【5393】ニチアスの業績・決算と株価~短期的には半導体向け事業が低迷、長期的には自動車向け事業に懸念か

【5393】ニチアスの業績・決算と株価

 

今回はニチアスについてみていきます。

ニチアスは住宅、自動車、工業プラントなどに断熱材、シール材、フィルター、フッ素樹脂製品を供給するメーカーです。

多くの人は気づかないあいだに、ニチアスの製品のお世話になっている、そんな会社になります。

まずはそんなニチアスの事業内容からみていきましょう。




 

ニチアスの事業内容

ニチアスの事業内容は非常に幅広く、住宅、自動車などの消費者に身近な場所から、工業プラント、船舶など産業分野での利用まで広がっています。

以下にニチアスの事業セグメントを示します。(会社側分類による)

 

  • プラント向け工事・販売・・・省エネ診断、保温機能回復工事
  • 工業製品・・・各種ガスケット、ロックウール、フッ素樹脂ライニング
  • 高機能製品・・・半導体向け高純度薬液・ガス輸送用フッ化エチレン樹脂チューブ、耐熱・耐ラジカル性ゴム
  • 自動車部品・・・シール材、防熱部品、防振部品など(シリンダーガスケット、触媒担保保持剤、ヒートインシュレータ)
  • 建材・・・ロックウールなどの断熱材、フリーアクセスフロア、天井材ケイ酸カルシウム板エコラックス

 

要するに、熱、薬品、ガスなどを遮るものには、ニチアスの製品が使われていたりします。

 

 

ニチアスの不祥事~アスベスト、耐火偽装

ニチアスは過去に、アスベストを含む製品を製造しており、これにより製造工程で作業していた作業員に中皮腫の問題が発生して、訴訟になっています。

また、2007年には建材事業で耐火性能偽装問題が発覚。

耐火基準が劣る建材を旭化成のヘーベルハウス向けに納入していたとされ、大きな問題になりました。

 

 

 


ニチアスの業績~2018年Q4決算

 

ニチアスの2018年Q4決算は上記のようになっています。

通期でみると悪くないようにみえるのですが、実はこれ、Q3業績からは大幅に鈍化しています。

Q3業績は売上13.9%増、営業利益15.3%増でしたので、大幅に鈍化しています。

また、Q4業績だけに限ると、前年同期比で減益となっています。

 

世界的な景気後退懸念により、同社の業績も翳りがみえています。

以下は損益計算書です。

以下は受注、生産、売上動向です。

このあたりをしっかり開示しているあたりは好感できます。

やはり半導体製造ライン向け高機能製品に動きの鈍さがみえています。

自動車も売れている割にマージンは悪化しており、非常に問題の多い事業になりそうな気配が漂っています。

 

 

ニチアスの業績~セグメント別

前期

 

今期

 

ニチアスのセグメント別業績は上記のようになっています。

とくに、半導体製造ライン向けの落ち込みから高機能製品の落ち込みが激しいほか、自動車向けにも単価の下落圧力が強まっています。

なお、同社の製品は自動車がEV化すれば必要なくなるものが多く、この点は事業自体の懸念材料であります。

 

 

ニチアスの株価

 

ニチアスの株価は上記の通り、一相場終わった感があります。

3トップつけたあとに大きく割り込み、H&Sの形を作りながら下落・・・

ある意味、わかりやすいチャートになっています。

 

ただ、あまりにもわかりやすすぎて、チャートが下げそうだからとりあえず手仕舞うという動きもあると思います。

バリュエーションは全体的に割安だと思います。

業績下降中ですのでバリュエーションを手掛かりに売買することは危険です。

もう一段下に抜いて、十分に下げ止まったことを確認できれば悪くないかなとみていますが、いっぽうで自動車向けなどには恒常的に悪化していきかねない要素も孕んでおり、注意が必要です。

 

なお、上記はあくまでも個人的な見解です。

特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任で行うようお願いいたします。