ドイツが中国への接近をやめ、米国になびきつつある件について

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ここもと親密化していた独中関係が冷え込みの兆しを見せ、逆に米独関係が改善の兆しを見せています

 

とりあえず、ここもとの流れを整理します。

 

まず、米国のトランプ大統領が欧州に対してアルミ・鉄鋼分野に関税をかけるぞと言い出しました。これが2月末頃です。

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で、それに対して欧州EUが対抗策として報復関税を発表します。これが3月。

トランプ大統領はこれに対して、EUから輸入している自動車に報復関税をかけるぞと言い出しました。3月4日くらいだったと思います。

このあと、ごちゃごちゃと欧州と米国は揉めました。

そこで、ドイツのメルケル首相はトランプ大統領のわがままにうんざり。

G7を前にした5月24、25日の日程で、独メルケル首相の訪中が決定しました。これは事前には全く予想されておらず、たしか一週間くらい前に発表されました。

この独中会談が事前にすり合わせがあったのか、それとも突如会談することになったのかわからないのですが、とりあえず、中国の習近平国家主席と会談する席を用意してもらえました。独中関係の親密さをアピールすることになりました。

この日に決定したことは本当に多いのです。メルケル首相は24日に李克強首相と会談します。李克強首相は中国経済のなかで主に経済面を担当しています。

コラム:李克強総理とメルケル首相による中独政府間協議開催 200億ユーロ規模の取引成立

この会談で、本当に多くの投資案件が決まりました。

たとえば、シーメンスのIoT基盤マインドスフィアをアリババクラウドと連携させる契約やら、BMWが提携先ブリリアンスチャイナと工場拡張と出資比率拡大を契約したり、化学大手BASFが1兆1000億円規模の石油化学コンビナートを建設する計画をブチあげたり、他にも廃船の解撤をする企業が大型投資を決定したり、自動運転の技術開発でバイドゥ系と提携したり(だったかな?)・・・なんかいっぱいすぎて覚えてないのですが、凄い量の相互投資契約が行われたんです。

 

そしてG7が6月10日です。あの有名な写真の一日です。

この日、トランプ大統領とメルケル首相の険悪な関係を示すプロパガンダ的写真が、twitterやFacebookなどのSNSを駆け巡りました。

 

ここまでは、米独関係は最悪で、米中関係も最悪で、独中関係は親密に推移していたと思います。

というか、ドイツ中国の関係はもはや同盟国なんじゃないか?と思うくらいに親密でした。ありえないくらいに。

 

 

ところがその後6月15日、

キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会連盟(CSU)が分裂の危機に陥り、メルケル首相の立場が極めて脆弱なものになります。

ドイツ与党はアンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)とホルスト・ゼホーファー内相率いるキリスト教社会連盟(CSU)の連立政権なのですが、この関係が移民問題を巡って大きくわかれてしまいます。

メルケル独政権が移民政策で分裂 連立崩壊の危機か

今になって思いますが、これはトランプ大統領の・・・というかCIAのポンペイオの差し金だったと思います。ゼーホーファーはCIAに何かを握られていて、ドイツの政治を中国寄りから米国寄りに戻す役目を担ったんじゃないか?と個人的に思っています。

 

とりあえず、この移民問題を軸にしたCDU・CSUの分裂騒動は7月半ばには解決するのですが、これを境にメルケル首相の立場がめちゃめちゃ落ちます。

 

トランプ大統領は7月10日からの欧州歴訪を控えた9日、twitterでドイツを名指しで批判します。曰く、ドイツの国防費が安すぎる、と。

NATO防衛支出に不満表明 トランプ大統領がドイツ名指し

また歴訪中には、ドイツはロシアからの天然ガスに頼り切っていて、NATOの一員であるドイツがロシアに捕虜にとられている、との発言をします。

トランプ米大統領がドイツを攻撃、ロシアとのパイプラインを問題視

ようするにこれは、2005年からドイツ首相を務めるアンゲラ・メルケル首相への攻撃なのです。ロシアとのパイプライン「ノルド・ストリーム」を2005年に推進したのは、まさにメルケル首相ですから。当時来独したプーチン首相との間で調印したのはメルケル首相なんですから。

 

まぁとにかく、ここで大事なのはトランプ大統領が攻撃をしているのはドイツというよりも、メルケル首相なわけです。

で、メルケル首相は国内外からの攻撃で非常に立場が脆弱になります。

ドイツ国内の方針も、中国寄りからアメリカ寄りに傾きつつあります。

 

 

この傾向が如実に見えてきたのは7月25日のユンケル欧州委員長とトランプ米大統領の会談からです。

この会談では、おもに以下のことが話し合われました。

  • 欧州による米国産LNGの調達増
  • 欧州による米国産大豆の調達増
  • 自動車関税問題はいったん棚上げ
  • 自動車と自動車部品以外の関税をゼロにする方向で協力
  • 鉄鋼とアルミニウムの関税を解消する方針

つまりこれって、米欧でFTA(Free Trade Agreement)を結ぶと言っているのに等しいんです。

 

また同時に、対中国を念頭に

  • 過剰生産問題への対応
  • 技術の強制的な移転に対する抗議
  • 知的財産の侵害問題への対処
  • 国有企業による歪みへの問題

なども話し合われました。

 

いま世界で起きていることは、中国とアメリカの貿易戦争です。FTAっていうのは、貿易戦争における同盟国を意味します。

 

つまりそういうことです。ドイツをふくめ、欧州はアメリカが側に寝返ったのです。

 

7月30日、そんななかで発表されたのが、中国企業のドイツ企業に対する買収を阻止する規制強化案です。

ドイツ政府、中国企業による買収拒否する構え 安保上の理由で

 

中国美的集団によるドイツのロボット・工作機械大手KUKAへの買収など、一連の中国企業によるドイツ企業買収を機に用意された規制強化案だそうですが、最初の適応が今回行われることになりました。

この買収ターゲットになった企業は、原発部品を作るための機械を作るための機械を作る会社らしいです。うーん・・・微妙にクリティカルな部分からは遠い気がするんですが、それでも買収は却下だそうです。

この流れは、間違いなく先日7月25日に訪米したユンケル欧州委員長とトランプ米大統領の会談が影響していると、個人的には見ています。

 

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アメリカは、対中国の貿易戦争を長期戦に持ち込むつもりです。

一部には、ムニューチンと劉鶴副首相の会談で通商問題が解決に向かうのではとの見通しもあるようですが、非常に甘いです。そんなはずはありません。ムニューチンは完全にお飾り状態です。ウィルバー・ロスやナバロが決めている?いえ、もうすでにそれらの人たちだけじゃないです。議員たちが乗り気なんです。止まらないんです。

とりあえず、こうやって流れを追ってみればわかると思います。これは長引きます。覚悟しましょう・・・。