「米国」タグアーカイブ

米中貿易摩擦による円高リスクはある?

かなり自信のないことを書きます。

はっきりいって、今回書くことは自信がありません。

自分は為替や金融政策に関しては素人同然ですから、今回書く内容はまったく間違っているかもしれません。

ぜひ、みなさんの意見もお聞きしたいと思っています。


 

とりあえず書きます。

 

米国が中国からの輸入製品に500億ドル分の関税を課すと決めてから一週間のうちに中国は同じ500億ドル分の関税を米国からの輸入製品にかけると決定しました。

そして今度は、米国がさらなる報復措置として、中国からの輸入品に1000億ドル分の関税をかける方針だと伝わっています。

ぶっちゃけた話・・・

中国側の対抗措置はかなり限られていると思います。

それは、貿易収支の黒字額において、中国が米国に依存する量が大きすぎるからです。

貿易黒字額の約半分をアメリカから稼いでいます。

そして、中国は加工貿易で利用する部品や設備、資源を台湾、韓国、スイス、オーストリア、ブラジル、ドイツ、日本などから輸入しています。(っていうか、いま気づいたんですが、なんでArea Nes<Areas not elsewhere specified>がこんなにデカいんでしょうか。循環取引?これでは統計の意味がありません)

とりあえず、アメリカに輸出できないとなると、中国は上記の国々からの輸入を減らすしかなくなります。それはアジア三か国にとってかなり致命的なことになるように思います。

市場は、まだこの恐ろしさを理解しきれていないように感じます。

 


 

とりあえず今回の通商摩擦において、中国はメンツのために米国に対抗するでしょう。

しかし、とりうる手段は本当に限られてきます。

なんせ最初の表にもあるとおり、米国から中国が輸入しているのは1300億ドルちょっとしかありませんので、1500億ドルの制裁措置をとられても中国側は正攻法では報復できません。

報復としてとりうる手段としては、たとえば、アメリカ市場に上場している中国企業に本土復帰を強制するとか(NY/Nasdaqは上場廃止)、北朝鮮とのエネルギー取引を再開するとか、アメリカ企業への嫌がらせをするとか、今後予定している金融事業の市場開放を米国資本にだけ許さないとか・・・そういった小手先の攻撃をする程度です。

それらは影響がタカがしれてます。

アメリカ、中国、どちらも痛手を被りますが、中国の方がはるかに大きな影響を受けることになるでしょう。

 

 

 

重要なのは、そういった米中の通商摩擦が、他に波及していくかもしれないということです。それは・・・

人民元安誘導(ただし対米ドルは除く)

 

が起きる可能性が高まっているかもしれない、ということです。

これがいちばん中国としてリスクが少ない手段だからです。

 

 

 

まずふまえておきたいのは、実は習近平指導部もトランプ大統領の取り巻きも、

古臭い重商主義的な感覚で貿易をとらえている

ということです。そのうえで、政策の方向をみていったほうが良いと思っています。

 

 

重商主義的な観点からすると、貿易黒字はサイコーに素晴らしいです。ハラショーです。ただ、一か国相手に貿易黒字なのは危ないです。中国としてはアメリカへの貿易の依存度を下げたいと考えるはずです。貿易黒字の半分がアメリカ一国というのはさすがに高すぎます。欧州やアジアなど満遍なく輸出をしたいと考えるのが普通です。今回、米国に売れないぶんはアジアや欧州にあふれるでしょう。輸出を増やすために為替水準を引き下げようと考えてるかもしれません。

 

人民元の水準を切り下げるにしても、もしも対米ドルで人民元安誘導をするとなると、中国としては米国債をガシガシ買い込まなければならなくなります。これは米国の財政をファイナンスすることですから、敵に塩を送るのに等しい行為です。しかも、この世は借り手のほうが貸し手よりも優位なものです。あまりにも多くをアメリカに貸すのはリスクです。ですから、すでに昨年夏くらいから、徐々にではありますが、米国債保有を減らしていっています。

 

 

 

 

つぎに、先ほどの表をみると

 

韓国、日本、台湾のアジア三か国からの輸入額が4500億ドル規模と、凄まじく大きいことがわかります。この輸入はほとんどが部品と設備です。これを自前で賄えるようになれば、アメリカから制裁措置を食らってもずいぶんと楽になります。

こちらの記事でも触れましたが、

  • 中国政府は、新たに2000億元(約3.3兆円)の資金を投じることにより、国内半導体産業を育成する予定
  • 中国は2020年に40%、2022年に70%の半導体を自国生産で賄えるようにする予定

つまり、韓国、日本、台湾の三か国からは、そのぶんの輸出が消えるかもしれないということです。

 

 

とりあえず長くなりすぎましたので纏めます。何が言いたいかというと

  • アメリカへの輸出が滞った分、アジア、欧州に中国製品が流れ込む可能性
  • 中国からの輸出が滞った分、日本、韓国、台湾から中国への輸出額も滞る可能性
  • 円高、ユーロ高、人民元安、米ドル安が起きる可能性
  • アジア三か国が、中国初の近隣窮乏化策に襲われる可能性

こんな感じで眺めています。

いままでは中国国内の要因から人民元高方向でみてきましたが、いまは中国国外の要因から人民元安方向への圧力がかかりやすい環境かもしれないな?と思っています。

 

とりあえず、まだ自信はありません。他の方の意見も聞きたいです。Twitterなどでもいろいろ検索して眺めているのですが、あまりこの手のことを語っている人がいませんね・・・もっと注目を浴びてもいいネタだと思うんですけどね。

もしもこの見通しが正しいなら、ドル円は1ドル80円台に突入すると思います。まだ多くの人はそこまで見ていないのではないかと思いますが・・・。

 

 

(この記事は投資における特定のスタンスを勧めるものではありません。投資は自己責任でお願いしたします。)

by中卒くん