イタリア、来年3月にも解散総選挙か?五つ星の人気が落ち、同盟の人気が高まる傾向
反EUという共通軸だけで纏まっているイタリアの右派政党「同盟」と左派政党「五つ星運動」の連立政権ですが、ここにきて経済政策、移民政策、公訴時効問題などで相違が目立ち始め、緊張が高まっています。
同盟のサルビーニ副首相兼内相、五つ星運動のディ・マイオ副首相兼経済発展・労働相、無所属のコンテ首相の三者の微妙な緊張関係で維持されてきた連立ですが、ここにきて、この関係が崩壊する可能性がでてきています。
同盟と五つ星運動とはもともと水と油くらい方向性が違う政党ですが、今までは反EUでまとまっていました。
この反EUの法制度対策が一通りおわったことで、政権内のパワーバランスへ興味が向かっています。
五つ星運動と同盟との間ではイタリアの予算案や経済政策、銀行救済策などに関して対立が表面化しています。
たとえば、国債利回り急上昇時でも国内銀行を救うか、国内社債発行市場を救うか、などの点で同盟と五つ星運動では方針が異なります。
既存エスタブリッシュメントを救済したくない五つ星運動と、もともとが金融業などの発達した豊かな北部地域出身の同盟との間にはこの点でわだかまりができている模様。
五つ星運動は今年三月の選挙期間中に、銀行業への救済には反対していましたが、逆に同盟は金融機関を救うべきとの感覚です。
ガスパイプライン建設でも五つ星運動はすべて中断を主張しましたが、同盟は混乱を理由にそれを拒否するなど、事あるごとに対立。
こういった問題が積み上がって、両者に不満が高まっているもようです。
こうしたなか、反エスタブリッシュメント政党で左派系の「五つ星運動」の求心力が低下。
逆に北部同盟を源流とするポー川流域の豊かな地域を地盤とする「同盟」の支持が急上昇しています。
Salvini’s Surge Renews Turmoil in Italy Populist Government (1) Bloomberg
イプソスの10月世論調査によると、同盟の支持率は今年3月の総選挙の時点の倍にあたる34.7%に上昇しているとのこと。
逆に、五つ星運動の支持率は28.7%に低下しており、連立発足当初の五つ星運動優勢な状況からは一変しています。
また、ハフポストによると、同盟を連立政権の中心と答えた有権者は42%、五つ星運動が中心と答えた有権者は12%と大差がついており、非常にバランスが崩れてきています。
先日は、「公訴時効問題で合意ができなければ連立が崩壊する」・・・とディマイオ副首相兼経済発展・労働相が発言。
イタリア連立政権、公訴時効で合意なければ崩壊も=ディマイオ副首相 ロイター
公訴時効問題で合意を求める五つ星運動と、同盟との協議ですが、これが非常に揉めたようです。
五つ星運動のディマイオ副首相は、合意が得られなければ袂をわかつしかない、と同盟に決断を迫ります。
しかし、連立崩壊の可能性をメディアの前でリークするというのは、ほとんど相手に嫌気がさしているのだと思います。
ようするに、夫婦の危機を公言する芸能人みたいなものです。
あとは離婚するだけ、みたいな。
ここにきて、同盟側の誰かが、来年三月あたりに解散総選挙をする可能性について言及を始めています。
当然まだ決定されたことではありませんが、現在の同盟の勢いからすると、それもあながちあり得ないとも言い切れません。
とりあえず、今後の世論調査には注意が必要。
イタリアの債務問題なども含め、他山の石として眺めておく方が良いと思われます。
以上です。