【3116】トヨタ紡織の業績、決算と株価~トヨタ自動車向けシート、内外装材大手

【3116】トヨタ紡織の業績、決算と株価

 

今回はトヨタ紡織についてみていきます。

トヨタ紡織はトヨタ自動車の子会社で、シートや内装材、外装材などを納入している自動車部品企業になります。

また、燃料電池車関連の部品なども製造しています。

まずはトヨタ紡織の事業内容から見ていきましょう。




 

トヨタ紡織の事業内容

トヨタ紡織の事業は以下のようになっています。

 

  • シート・・・シート骨格、航空機用シート、鉄道車両用シート
  • 内外装・・・ドアトリム、パッケージトレイ、シートベルトウェビング、フェンダーライナー、バンパー、シートファブリック
  • ユニット部品・・・エアフィルター、オイルフィルター、吸気システム、エアクリーナー、オイルミストセパレータ、インテークマニホールド、シリンダーヘッドカバー、燃料電池車向けにスタックマニホールドとセパレータ、ハイブリッド向けにモーターコア

 

ぶっちゃけた話、トヨタ紡織の扱う製品はどれもこれもコモディティ化が激しく、価格競争圧力が厳しいのが現状です。

こうした事業環境の厳しさを受け、トヨタ紡織は事業構造改革に取り組んでおり、

  1. アイシン精機、シロキ工業から骨格事業を譲り受け、事業集約
  2. 部品組み立てからシート組み立てまでの一貫生産を推進
  3. 投資額を抑えながら競争力のある組み立てラインを構築
  4. 内製化を高めて利益率向上を図る

などの諸施策をとっています。

しかしそれでもなかなか利益率が上がらない。

利益率がある程度高くなると、トヨタ自動車から買い叩かれる・・・を繰り返しているのが現状です。

 

 

トヨタ紡織の業績推移

トヨタ紡織の業績は以下のように推移しています。

トヨタ紡織の業績は、構造改革の進展もあり、以前よりは利益率がマシになっています。

しかし、それにしても低い・・・

 

なお、同社は事業セグメントごとの収益状況、損益状況を開示していませんので、どの事業でどれだけの損益が出ているのかサッパリわかりません。

かつてはアナリストは独自にお漏らし情報をアテにしてヒアリングなどをしていましたが、現在ではそれも厳しくなっており、より事業内容がわかりにくくなっています。

 

 

トヨタ紡織の業績~2018年Q4

トヨタ紡織の業績はここもと停滞しています。

これは、親会社のトヨタ自動車の業績が停滞していることが主因です。

結局、トヨタ紡織の売り上げの大部分はトヨタ自動車向けであり、親会社の業績次第の業績となっています。

 

なお、損益計算書は以下のようになっています。

ご覧になってわかるとおり、粗利益が落ちています。

もとよりトヨタ紡織の利益率は低いため、原材料、労務費の増加による影響が厳しいことがわかります。

 

トヨタ紡織の業績~地域別

昨年

 

 

今年

日本国内の利益が急減しているのに気づくかと思われます。

これは移転価格税制調整金によるもののようなので、たぶん一過性となると思われます。

今年、昨年はちょっとわかりにくくなっています。

売上に注目した方がいいかもしれません。

 

 

 

 

トヨタ紡織の株価

 

トヨタ紡織の株価は上記のとおり、低迷してきています。

自動車業界を取り巻く環境は極めて厳しく、特に中国はすでに落ち込み、北米も落ち込みの兆しがみえています。

トヨタ紡織の業績も悪化してきており、株価はそれを織り込むようにパラレルに動いています。

個人的に、同社の株価は基本的に自動車販売の循環に素直に動く印象を持っています。

なお、現在のバリュエーションはPERで15倍程度となっていますが、特殊要因を除いたベースのEPSではPER10倍程度だと思われます。

すでにPBR1倍程度まで落ちており、もう一段の業績悪化場面があれば、悪くない買い場になる可能性があります。

 

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なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任で行うようお願いいたします。