以下は単なるコラムです。
ニュースまとめに書くには長すぎるものをこちらに書いています。
読んでも一銭のカネにもなりません。
時間の無駄なので飛ばしていいです。
米国企業の中国での事業が苦戦しつつある模様 不買運動が始まっているか?
スターバックスやGM、フォードが決算を発表しています。
各社とも、中国事業がここ上期で急減速しています。
なにがおきているのでしょうか。
まずはスターバックスについてみてみましょう。
スターバックス社のIRライブラリより各期の資料をみてみます。
それによると中国既存店売上高は・・・
2018Q1 前年比6%上昇
2018Q2 前年比4%上昇
2018Q3 前年比2%下落 ←いまここ
なんと、いままで絶好調で推移してきたスターバックスですが、中国事業の既存店売上高がマイナスに転じてしまっています。
世界販売が鈍化傾向にあるスターバックスにとって、中国事業は非常に大切な市場です。2017年にはわざわざ現地合弁の未保有株式をスターバックス本社が13億ドルで買収し1300店舗を手に入れました。
13億ドルで1300店ですから、一店舗の営業権あたり1.1億円です。それまでに保有していた分もあわせると、2億円分以上の価値があると見積もったのでしょう。そのくらいスターバックスとしては、中国事業に入れ込んでいました。
それが今、転機に差し掛かっています。
ゼネラルモーターズとフォードも中国事業でシェアを落としています。
ゼネラルモーターズ FIRST QUARTER 2018 GLOBAL SALES
ゼネラルモーターズ SECOND QUARTER 2018 GLOBAL SALES
1Qに前年比7.9%増の伸びを記録していた稼ぎ頭の中国が、2Qになったらいきなり前年比0.7%増に減速してしまっています。
GM/ゼネラルモーターズにとって、中国事業は売上の約半分近くを稼ぐ非常に重要な市場です。
しかも、つい数か月前まで販売も好調で非常に期待されていた市場なのです。それがいきなり失速してしまっています。
フォードもみてみましょう。
こちらは月次データを開示しているのでそれをみればわかりやすいです。
Ford Sells Nearly 76,000 Vehicles in China in January
Ford Announces Half-Year Results, Reinforces Its Commitment to China
減少スピードが速まっているのがわかります。
1月 前年比マイナス18%
4月 前年比累計マイナス21%
7月 前年比累計マイナス25% 単月でみると38%もの減少になっています。
前年比38%もの販売減少は、フォードにとっては中国事業からの撤退も考えざるを得ない水準ではないか・・・
と思います。
とくに、中国事業は合弁先を通じて行っています。
この減り方はかなり大きいですから、合弁先が今後の事業継続に慎重になる可能性があります。
ちなみに、「中国は消費が落ちているからじゃないのか?」っていう人もいると思います。
確かに自動車市場は全体として成長スピードが落ちてきていますし、中国の小売統計などからすると不調もしかたないのかな?という気もします。
しかし、吉利汽車など国内勢は好調です、日系の自動車メーカー、たとえば先ごろ出てきた日産自動車の決算では、中国販売は上期に10.8%伸びているのです。
また、中国汽車工業協会CAAMのデータをみても自動車販売は全体としては5.57%上昇していることがみえますし、吉利汽車だけでなく長安汽車、BYDなどの中国ブランド車を筆頭に、日系、ドイツ系(フォルクスワーゲンやBMW、ダイムラー)、それから昨年はTHAAD問題で落ち込んだ韓国車も盛り返してきていることがみえるのです。
ぶっちゃけた話、6月のデータをみるかぎり、米国ブランド車だけが売れていない。明らかに売れていないのです。他の国が一桁半ばくらいで伸びているなか、米国車だけが前年比マイナスです。
こういった流れにたいして、個人的には、
「中国人の米国製品不買運動がじわじわと広がっているのではないか?」
と感じます。
中国政府としては、ことを荒立てないようにするために、SNSを規制しているそうです。アメリカを批判する書き込みを削除したり、不買運動の呼びかけをしていただけで削除されるそうです。
CCTVなどをみても、貿易戦争の話題がほとんど流れません。先日などは、最近頻発している世界の異常気象などを流していましたが、経済的に苦しくなっても天候要因にして逃げるつもりじゃないか?と個人的には穿った見方をしてしまいました。
とりあえず、中国政府は頑張って火消ししようとしています。しかし、民衆は何が起きているのか十分に知っています。
アメリカむかつく、だけど日本のイオンを襲ったりしたときみたいなことしたら習近平国家主席も困る。とりあえず不買運動をしよう・・・そんな感じじゃないでしょうか。
この流れはしばらく沈静化しないように思います。もし本格的に米国が仕掛けた通商戦争で中国経済が傾けば、その理由を中国人民は理解します。必ず米国を嫌うでしょう。
対中事業費率の高いブランドは、非常に危険な位置に立っていると思います。
と同時に、それこそがまさにトランプ大統領の取り巻き連中の目的なんじゃないかと思います。
米国企業に中国事業を諦めさせて、別の地域に投資するように差し向ける・・・アメリカの言いなりにならない中国へは投資するな、と言いたいようにみえます。
その代わりの国として、インドへの接近をしているようにみえます。インド側も国内小売への過半出資を認めない条項があるにもかかわらず、ウォルマートやAmazonによるインド国内小売事業への過半出資には何にも問題視しません。きっと裏で何かやり取りがあると思います。
この通商摩擦のさなかにありながら、インド株は高値更新しています。
もちろん、これだけでインドが米国から恩恵を受けている、とは言いませんが、とりあえずインドに対しては、アメリカは一切悪く言っていないのです。同盟国であるはずの日本にはいろいろ冷たい仕打ちをするアメリカですが、インドに対してはそういったものがここ数年一切ありません。
話がズレてきたのでもとに戻しますが、とりあえず、アメリカは中国を見限ってます。インドに向かっています。
インドは経常収支が安定せず怖いですが、豊富な労働力を抱えています。
インド株は非常に高いです。バリュエーション的にはおいしくありません。また、直接買えない、企業統治が好ましくないなど問題点も多々あります。
ただなんとなく、この時期に高値をとってきているのは不気味です。
個人的には、次の景気後退後までしっかり待ってから投資すべきと思いますが、インド株は選択肢の一つしてあげて良いと思います。
なお自分はまだインド株は投資対象として考えていませんでしたから、ほとんどリサーチすら行っていません。今後、そういった方向で考えている、というだけの話です。
以上、とりとめもないコラムになりましたが、これにて〆ます。