前回の記事では中国の高炉メーカー宝鋼集団と新日鉄との関係について書きました。
今回は地球の反対側に存在するウジミナスをみていきます。
Usiminas
ウジミナス(正式社名:Usinas Siderúrgicas de Minas Gerais S.A.、ミナスジェライス製鉄所)
この会社も、新日鉄が1950年代に技術移転をして立ち上げた会社です。
その後も何千人もの技術者を派遣し、また研修としてウジミナス社の従業員を受け入れたりしながら、ブラジル国内では二番目(25%程度のシェア)の鉄鋼メーカーに育て上げました。
・・・ところが、2010年代に入り、支配権を巡ってアルゼンチンのテルニウムと紛争になります。ここらへんの経緯は以下に詳しいのですが・・・
独占!新日鉄住金を揺さぶる男、かく語りき 対立するブラジル合弁相手のCEOが激白
要するに、テルニウムと新日鉄の二社合弁で運営していたものの、テルニウム側が派遣した役員の首を新日鉄側が切ろうとしたところ逆に反抗にあい、泥沼の争いになってしまった・・・ということです。
・・・とりあえず言えることは、
新日鉄はあまちゃん
ということかと思われます。
しっかりと過半出資して役員も派遣しておけばよかったものを、わざわざマイナー出資に留めていたがために、あとあとで紛争に発展しているのです。
新日鉄は今も昔も、こうやって自分の首を絞めるようなことをシレッとやってのけます。
技術をダダ洩れさせたり、持ち分法適用会社を乗っ取りされたり、わざわざライバルを助けてやったり・・・いつもそんな感じのことばかりをやっています。
こういう国際感覚のない人々が、今度は印エッサール社への出資を検討しているようです。
しかもまたマイナー出資です。
懲りないひとたちです。
ここまで来ると病的ですらあります。
今度の合弁相手は粗鋼生産量だけでみれば世界一位のアルセロール・ミタルです。
質より量を目指して発展してきた企業です。
エッサール社をともに経営することで、新日鉄住金の技術を吸い上げようと考えている可能性があります。
もしくは、新日鉄からの技術を十分にエッサールに導入させたあとは、エッサール株を買い占めて傘下におさめるかもしれません。
前の記事でも書きましたが、今回のエッサール社への出資話は、対中国を念頭にした日米印の関係強化の一環という流れがあるようにみえます。
国策の前には経済合理性や株主価値の極大化、善管注意義務への意識などというものは、いっさい掻き消されてしまっているかのようです(それは、東芝の原子力開発の一件にもいえることですが)。
ある意味、中国よりも社会主義的です。
新日鉄は宝鋼や浦項で懲りていないようです。
きっとまた、同じ道を辿ります。
残念ながら。
by中卒くん