関係悪化が進む韓国への『フッ化水素輸出禁止』を外交部会で提案~赤池誠章(あかいけ まさあき)参院議員
韓国へのフッ化水素輸出禁止を提案~赤池誠章(あかいけ まさあき)参院議員
徴用工問題、慰安婦問題、レーダー照射問題で、ここもと関係悪化が著しい日韓関係。
これを受け開かれた自民党の外交部会・外交調査会の緊急合同会議のなかで、自民党の赤池誠章(あかいけ まさあき)参院議員が
「韓国へのフッ化水素輸出を禁止するなどのヒト・モノ・カネ全体での対抗策が必要」
との提案を行っていたということです。
韓国の半導体製造に打撃を! 自民外交部会で“対抗措置”検討 赤池誠章氏「フッ化水素の輸出を止めれば“痛み”に」
半導体製造のエッチング剤「フッ化水素」
フッ化水素は半導体のエッチング(腐食作用を利用した回路の形成)に必要不可欠なものです。
日本は中国から蛍石(フッ化カルシウム)を輸入し、それを濃硫酸と反応させてフッ化水素を製造。
韓国はこのフッ化水素のほとんどを輸入に頼っており、日本の輸出するフッ化水素のうちほぼすべて、95%超が韓国への輸出となっています。
赤池誠章議員「フッ化水素は3年間の契約で輸出、次は契約更新しない」との思いで質問
赤池誠章議員は今回の件について
「日本は韓国に対し、フッ化水素を3年間の包括的契約を結び、輸出している。『その期間が切れれば、次は更新しませんよ』というメッセージを込めて、『外務省さん、分かっているんでしょうね?』と確認する思いで質問した。フッ化水素の輸出を止めれば、韓国には“痛み”になる。対抗措置を打ち出すうえで、やれることはやるんだという思いだ」
と夕刊フジの質問に回答。
フッ化水素は軍事用途、核開発関連用途などにも使われるため安保上のリスクが高く、経産省が手続きを更新する必要があります。
韓国が日本に対して敵対的な行動をとるなら、敵国へ軍事物資を売るわけにいかない、契約を更新しないという脅しをしてはどうか、というわけです。
「フッ化水素」を必要とする韓国の半導体メーカー、液晶ディスプレイメーカー
韓国にはサムスン電子の他、SKハイニックス、LG電子などのフッ化水素を必要なメーカーが揃っています。
半導体のウェットエッチング、液晶の薄型化、ウェット洗浄などにフッ化水素は必要であり、これがなければサムスン、SK、LGの巨大財閥の業績には超絶なネガティブインパクトが加わることになります。
韓国経済において巨大財閥が占める比率はとても大きいですから、財閥が傾くことは韓国経済への打撃ともなります。
ですから、「日本に対して敵視する政策をとるならフッ化水素を禁輸対象にするぞ」というのは、最終手段としては極めて合理的な主張であるように思われます
フッ化水素の原材料『蛍石』は中国からの輸入に頼る
なお、このフッ化水素における日本と韓国の関係は、フッ化水素の原材料「蛍石」における中国と日本の関係でもあります。
フッ化水素は先ほども申しました通り、蛍石と濃硫酸で作ります。
日本はこの蛍石のほぼ全量を中国からの輸入に頼っており、対中国で敵対的な行動をとったときには、中国は日本に対して蛍石の輸出を止めてしまえば、フッ化水素産業、さらには日本の半導体産業にも打撃を与えることができてしまいます。
赤池誠章議員は中国との『フッ化水素』リスクにも言及すべきでは
今回、日本がもしフッ化水素の輸出を止めるつもりなら、将来的に中国と敵対した場合に同じことをされるリスクについて、十分に認識しておくべきでしょう。
中国は近年、日本のフッ化水素製造企業を誘致して自国でフッ化水素生産を推し進めています。
仮に日本の企業がフッ化水素を製造せずに輸出禁止になれば、将来的には中国からの輸入を増やすのではないでしょうか。
赤池誠章議員はそういったことを把握した上で韓国へのフッ化水素輸出禁止を提案したのかは少々疑問です。
赤池誠章議員のフッ化水素禁輸提案実現で影響を受ける銘柄
もし仮に赤池誠章議員のフッ化水素提案が実現したら、その影響は韓国の半導体メーカーだけでなく、日本側のサプライヤにも及ぶ可能性があります。
高純度フッ化水素製造というと、ステラケミファ、ダイキン、森田化学(非上場)などでしょうか。
とくにステラケミファの市場シェアが過半だと思われます。たぶん6割超。
もし本格的に禁輸となれば(現時点ではならないと思いますが)、同社には影響がおよぶでしょう。
とりあえず、ちょっとしたササクレを大きな傷にしたがる癖が一部にあるようで、それにはちょっと要注意です。
以上。