【6201】豊田自動織機の業績・決算と株価~トヨタ自動車のために赤字垂れ流しながら部品納入

【6201】豊田自動織機の業績・決算と株価

今回は豊田自動織機についてみていきます。

豊田自動織機はフォークリフトなどの産業機器で有名な企業です。

また、トヨタ自動車グループの一員として、トヨタ自動車にエンジンなどのパーツを納入している企業でもあります。

まずは豊田自動織機の事業内容からみていきましょう。




 

 

 

豊田自動織機の事業内容

豊田自動織機の事業内容は以下のようになります。

 

  • 自動車・・・トヨタ自動車のためのエンジン供給、カーエアコンのコンプレッサ、鋳造品製造、電子機器、車体の組み立てなどを請け負っています。
  • 産業車両・・・豊田自動織機のメインの事業です。フォークリフトの他、自動倉庫システムなどを開発しています。
  • 繊維機械・・・豊田自動織機の祖業です。織機を作っています。
  • その他

 

このうち、豊田自動織機のメインの事業はフォークリフトなどの産業車両事業になります。

自動車事業は主にトヨタ自動車向けの下請けとなっており、営業赤字か黒字ぎりぎりで行われています。

繊維機械事業は同社の祖業ではありますが、現代においてはさほど大きな需要もなく、事業としては小さくなっています。

 

 

豊田自動織機の業績~2018年Q4

 

豊田自動織機の業績は、前年にくらべて売上は増、営業利益は減となっています。

産業車両事業は好調でしたが、トヨタ自動車向けの自動車部品・車両組み立て事業が悪化しており、この影響が強く出てきてしまっています。

 

 

豊田自動織機の業績~セグメント別

 

こちらはセグメント別にみた業績推移です。

自動車事業の営業利益率の推移に注目していただきたい。

豊田自動織機における自動車事業は、さきほども書いた通り、ほぼすべてがトヨタ自動車グループ向けの事業となっています。

この事業が現在、豊田自動織機の足を引っ張っています。

 

豊田自動織機にとって自動車事業はもとから低い利益率の事業でしたが、それでもかつては概ね3~4%程度の営業利益率を確保していた事業でした。

ところが近年、これが赤字に転落してきています。

トヨタ自動車は下請けを叩いており、利益を吸い上げているようにみえます。

原材料価格は上昇しており、人件費も上昇しており、トヨタ自動車グループ各社の業績も悪化しています。

 

 

豊田自動織機の株価

 

豊田自動織機の株価は昨年末に5000円台を割り込んだ後、ややもどして6300円に回復してきています。

PERはおよそ13倍程度

自動車部品セクターにしてはまぁまぁといったところでしょうか。

 

個人的見解:豊田自動織機はコーポレートガバナンスをもう一度見直すべき

ここからは個人的な見解になります。

豊田自動織機は、企業統治体制を再構築すべきと思われます。

そして、トヨタ自動車から低採算の事業を引き受けることなく、もっと採算のいい事業に集中すべきです。

 

同社の事業構成をみると、織機事業とフォークリフトなどの産機部門は利益率がしっかり確保されている一方、

トヨタ自動車向けの下請け事業は赤字と黒字を行ったり来たり、長年にわたり低採算の事業となっています。

こうした場合、経営学の基本からすれば、利益率の低い事業を売却なり閉じるなりして、利益率の高い事業をブラッシュアップすべきとなります。

豊田自動織機はそうした経営努力をせず、関係企業であるトヨタ自動車に対して赤字垂れ流しで部品や労務を供している

・・・それはトヨタ自動車以外の株主に対する背任行為に近いのではないでしょうか。

豊田自動織機の発行済み株式のうち、24.67%はトヨタ自動車が保有しています。

この資本関係を利用してトヨタ自動車は豊田自動織機に赤字を押し付けているのだとしたら、企業統治上問題です。

 

もしトヨタ自動車がこうした低採算事業を豊田自動織機に押し付けていなければ、豊田自動織機の株主や従業員はもっと利益を受けることができたはずであり、

そうした問題を黙認している豊田自動織機の経営陣にはいろいろ問題があるのではないか、と個人的にはみています。

 

なお、豊田自動織機もトヨタ自動車も、豊田家の資産管理会社ともいえる東和不動産の大株主です。

こうした不透明な資本関係も含め、そろそろ清算していくべき時代なのではないか、と個人的には思います。

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なお、上記はあくまでも個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任で行うようお願いいたします。