【6103】オークマの業績・決算と株価~中国依存度の低さが逆に安定感を生む展開か~

【6103】オークマの業績・決算と株価

 

今回は工作機械大手オークマについてみていきます

オークマはマシニングセンタ、NC旋盤、複合機などの工作機械全般を製造販売しているメーカーです。

同社の株価は昨年、中国景気の懸念から大きく売られました。

しかし、そもそもにおいて同社の中国事業比率は非常に小さいのが現実です。

今回はそこらへんを踏まえて、オークマについてみていきます。




 

オークマの事業内容

オークマの事業内容は各種工作機械の製造、販売、保守などとなっています。

オークマはとくに航空機産業や自動車産業、油圧機器向けなどのハイエンド向け製品に定評があり、ITバブル崩壊やリーマンショック、チャイナショックなどの景気減速下でも一定程度の需要を得ながら生き延びてきました。

また同社は上記のようなハイエンド向けが多いこともあり、新興国よりも日本国内やアメリカなどの先進国に強いビジネス基盤を持っています。

このことが、今回の景気減速下でも底堅い受注状況に繋がっています。

以下はオークマの複合加工機です。

 

また昨年のJIMTOF2018で同社は5軸マシニングセンタにレーザー・メタル・でポジション方式のアディクティブ・マニュファクチュアリング機能を搭載した「MU-6300V LASER EX」を出展。

簡単に言ってしまうと、一台で切削、金属付加造形、レーザー焼き入れなども行えるマシンです。

さらに近年では、NC旋盤のなかのアーム部分(アームロイド/ARMROID)を自社生産することを発表。

本格的にロボット事業へも乗り出そうとしています。

 

なお、オークマはIoTを利用してロボット、自動搬送機、複合加工機などを連動させたスマートファクトリー、Dream Siteという完全オートメーション工場の実現も目指しています。

こちらの動画ではファナックのロボットを利用していますが(色を黄色から白に塗り替えて)、将来的には自社で開発していくつもりかもしれません。

 

 

オークマの業績~2018年Q4(一部資料Q3)

オークマのQ4業績は上記のようになっています。

大量の受注残を抱えており、売上、営業利益とも過去最高を更新しています。

オークマの損益分岐表は以下のようになっています。

 

オークマの業績・地域別

前期

今期

オークマのセグメント別業績は溜まった受注残のおかげで大きな落ち込みもなく順調に推移しています。

同社の業績をみてわかるとおり、そもそもにおいて中国需要は大してありません。

もとからオークマは中国にはあまり強みがなく、そのことが却ってキズを深くしないことに繋がりました。

ある意味、怪我の功名のようなところがあります。

 

 

オークマの業績~受注・受注残

オークマの特徴として、同社の受注額は日本工作機械工業会全体の動向よりも良好に推移している、ということが挙げられると思います。

同社の製品の競争力が強いことを示していると思われ、その意味で、シクリカルセクターのなかでも比較的安定感のある銘柄といえるのではないかと思われます。

 

 

以下は製品別受注高推移となります。

なお、この受注高推移はQ3決算資料を基にしております。

Q4の数字はありませんので、別資料などともあわせて独自に集計したところ、

  • マシニング 252
  • NC 110
  • 複合機 61

となりました。

とりあえず数字に関しては誤りがあるかもしれませんのであくまでも参考値として留めてください。

後日、会社側から正式な受注高の発表があると思いますので、そちらを参考にしていただきたく存じます。

 

以下は地域別受注高推移です。

さきほども書いた通り、オークマは中国事業がそもそも大きくありません。

同社は販売拠点、展示拠点を中国にも整備していますが、販売の面では他社に後れをとってきました。

そのことで、中国経済の落ち込みの影響を免れています。

 

 

 

オークマの株価

週足

 

オークマの株価は長期的にみると、なだらかに下値を切り上げて上昇してきています。

昨年末にいったん5000円割れまで落ちた株価も、直近では3割ほど高いところまで戻してきています。

リズム的にはもう一度やや押す場面もあるかな、と見ていますが、まぁそこらへんはよくわかりません。

リスクとしては中国需要よりも、北米需要、そしてそれらの影響を受けての日本国内需要の動向でしょう。

設備投資減税なども剥落してきますので、やや国内需要は厳しめに見た方がいいかな、という気もしますが、詳しくみていないのでとりあえず、今回は投資判断は控えさせていただきます。

なお、バリュエーション的にはPER11倍程度。

景気のボトム期近辺でこのバリュエ―ションならば、決して高いとは言えないと思います。

 

 

 

なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任で行うようお願いいたします。

以上。