マイクロンがインテルからIMフラッシュテクノロジーズを買収へ~3D XPointメモリ拡販でMRAM市場に殴り込み?
マイクロン(Micron)がインテル(Intel)からIMフラッシュテクノロジーズ(IM Flash Technologies)を買収するとのことです。
マイクロンとインテルは12年ものあいだNAND型フラッシュメモリの開発で提携してきましたが、そちらも現在開発中の第三世代3D NAND型フラッシュメモリの開発が済みしだい提携を解消。
マイクロンがインテルと運営してきたIMフラッシュテクノロジーズの持ち分を買収することになれば、3D XPointメモリ事業でも提携を解消することになります。
現在、IMフラッシュテクノロジーズが開発、製造している3D XPointメモリは、インテル(Intel)のOptaneメモリー向けに供給しているだけになります。
インテルのOptaneをHDDキャッシュ用SSDとして利用するには、Intel 200シリーズチップセット以降と、第7世代Coreプロセッサー(Kaby Lake-S)以降の組み合わせが必要です。
つまり、現状では3D XPointメモリはインテル製品の差別化のための戦略製品となっています。
マイクロン(Micron)がインテルからIMフラッシュテクノロジーズの残り持ち分を買収することにより、この関係が解消され、より広範囲な顧客に3D XPointメモリが提供されることになると思われます。
このことは、レイテンシ(遅延時間)と信頼性で3D XPointメモリと競合関係にあるMRAMにとって脅威になると思われます。
高速で信頼性がそれなりに高い不揮発性メモリとして、Everspin Technologiesが開発販売するMRAMや、IntelとMicronが開発販売する3D XPointメモリは、Tier0用途向け(DRAMとNANDフラッシュメモリの間)において注目を浴びています。
Everspin Technologies(ティッカーMRAM)が開発、販売しチエルMRAMは、確かにIMフラッシュテクノロジーズの3D XPointメモリよりも高速であることは確かです。
しかし、いかんせんMRAMはシリコンダイ容量の小ささが問題。
MRAMのシリコンダイ容量はいまだに1G bit程度、これに対し3D XPointメモリのシリコンダイ容量は128G bitですから段違いです。
MRAMは高性能ですが、とにかくコストがかかりすぎる。
それに引き換えIM Flash Technologiesが開発している3D XPointメモリは十分な性能でありながら価格競争力が非常に高く、よほど高性能を競う用途でなければ十分である可能性があります。
もしくは、MRAMを小規模使いつつ、3D XPointメモリも下層に併用するという方法などでしょうか。
これまでEverspin TechnologiesのMRAMが奪うと見られていた市場に、インテルの縛りから解き放たれた3D XPointメモリが参入していく・・・それが今回のIMフラッシュテクノロジーズをマイクロンが買収するというニュースの意味だと思われます。
なお、インテルとマイクロンは3DNAND型フラッシュメモリの開発でも提携解消をします。
今後マイクロンは、より広範囲な客に3D NAND型フラッシュメモリや3D XPointメモリを市販していきたいようです。
市販市場へこれらのものが流れ込むことにより、競合する製品への価格下落圧力は強まる可能性が高いです。
とりあえず、関連銘柄のチャートを載せておきます。
Everspin Technologies (MRAM)日足
Micron(マイクロン) (MU) 日足
Intl(インテル) (INTC) 日足
以上。