建設業は本格的人手不足局面に突入 大成建設の業績をみてみよう
今回はゼネコン大手の一角、大成建設を見ていきます。
とりあえず大成建設の会社紹介をします。
(大成建設の会社紹介は書きかけです。)
ここからは大成建設の業績について書いていきます。
さきほど2019年3月期第1四半期決算が出ましたので、そちらを参考に業績をみていきましょう。
(なお、この記事は2018年8月6日23時ころに書かれています。数字やデータなどは同時点までに入手可能なものを利用しています。大成建設に投資をする際はなるべく最新のデータをご自分で入手して利用されるようお願いいたします。)
とりあえず、まずは以下の決算短信を見てください。
大成建設の2019年3月期第1四半期業績は、売上高0.6%減、営業利益42.5%減、経常利益38.8%減、親会社株主に帰属する四半期純利益34.4%減、一株当たり四半期純利益57.95円、自己資本比率37.6%
めちゃめちゃ悪化してます。
特に利益率が大幅に悪化しています。
四半期連結損益計算書(5ページめ)をみると、完成工事高はほぼ横ばいですが、完成工事原価が上昇して完成工事総利益が38446→31135百万円と大幅減です。
かなり、意図しないかたちでコストアップしてきているのだと思います。
スライドの解説によると、おもに人件費の上昇が痛い、とのことです。
最近、自民党には「外国人労働者を雇用しやすいように法改正してほしい」と多方面から陳情があるといいます。
そのうちのひとつが建設業だそうです。あとは介護、コンビニ、製造業など。
建設業のような3K職場は、昔から好景気になると人手不足になりやすいです。自分が子供のころもバブル経済でしたが、人手不足で大変だとニュースでしょっちゅうやってました。街にはイラン人やら東南アジア人やらいっぱいいました。
その後、入管審査が厳しくなったことと不景気になったことで彼らはどんどん日本から消えていきましたが、また同じような状況になりつつあるようです。
とりあえず、かなりコストアップしているのだと思います・・・大成建設は、受注を思いっきり落としてきています。
大成建設の当第1四半期累計期間の受注総額が前年比48.0%減!
いやいや、なかなか爽快な受注絞り込みだと思います。
このままじゃヤバいぞ、という危機感を感じます。
とりあえず、この経営判断の素早さは偉いです。
むしろ、この時期に受注を膨らませているゼネコンがあれば、そこの会社は一年、二年後には大変なことになると思います。気を付けてみていった方が良いです。
なお、この人員不足とコスト上昇問題は、すでに先日サブコン企業群の決算でみえていました。その件に関して書いた記事が以下です。
この記事では下請け系がマズいのではないか、と見ていましたが、
どうやら本丸のゼネコンにまで人手不足&建設コスト上昇の波は及んでいるようです。
建設業の人手不足問題はかなり深刻だと思います。
今後は、建設コストが大幅に引きあがるでしょう。それは2020年以降の発注予定のプロジェクトのコスト上昇要因として跳ね返ってきます。
たとえば、品川操車場跡地開発プロジェクトをする予定のJR東日本や、品川や芝のプリンスホテル再開発を目論む西武HD、沿線の開発プロジェクトを抱える京浜急行などの業績にとっては下押し要因になるはず。また、統合型リゾート、いわゆるカジノ施設の建設にも当然跳ね返ります。
ビジネスホテル開発にもストップがかかるかもしれません。建材、内装材、水回り製品、衛生器具などのメーカーには下押し材料になると思います。
とりあえず、建設業の人手不足問題はかなり広範囲に影響が出てきますので要注意です。
とりあえず、大成建設の株価チャートもみておきましょう。
大成建設 日足
本日のQ1決算を受け、大成建設株は大幅安となりました。なお、他のゼネコン・サブコン株も総崩れです。これまで外需銘柄は怖いから内需銘柄を買っておこう、と資金を振り向けていた人たちが、一気に逃げようとしています。
まだ、完全に崩れたわけじゃありませんが、ちょっときな臭いですよね。直近安値を下回ってくればヘッド&ショルダー型になりますし、そうなってもおかしくないような地合いではあります。
ただ、バリュエーション的にはそこまで割高ではない。まぁ、割安でもないんですけどね。
というわけで、とりあえず今回はこれにて〆ます。
以上です。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資に当たってはご自分の判断のもと、自己責任で行っていただきますようお願いいたします。