対米貿易改善案142項目を中国側が提示~トランプ大統領は乗り気のようだがペンスなどは反対するだろう。しかし・・・
これ以上の米中貿易戦争の激化をさけるため、中国側が対米貿易改善案142項目をトランプ大統領に提出したとのこと。
これに対してトランプ大統領は
「まだ5つくらい改善しないとダメなとこがある」
と言ってさらなる譲歩を求めているとのこと。
ただ、概ね満足しているようで
「取引で合意できるかもしれない」
と述べているとのことです。
中国が対米貿易改善案 142項目、トランプ氏明かす 日経新聞
トランプ大統領、貿易問題解決を楽観-中国から対応リスト受け取る ブルームバーグ
中国側が提出した対米貿易改善案142項目の中身はわかっていません。
中国側も、アメリカ側も、この対米貿易改善案142項目の中身がどんなものであるのか、まったく明らかにしていません。
ですから、あくまでも憶測になります。
トランプ大統領は、「5つほどまだ必要な個所がある」と言っていますが、たぶんトランプ大統領はちゃんと中身を見ていません。
とりあえず、中国側が困っているのはみえていますから、さらなる譲歩がとれそうだなとみて、「5つ」とかテキトーに言ってるだけだと思います。
(シンガポールで金正恩と会ったときを思い出してみましょう。あの時も「良いディールができた」とか言いながら、片方では「封筒の中身はまだみていない」と正直に言っていました。基本的に、トランプ大統領という人は、難しいことは部下に噛み砕いて貰わないとダメなんだと思います。)
報道では、対米貿易改善案142項目に中国製造2025に関する記述があるかないかが重要だと言われています。
各種報道内容からすると、対米貿易改善案142項目にアメリカが要求する内容には、設備投資案件が含まれてくる可能性があるとのことです。
とくに半導体製造に関して問題になっているとのこと。
中国側がいま計画しているものがすべて稼働すると市場が混乱するのは必至です。
中国・清華紫光集団、今後10年間で半導体製造に11兆円投資へ
この計画を放棄するよう米国側が迫るのでは、という見立てをしている報道もあります。
対米貿易改善案142項目だけでは強硬派は納得しないはず
個人的には、対米貿易改善案142項目だとか、中国製造2025の軌道修正という貿易・経済分野の解決だけでは、ペンス副大統領など強硬路線に傾いた人は納得しないと思われます。
今回の対中強硬路線、いつから始まったかというと、今年の4月に入ってからです。
それに対して、中国製造2025が謳われたのは2015年のことです。10年先を見通して計画したので、2025年なのです。
個人的には、この背景にはイデオロギー問題があるとみています。
3月に全人代があって、「中国国家主席の任期撤廃」だとか、「社会主義現代化強国」だとか「習近平国家主席による新時代の中国の特色ある社会主義思想」だとか
中国がなんかトチ狂ったこと言い出したあたりから、アメリカが警戒心を持つようになったんじゃないかと思います。
中国国家主席の任期制限撤廃にみる習近平の野望 当ブログ2月25日の記事です。
2018全人代 中国政府活動報告要旨 3月9日の記事です。
貿易問題はあくまでも一つの要素であり、それ以上のイデオロギーの対立が背景にあります。
しかし、トランプ大統領にとってはそんなイデオロギーなんてどうでもいいようにみえます。
トランプ大統領は対米貿易改善案142項目を機に、米国が得する形で米中貿易戦争を終わりにしたがっている可能性
先に書いたように、ナヴァロ、ライトハイザー、そしてペンス副大統領はイデオロギー色が強く、米中貿易戦争をまだまだ続ける気が満々です。
(ボルトンは、この件の意味がちゃんと理解できていないのか、それとも何か思う所があるのか、あまり口出ししていないようにみえます。)
トランプ大統領は、基本的にイデオロギーなんてどうだっていい。
とりあえず、自分が有利な状況でディールできればそれでいい。
そして、その交渉上手なところをみせつけて、ドヤ顔できればそれでいいんです。
「俺らの親分はさすがだぜ。喧嘩の引き際わかってる。この人についていけば良い思いができる!」
と有権者に見せつけられればそれでいい。
株価が下がるのは大嫌いで、ちょっとでも経済が波立ってくると何かせずにはいられないのがトランプ大統領です。
トランプ大統領は超絶チキンだった件~米国市場に株安波及で習近平と電話会談~
ある意味、非常にわかりやすいお方です。
片側で脅して、片側でディールする。
金融マフィア的ですらあります。
それに対して、ペンスやナヴァロ、ライトハイザーなど強硬に対中政策を唱える人々は、イデオロギーに凝り固まった原理主義者です。
マフィアやヤクザで言ったら武闘派です。
せいぜいナンバー2にしかなれない人たちです。
非常に頭の良い人たちなんですけど、融通が利かない。
基本的に有権者はそんなものを求めていません。
もっと身近な、わかりやすい利益を求めています。
そこの塩梅をトランプ大統領はわかっている・・・
結局のところ、最後はトランプ大統領の決断次第だと思います。
北朝鮮問題もそうでしたが、トランプ大統領は最後の最後に自分で決めてしまいます。
色々なルートを用意して交渉させて、そのうちのよさげなものを自分でチョイスするやり方です。
さすがに今回、いますぐにトランプ大統領が融和姿勢に転がるということはないはずです。
ですが、いずれ米国株が軟調に転じてくれば、トランプ大統領は米中貿易戦争停戦のカードは切ってくると思われます。
そのとき一番パフォーマンスがいいのは、たぶん米国株ではなく、中国株です。
今のうちから、中国株のリサーチをしっかりしておくべきです。
どの銘柄にINするのかしっかりと見極めて、動き出したら、もしくは他の連中が仕込んでいる雰囲気を感じたなら、しっかり買って行くべきと思います。
以上です。