値掴みのどうでもいい案件を買収しすぎです。

それらの買収に使った費用を自社株買いに使っていたら、きっと今頃株主はもっと幸せだったはず。

株主の方たちは、株主総会のハガキを送るのを楽しみにしていたら良いと思います。

以上。