中国が2024年までに対米黒字解消を提案
交渉期限の3月1日に向けて協議が進められている米中貿易交渉ですが、中国側は
「米国からの輸入を増やして2024年までに対米貿易黒字をゼロにする」
と提案しているとのことです。
これを株式市場は「貿易協議は進展している」と好感しているようです。
たしかに、トランプ大統領はディールを好んでおり、自分の支持者が潤うことを喜びます。
中国側がそうした、「トランプの家族」ともいうべき支持者層をターゲットに利益供与を申し出たのは、極めて効果的な提案だと思います。
中国側は、非常にプレゼン能力が高いな、と感じます。
具体的に中国側の提案で潤うのは?
具体的には、これで潤うのは大豆やトウモロコシ、食肉業界などの中西部の農畜産業者でしょう。
それとLNGなどエネルギー業界も相当潤います。
これらは旧来からの共和党の支持層であり、トランプ大統領の支持層とも重なります(エネルギー業界はややズレますが)。
トランプ大統領は、大きな獲物をとってきて家族に分け与えたい、そういう古きよき父親像に憧れがある人物にみえます。
彼は、大きなマンモスと戦って、傷み分けしてなんの手柄もなく帰るのをよしとするような父親ではありません。
お腹をすかした子供に食事を持って帰ることが目的ですから、この提案を呑まないわけにはいかんのです。
白鯨じゃ困るんです。
イデオロギーを貫いて損をするのはトランプ的には馬鹿のすることです。
というわけで、トランプ大統領の性格からしたら、中国側の提案を呑むでしょう。
これは、自分は以前から言ってきたことと同じ方向性です。
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多くの人達はこの期間中ひたすら以下のように悲観論に塗れていました
「新冷戦の始まりで戦争も起きるかもしれない」
「ペンス副大統領は本気で怒っている。中国とは冷戦に突入する」
「中国への締め付けにより米中共倒れになる」
「リーマンショックの再来だ。いや、リーマン以上の危機がくる」
と総悲観が広がりました。
でも実際、どうだったでしょうか。
総悲観で売られた株価は、米中貿易交渉の進展とともに回復してきています。
米中貿易戦争が激化する⇒株価大暴落
を唱えてきた人たちは、見事に肩透かしを食らった状態になりました。
この総悲観だった人たちが、最近になって
「そろそろ買っても大丈夫かな」
「米中貿易戦争は終わるっぽい。ならば今買わなければだめだ。安値で買えなくなってしまう」
「歴史的に見ればバリュエーションは滅茶苦茶安い。長期で持つなら今買わないと損だ」
などと言い出しています。
twitterなどをみてみてください。
そういう声がちょこちょこ出てきていますから(笑)
自分は天邪鬼なので、逆のことを思います。
ここは逆に、悲観的になるべきときです。
総悲観で買われた株価は、好材料で一旦売られる場面が来るはずです。
もし出てきた材料が好材料でなく悪材料なら、なおさら売られるでしょう。
もちろん長期でみれば多くの銘柄で割安感はありますから、買い目線でいることは良いと思います。
しかし、それはあくまでも長期投資家の話。
目先の上げ下げをとって食っていきたいトレーダー志望なのなら、この状況でロングポジションを膨らませたいと考えるのは、まったく愚かです。
リズム感の取り方がまったく相場に向いておらず、適性がそもそもないんじゃないかと思います。
そういう人は目を瞑って適当に分散投資するか、ETFでも買って寝てたらいいと思います。
数年経てば悪いことにはならない、と思います。(もちろん、あくまでも個人的見解です。責任はとれませんので自己責任でおねがいします。)
とりあえず、相場ですからアゲサゲ両方ありえますが、その可能性何パーセントにかけるのかという話。
個人的には今現在の株価は、ロングでポジする環境には見えません。
この環境でロングにかけるようなトレーダー志望の方は、早晩退場するでしょう。
以上です。