ギリシャ新民主主義党(ND)党首キリアコス・ミツォタキス氏について
ギリシャ総選挙でキリアコス・ミツォタキス氏率いる新民主主義党が勝利
7月7日に行われたギリシャ総選挙にて、野党中道右派のギリシャ新民主主義党(ND)が勝利しました。
これを受け、同政党を率いるキリアコス・ミツォタキス氏に注目が集まっています。
今回は、ミツォタキス氏のこれまでの経歴と政策についてみていきたいと思います。
政治家一家のキリアコス・ミツォタキス氏
キリアコス・ミツォタキス氏は1968年3月4日にギリシャのアテネで生まれます。
父親は1990年から1993年まで首相を務めたコンスタンディノス・ミツォタキス氏
姉はアテネ市長および、2006年から2009年まで外相を務めたドラ・バコヤンニ氏
キリアコス・ミツォタキス氏が生まれた当時、父親のコンスタンディノス・ミツォタキス氏はギリシャ軍政によって自宅軟禁下に置かれていました。
1968年、父親とともにトルコに亡命。
その後、1歳の時にパリに移動
1974年、軍政の崩壊と民政化を受けギリシャに帰国
1986年 アテネ大学を卒業
1986年から1990年 ハーバード大学にて社会学の学位取得
1990年から1991年 ロンドンのチェース銀行にて金融アナリスト
1991年から1992年 ギリシャに戻りRHAF(ギリシャ空軍)に所属
1992年から1993年 スタンフォード大学にて国際関係学で修士
1993年から1995年 ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得
その後、ロンドンのマッキンゼーに所属
1997年から1999年まで ギリシャのアルファ銀行の子会社アルファ・ベンチャーズに所属、上級投資責任者としてPE活動
1999年から2003年まで NBGベンチャーキャピタル創設してCEOをつとめる
2003年 世界経済フォーラムにて未来のリーダーのひとりとして指名
2004年 ギリシャ議会議員に選出
シーメンスとの汚職が疑われたキリアコス・ミツォタキス氏
2007年、ドイツの大手電機メーカーであるシーメンスのギリシャにおける贈収賄事件にキリアコス・ミツォタキス氏が関わったとの疑いが浮上
ミツォタキス氏は関与を否定し、これまでのところ直接的証拠は挙がっていないとのこと。
注:シーメンスおよびゴールドマンサックスとの不透明な取引は、2015年のギリシャ選挙におけるND敗北のひとつの要因に挙げられていました。
チプラス政権は現実を無視した大衆迎合的な政策で批判されてきましたが、国民にとっては与党NDに対する「お灸をすえる」という意味合いもあったと思います。
キリアコス・ミツォタキス氏率いる新民主主義党への政権交代でビジネスライクに転換?
さて、今回のギリシャ総選挙で、キリアコス・ミツォタキス氏率いる新民主主義党に政権が移ることは確実となりました。
これを受け一部には、法人税減税やビジネスライクな政策が打ち出されることが予想されています。
ただ反面、かつての汚職体質が復活するのではないかと予想する声もあります。
そもそもにおいて、ギリシャにおける経済回復が遅れている要因の一つは、ユーロを通貨として採用していることが挙げられます。
同時期に経済的苦境に陥ったアイスランドでは通貨がユーロにリンクしておらず、対ユーロのレートが半分近くに落ち込んだことで輸出主導の経済回復に繋がりました。
こうした点から考えると、政権が交代したとはいえ、ギリシャの経済回復はなかなかに難しいものがあるかもしれません。
以上。