サウジの政府系ファンド、PIF(公共投資ファンド / Public Investment Fund)がテスラ株価下落に向けヘッジポジションを組む
テスラの大株主である『サウジアラビア公共投資ファンドPIF』が全ポジションをヘッジ
イーロン・マスクCEO率いるテスラモーターの大株主サウジアラビアの『公共投資ファンドPIF』ですが、テスラ株の下落に備えてほぼ全量、ヘッジ売りのポジションを組んでいると、29日、英フィナンシャル・タイムズが報じました。
FTの報道によると、『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』はJPモルガン・チェースの手引きによって保有するテスラ株のほぼすべてをヘッジしたとのこと。
『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』はテスラ株の4.9%を保有する大株主ですから、これがテスラ株を売っているということで、非常に警戒感が高まる展開となっています。
この報道を受けたのち、テスラモーター株は大きく下落しました。
テスラ株をほぼヘッジしおえた『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』
報道によると、『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』は17日の取引終了時点でテスラ株のほぼ全量をヘッジ終了。
今後の株価の変動で損失を被ることはほとんどないということです。
(逆に言うと、テスラ株がいくらあがろうがファンドの運用成績に関係ないということでもあります)
イーロン・マスク氏がテスラモーター株非公開化で頼ろうとした『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』
テスラモーターの創業者CEOであるイーロン・マスク氏は、昨年同社の非公開化を検討。
このときに資金の出し手として頼ったのが『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』でした。
このときは非公開化が実現しませんでしたが、報道によれば2017年頃から非公開化に向けての協議は複数持たれていたとのこと。
『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』によるテスラ取得は、あながちあり得ない話でもないという感触を市場では持たれていました。
ところが、今回の報道でこの関係が変化している可能性があるのではないか、という懸念が広がっています。
『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』とテスラモーターのイーロン・マスクCEOの関係が変化?
どうも市場では、『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』とテスラモーターのイーロン・マスクCEOとの関係に変化があるのではないか?という懸念が広がっているようです。
『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』は基本的にこういったヘッジを組むような投資家ではありませんし、長期投資を行う投資家のはずです。
『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』がテスラ株に投資をしたのは昨年夏ころですから、今の段階でさっさとヘッジするというのは、時間軸からして唐突に感じます。
どうも、何かありそうな気配はあります。
『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』とムハンマド皇太子とジャマル・カショギ氏殺害事件
ここから書くことは個人的な見立てが多く含まれます。
正しいかどうかはわかりませんので、そこら辺をご理解の上で読んでください。
個人的に、今回の『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』によるテスラモーターの持ち分処分の背景には、ジャマル・カショギ氏殺害事件が大きくかかわっているのではないか、という気がします。
テスラモーターのイーロン・マスクCEOが『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』による非公開化をtweetしたのが昨年8月7日です。
その後、10月1日にジャマル・カショギ氏殺害事件がおきます。トルコのイスタンブールにあるサウジ総領事館で、ムハンマド皇太子に批判的なジャーナリストが殺害された事件です。
サウジ出身の反体制記者ジャマル・カショギ氏がサウジ領事館内で殺害された可能性
このムハンマド皇太子こそが、サウジの政府系ファンド『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』の設立者、責任者です。
世界中で、このムハンマド皇太子への批判が高まりました。
「ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の指示」とCIAが報告
アメリカのCIAですら、ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の指示と報道されています。
イーロン・マスクCEOは、こうした事態に対する懸念を『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』に伝えたのではないか?
それによってムハンマド皇太子の心証を悪化させたのではないか。
もしくは、こうした事態によって投資資金の調達が潤沢でなくなった『パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)』はテスラ株を売らざるを得なくなったのではないか?
とりあえず、そういった何らかの可能性が考えられます。
特に後者であれば、ソフトバンクなどにも影響する重要な問題です。
気をつけて見ていくべきかなと思います。
以上。