米政府、無錫江南計算技術計算所と曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の関連会社への禁輸措置を発動
無錫江南計算技術計算所と曙光信息産業(中科曙光/Sugon)に輸出禁止措置
米政府は中国のスーパーコンピュータ大手企業2社およびその関連企業に対し、米国のサプライヤーとの取引を禁止しました。
これは先のファーウェイへの制裁と同様に、米国のサプライヤーとの取引に関して米政府の許可が必要になるというもの。
事実上の禁輸措置となっています。
米政府の判断の根拠としては、「スーパーコンピュータが中国の軍事・防衛産業の核になる技術である」との理由だそうです。
米制裁対象になった無錫江南計算技術計算所と曙光信息産業(中科曙光/Sugon)関連5社
今回エンティティリストの対象になったのは以下の企業
無錫江南計算技術計算所(Wuxi Jiangnan Institute of Computing Technology)
曙光信息産業(中科曙光/Sugon)
天津海光先進技術投資(Higon)
和成都海光微電子技術(Chengdu Haiguang Microelectronics Technology)
成都海光集成電路(Chengdu Haiguang Integrated Circuit)
このうち、天津海光先進技術投資、成都海光集成電路、和成都海光微電子技術は曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の関連会社になります。
また、天津海光先進技術投資はAMDと共同で研究開発している合弁パートナーともなっています。
⇒【603019】曙光信息産業(中科曙光/Sugon/Dawning Information Industry)の業績・決算と株価
無錫江南計算技術計算所(Wuxi Jiangnan Institute of Computing Technology)は世界3位の処理速度を誇る神威・太湖之光の設計・開発企業
なお、先日ドイツ・フランクフルトで開かれた世界スパコン会議
こちらで発表されたランキングで、無錫江南計算技術計算所(Wuxi Jiangnan Institute of Computing Technology)が開発した神威・太湖之光の処理速度ランキング世界3位となりました。
また、曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の設計・開発したシステムは上位500システムのうち63システムを占める規模となり、
両社のスパコン業界における影響力の大きさがよくわかる事態となっています。
無錫江南計算技術計算所と曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の他にレノボにも要注意
なお、今回は無錫江南計算技術計算所と曙光信息産業(中科曙光/Sugon)の2社の系列のみがエンティティリスト入りしましたが、個人的に注意が必要なのは、レノボではないかと思っています。
レノボは今回のスパコンランキング上位500システムのうち、なんと173システムも占めています。
今回、レノボをエンティティリスト入りさせなかったのは、レノボを対象にした時のアメリカ企業への影響が大きすぎたからだと思います。
レノボは多くの人がご存知の通り、パソコン業界の最大手です。
スーパーコンピュータだけでなくエントリー向けのパソコン事業も行っていますし、タブレットなども作っています。
世界シェアはパソコンで23.6%と言われています。(ガートナー調べ 2018年3Q)
レノボへの部品供給を行っているサプライヤーとしては、Intel、AMD、Nvidiaなどが挙げられます。
メモリやHDDなどでマイクロン、ウェスタンデジタル、シーゲートテクノロジーズなども挙げられるでしょう。
もしもレノボへの経済制裁をしてしまうと、Intel、AMD、Nvidiaのパソコン市場向け製品の出荷が一時的に激減することになります。
アメリカ政府としてはそうした混乱を見越して、今回、レノボを対象に入れなかったのだと思います。
が、いずれそういった事態になる可能性については、予想しておいた方がいいでしょう。
(なお、ファーウェイの問題もそうですが、たとえ一社なくなったとしても、かならず穴埋めする事業者があらわれます。アップルショックで市場が混乱したときも、その後にサムスンがシェアをとり、サムスンが業績不振になったあとはファーウェイが後釜に座りました。ですから、仮にレノボショックが起きても、かならずラグを置いて市場全体は回復はします。短期的な混乱はありえますが。)
とりあえず、今回のスパコン制裁、今後の波及については注意が必要です。
注目はレノボです。
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