中国が米国への追加自動車関税25%分を引き下げへ~トランプ大統領はディールしたがっている可能性~

中国が米国への追加自動車関税25%分を引き下げへ

 

中国が米国に対して課している追加自動車関税25%分を引き下げることに合意

中国が米国に課している25%の追加関税をいったん取り消すことに合意したそうです。

これは、先日のG20あとの米中貿易交渉継続および米国側の追加関税措置猶予を受けたものとなります。

中国、米国製自動車関税引き下げへ動きー40%から15%に

 

 

米国からの輸入車にのみ課せられた25%の追加関税

中国は米国側が課している追加関税措置に対抗するため、米国からの輸入車に25%の追加関税措置を導入しています。

これによって、米国から中国への輸入自動車は、日本やドイツなど他の国から中国に輸出される自動車よりもかなり高額になっており、実際、これが中国での各社の販売減少にも繋がっていると指摘されています。

例えばテスラは、追加関税が導入されたのち中国販売が7割も減少しています。

テスラ中国販売7割減 日経新聞

これをうけてテスラは中国に工場を建設することを決断。

もちろん、関税を避けるためだけが目的ではないでしょうが(輸出拠点化の可能性が高い)、米国の製造業を復活させようとしているトランプ大統領にとっては痛い誤算だったようです。

テスラが上海に工場を建設へ~関税を避けるためと解説されがちだが~

また、同様にフォードなども中国での販売が急減、ほぼ半分以下に落ち込んでおり、中国での事業継続が危うい状態となっています。

 

 

トランプ大統領はさっさとディールしたがっている

トランプ大統領は、中国とはさっさとディールして、別のことにリソースを向けたがっているようにみえます。

トランプ大統領、ファーウェイCFO逮捕をめぐり司法省に介入を示唆~ホンキでディールしたがっているもよう~

ファーウェイのCFO逮捕に絡み、司法省への介入を露骨に示唆するなど、トランプ大統領は中国側との交渉妥結を求める姿勢が鮮明になっています。

これは、国境の壁建設問題や対欧州、対日交渉へリソースを割きたいことや、米中貿易戦争の影響が大きすぎて、このままだと景気が後退してきそうで怖くなっていることが理由と思われます。

トランプ大統領は超絶チキンだった件~米国市場に株安波及で習近平と電話会談~

 

 

とりあえず今回、中国側は米国からの輸入自動車の関税を引き下げましたが、それに代わる関税を導入したりはしていません。

つまり、今のまま妥結すれば、米国側が有利な条件で交渉成立となるわけです。

さらには先日の対米貿易改善策142項目もあり、トランプ大統領としてもこれを無下に蹴って交渉をお流れにするのは損だと思っている可能性があります。

対米貿易改善案142項目を中国側が提示~トランプ大統領は乗り気のようだが・・・

中国製造2025への言及が中国米国どちらからも一切聞かれません。

どちらも、そこは矛を収めることにした可能性が高いと思われます。

とりあえず、米中貿易戦争は終結に向かっていると思って良いと思います。

もちろん、根底ではナヴァロなどが主張するような中国脅威論が存在していることは確かですが、米中が冷戦構造に突入するというのはさすがに無理筋です。

米中貿易戦争は持続可能か?~ピーター・ナヴァロ著「米中もし戦わば」

米中の経済的緊密性は米ソのそれとはまったく別次元。

臓器への癒着だけでなく末端の神経細胞にまで転移したガン細胞を無理やり外科手術ですべて取り除くような荒療治です。

無理です。

それにトランプ大統領は気づいたわけで、今後はルサール問題のようにだらだらと続くことになると自分は予想しています。

中国の株式にはかなり割安なものも出ており、直近、やや買いが優勢となっています。

市場の潮目はやや変化の兆しがあります。

以上です。