世界経済は減速感あるも好調持続~ただし、株価が実体経済を揺さぶる展開には注意が必要~スタートアップバブル、ユニコーンバブルにご用心~アリババ、ソフトバンクなどに注目が集まる展開か?~
上場株よりも、スタートアップ企業やユニコーン企業の株価のほうがバブルだという話~未上場企業への投資を増やしている企業には要注意
世界経済は年半ばあたりから減速感が出ています。
とくに製造業は弱い動きになっており、世界の製造業PMI、鉱工業生産などは顕著に減速傾向を示していました。
こちらはMSCI世界株指数(除く米国)をベンチマークにした上場投資信託ETFであるスパイダー SPDR CWIの価格推移ですが
関連記事:スパイダーSPDR CWI 米国以外の全世界株式に連動するETF
すでに株価はそれを2か月、3カ月ほど先取りする動きになっていたのがわかると思います。
アメリカの株価と経済指標だけをみていればやたら好景気にみえますが、実際には世界の経済には影が差してきていたのです。
関連記事:デカップリング論はなかった!では逆デカップリング論はあるのか?
なお、アメリカ株が強く見えるのは、世界的に希少なポジションにあるAAPLやAMZNなどの超大型FAANG銘柄への資金流入が継続していたからであり、全体が上昇していたわけではありません。
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たとえば、アメリカ株のなかでも、より世界の経済とリンクしている半導体株指数SOXなどをみれば横ばい圏でしたし
もっというと、製造装置のアプライドマテリアルズAMATなどのような、より輸出比率の高い銘柄は大きく値下がりしてきました。
世界の株価指標をバリュエーション面でみるなら、アメリカ株の大型株はPER20倍超がザラですが、日本や欧州株などは10倍台前半です。非常に割安な水準となっており、「いつかやってくるリセッション」に備えるポジションがとられていたことがわかります。
株価は今回も、しっかりと先行指標として機能してきた・・・自分はそう思います。
さて上記のように、今年上半期の株価を先導してきたのはAMZNとAAPLだったのは疑いないと思います。
そのことについては
関連記事:ヒートマップからみれば、転換点が迫ってきているのではないか・・・という話
で書きました。
でもそれだけじゃなかったと思います。
実際には、上場株よりも大型未上場株(ユニコーン)の方が上昇率などからみてバブリーだったのではないか?とみています。
具体的に数字として引っ張ってくるのは面倒なのでやめておきますが
(やろうと思えばできますが、報道内容の正しさまで担保できませんし、そこまで調べるのは瑣末すぎると思います。今回は勘弁してください)
ユニコーンに限らずスタートアップ企業は基本、シリーズシード、シリーズA、シリーズB、シリーズC、シリーズD…といった感じで投資ラウンドを繰り返します。
そのたびに増資をして、その増資でふえた資本をもとに融資を引っ張り、事業を拡大します。
このとき、スタートアップ企業側の純粋な資金需要だけでなく、既存出資側のバランスシートをキラキラにみせるための出資も行われているのではないか?という記事は以前に書きました。
(ごめんなさい、自分で書いた記事なのに、どこに行ったかわかりません。代わりに似た感じの記事を載せておきます。とりあえず、仲間内でキャッチボールを繰り返すことでバランスシート上の価値を引き上げる手法が、投資ファンド化した企業の多くで利用されているようにみえます。)
こういった手法は、マネーが大量に市場に投入されている時代なら有効ですが、マネーの供給が狭められてくると途端にうまく行かなくなります。
最終的に新規株式公開IPOしてイグジットするわけですが、その時点で高値がつけば御の字です。
IPOで高値がつかない環境がふえてくると、次は仲間内でキャッチボールで価値を引き上げる段階になります。
これが、じつは今年上半期だったのではないか、とみています。
とくに中国関連のスタートアップなどのIPOがなかなかにひどい。
China Literature Ltd (閲文集団)
たかがテンセント系のラノベ出版会社なのに香港のマネタリーベースの75%に当たる規模の資金が集まったIPOです。その後の結果はこの通り。
衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/ZhongAn)~中国のネット保険大手だが、かなり過大評価か?~
衆安在線財産保険(ZhongAn Online P&C Insurance)
世界4位のユニコーン美団点評(Meituan-Dianping)が香港市場にIPO
美団点評(Meituan dianping)
この件に関しては春先にも予想していたのですが、やはり起きてしまったなぁという感じがします。
中国のIPO市場に天井感が台頭 5月8日の記事です
こうした状況下、スタートアップ企業のなかには延々と株式新規公開を後伸ばしにして、シリーズDなどどんどんと増資を繰り返す例が増えていきました。
そのたびに、既存出資者の財務には評価益がのっかり、それが出資者側の株価のバリュエーションを割安に見せる効果をもっていました。
アリババの決算などではそれが顕著にみえます。
タオバオ(Taobao)などを展開するアリババ集団の業績を見てみよう
revaluation of investments and othersという部分に注目してください。
こういったやり方は、一緒にスタートアップ企業をキャッチボールしていた友人が抜けてしまうと、とたんに回らなくなります。
そして、いま、その可能性がでてきているのではないか、と感じています。
まだどこもこのキャッチボールをやめようとはしていません。
ただ、アリババはやめてませんが、アリババのジャック・マー会長はやめてしまいます。
アリババグループのジャック・マー会長(馬雲)が年内にも退任か?~慈善活動に専念したいと語る~
ちなみにアリババにはソフトバンクが大量に出資しています。
もっというと、もし仮に世界経済が逆回転するのなら
世界のスタートアップに投資しまくっているソフトバンクこそが震源地になる可能性があるのではないか?
と、そんな気がしています。
ソフトバンクとその仲間内企業のアリババ・・・そして中国の他のスタートアップ支援企業・・・テンセント、バイドゥなどなど
それらは非常にマズい位置にいるのではないか?と感じています。
しっぽ(株価)が胴体(実体経済)を振り回すとしたなら、たぶんこのスタートアップバブル、ユニコーンバブルこそが震源になるのではないか
と感じています。
アリババ(BABA) 日足
ソフトバンク(9984) 日足
アリババが崩れまくってるのに対し、ソフトバンクの下げは緩やかです。
もちろん、スタートアップバブルが弾けるとは限りませんし、まだシナリオのひとつです。
可能性のひとつとして、見ておいた方がいいのではないか。
そう感じて、この記事を書きました。
あとがき
なお、子育て中でなかなか纏まった記事に仕立てることができません。
この記事を書きあげるなかでも数十回と席を離れております。
思考が途切れ途切れになるため、どうしても散漫な記事になってしまって申し訳ありません。
とりあえず、書きたいことをざっと書くことを優先したいため、推敲する時間は省いています。
それでも読んでいただけることに感謝しております。
いつもありがとうございます。