【4423】アルテリア・ネットワークスの業績・決算~独占禁止法違反で株価急落
今回は独占禁止法違反容疑で話題のアルテリア・ネットワークスについてみていきます。
アルテリア・ネットワークスは2018年12月に上場したばかりの企業です。
マンション向けインターネット一括契約では約3割のシェアを持ち、国内最大手となっています。
そのアルテリア・ネットワークスですが、上場半年もせずに独占禁止法違反が発覚。
一部役員は知っていたとされ、同社の企業統治体制が疑われる事態になっています。
そんなアルテリア・ネットワークスについて、まずは事業内容と沿革からみていきましょう。
アルテリア・ネットワークスの事業内容
アルテリア・ネットワークスは大都市を中心に光ケーブル網を保有。
法人やマンションなど向けに通信回線やインターネット接続サービスを提供している企業です。
特にマンション一括契約型のインターネット接続では国内最大手となっており、シェアは約3割程度と言われています。
企業向けにはインターネット接続サービスを提供するほか、専用回線の提供も行っており、こういった事業がデータセンターなど閉域網を求める需要向けに伸びています。
https://twitter.com/chu_sotu/status/1120543824206606337
アルテリア・ネットワークスの沿革
アルテリア・ネットワークスの沿革は以下の図のようになっています。
https://twitter.com/chu_sotu/status/1120543602357174272
UCOMやグローバルアクセス(丸紅アクセスソリューションズ)を母体としてアルテリア・ネットワークスが2014年に発足。
マンション向け一括インターネット接続サービスの当時2位、つなぐネットコミュニケーションズを2017年に併合して、現在のアルテリア・ネットワークスになっています。
アルテリア・ネットワークスの将来性
アルテリア・ネットワークスは先に書いたとおり、自社で通信回線を所有している企業です。
通信回線保有企業としてはNTT、KDDI、ソフトバンクについで4位に位置しています。
上位3社が携帯電話事業を行い、全地域でのサービスを義務付けされている(ユニバーサルサービス)のに対し、
アルテリア・ネットワークスは主に商業向けサービスが中心のため、儲かる地域だけに集中的に展開していることが特徴として挙げられます。
そのため、営業利益率が高い水準でキープされているのが同社の特徴です。
同社の閉域網サービスは今後も一定程度の安定した需要が維持されると個人的にはみています。
また、ここもと流行りのインターネットVPNからクラウド型セキュリティへのサービス流出がある一方で、全体的なデータ量増大による通信回線への需要は期待できると思われます。
正直、通信業界は技術的な過渡期にあり需要予測は難しい部分もありますが、個人的には物理層は結局必要なこともあり、アルテリア・ネットワークスは悪くない立ち位置にいる企業だとみています。
ある意味で、電力・ガス・鉄道事業などの公益株としてみるべきかと思われます。
アルテリア・ネットワークスに独禁法違反(カルテル)発覚~川上潤社長は引責辞任
同社は2018年12月に上場しましたが、上場半年もしないうちに独禁法違反が発覚。
傘下の「つなぐネットコミュニケーションズ」で、競合他社とのあいだで、相手方の顧客への切り替え営業を行わないことを約束する不公正取引行為があったとのことです。
なお、この件については内部通報がされていて、一部役員は事前に知っていたとのことですが、上場審査の過程では一切それらを申告していなかったとのこと。
この問題発覚を受けて川上潤社長は引責辞任。
⇒独占禁止法違反が発覚したアルテリア・ネットワークス、川上潤・前社長の経歴についてみてみよう
内部通報があったのがいつの時点だったのかにもよりますが、場合によっては証券取引法違反および損害賠償請求の可能性にも繋がる事案となっているように思われます。
なお、川上潤・前社長ですが、2月頃にインタビュー記事が掲載されていますが、その中では同社の経営がとても順調であることを強調されています。
この時点で知らなかったのかどうなのか。
大株主丸紅の果たした役割なども含め、同社の企業統治体制に疑問符が付く状態になっています。
アルテリア・ネットワークスの業績
https://twitter.com/chu_sotu/status/1120543526100582400
アルテリア・ネットワークスの2018年Q3業績は上記の通り。
前期比減益となっていますが、これは上場時のコストによるものではないかと思われます。
実質的にはやや増益程度でしょう。
アルテリア・ネットワークスの株価
公募価格1250円を割り込んで上場したアルテリア・ネットワークスですが、その後も上記不祥事をおこしたりして踏んだり蹴ったりな状態です。
株価は暴落状態ののち凪状態となっており、上場時に購入した株主は大損を食らっている状況です。
下がったところで大量に買いが入っており、買い残の整理には相当程度の日数がかかりそうです。
なおバリュエーションについてですが、現状の株価は予想EPSベースでPER10倍ちょっとの状態であり、公益株としてみるならやや割安感はあります。
ただ、借金が非常に多いのでEV/EBITDAでみるとやや割高な水準です。
同社は配当性向50%を目指すとのことで(四季報情報)、この点からすると現状では配当利回り4%後半となるように思われます。
これが一定程度、株価の下支え要因になるのではないかと思われます。
アルテリア・ネットワークスのカルテル問題のゆくえ
ちなみに談合、カルテルについてですが、仮に公取委に認定される状況となったとしても、最初にチクった当事者は減免されるので、そういった部分は気にしなくても大丈夫なはずと思われます。
また、東証への上場にあたって虚偽の記載をしたのが仮に咎められるとしても、たぶん課徴金数千万円程度でしょう。
あとは不実記載を知らずに売買した投資家などから株価下落分の損失に関して損害賠償請求をする可能性がありますが、これも株価が大きく下落した場合におけるリスクであって、そうならなければ問題ないと思われます。
結局、損賠請求、カルテルの制裁金、東証からの課徴金などはあまり大したものにならないと個人的には見ています。
唯一警戒すべきなのは上場廃止リスクでしょうが、他社の動向からみてそれはかなり小さいリスクかなと思われます。(かつては虚偽記載で西武HDが市場から退場になりましたが、その後は株主への影響の大きさから退場はほとんどなくなりました。)
アルテリア・ネットワークスと親子上場問題
もうひとつ追記、アルテリア・ネットワークスの特徴としては、親会社丸紅による過半数支配状況という親子上場問題があげられます。
このため、先にも書いた通り、ガバナンスがどうにもおかしくなりがちです。
この点をどう捉えるかが、アルテリア・ネットワークス株投資においてはネックになるでしょう。
以上です。
なお、上記はあくまでも個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。
投資にあたっては自己責任でされるようお願いいたします。
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